CATEGORY:弾薬盒

2013年10月09日

前盒の試作 その5

その4の続きです。

穴あけ、エッジ加工編

パーツの切り出しが終了したら、お次は各パーツのエッジ加工をします。

裁断された革は、たいていエッジが尖っています。この尖り部分を加工しないと、人間の肌に触れたときにチョット痛かったり(痛くは無いか)、エッジ部が被服類に擦れて革、被服を傷めたりと良い事は無いので必ず行います。多くのレプリカはこのエッジ加工が行われていない場合があります。
前盒の試作 その5
「へり落とし」という工具を使います。

前盒の試作 その5
このようにスルスルと気持ちよくエッジ部が削がれていきます。

前盒の試作 その5
上に乗っている革が加工済み、下が未加工のもの。加工済みのものはエッジ部が丸みを帯びているのが分かりますでしょうか?
以上のようにして、各パーツのエッジ部を削って行きます。

次に、穴開け加工を行います。
穴開けは、その穴を通して針、糸が通り、パーツとパーツを結合させ、相応の強度を維持させるための重用な作業となる上、糸の縫い目の美しさが作品の仕上がりを左右しますので慎重さが求められます。

今回は仕切革を例に紹介します。
前盒の試作 その5
その前に、こちらをご覧ください。平目打ちの刃巾は2ミリでピッチが6ミリ。既製品でこのようなものは無いので特注品です。

前盒の試作 その5
先ほどの平目打ちを使用して、印が付いている箇所に軽く穴を開けます。が、反対側へは打ち抜きません。

前盒の試作 その5
軽く穴開けをした仕切り革。左右両端に使用する堅牛革です。

前盒の試作 その5
この仕切革にナナメに穴を開ける際に使用するのがこちら。菱(ひし)ギリと呼ばれるもので、いわば両刃のキリといったところです。

前盒の試作 その5
ところが堅牛革を使用しているため、すんなり刃が通らないので、先に水性染料で染めて革を柔らかくします。

前盒の試作 その5
革が柔らかくなったところへ菱ギリで、グサ、グサ、と一箇所づつ丁寧に穴を開けていきます。

前盒の試作 その5
穴は仕切革の断面に抜けていきます。

前盒の試作 その5
銀面側から見るとこんな感じ。向こうへ穴が抜けているのがお分かりでしょうか?

前盒の試作 その5
左右で2個、この様に仕上げます。


つづいて、前盒の真ん中に位置する仕切革の加工を紹介します。
前盒の試作 その5
真ん中にくる仕切革は、3枚合わせですので、各々をボンドで貼り合わせます。(↑また竹串を使っとる!!)

前盒の試作 その5
貼り合わせ完了。4ミリ厚×3枚なので12ミリ厚の仕切革になります。

前盒の試作 その5
そしてこちらも先ほどと同じように、平目打ちで軽く穴開けします。両面に行います。

前盒の試作 その5
同じく菱ギリでナナメに穴を抜きます。これも両面行います。

前盒の試作 その5
穴開け加工が全て終わった真ん中の仕切革には、穴がこのように通っています。

前盒の試作 その5
3枚合わせにした仕切革は、上端面がガタガタなので、電動ツールで削ってきれいに仕上げます。

前盒の試作 その5
上が未加工で下が加工済みのもの。画像では分かりにくいかもしれませんが、3枚合わせの上端のツラが整っています。
前盒の試作 その5
エッジ部、穴開け加工が完了した状態。次回より染色、型付けに入ります。


前盒の試作 その5
ここで、前盒の「蓋」を例に、多脂牛革(左)と堅牛革(右)の堅さ比較をしてみましょう。

前盒の試作 その5
いつも使っているプラ板を乗せてみます。

前盒の試作 その5
おお!やはり堅牛革の方が潰されていない!どうやら堅牛革を使用するのは正解みたいです。

その6へつづく。




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Posted by でくの房  at 16:11 │Comments(0)弾薬盒

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