CATEGORY:製作日記
2017年04月26日
日々精進(?)
皆様こんにちは、セカンド木村です。
工房では日々スリングや薬盒類を製作しているのですが、より確実な品質と技術向上を目指して、パッと見た目では気づかない部分で仕様の変更を行っています。
例えば・・・「この部分の革を1ミリ延長する」とか「革の裁つ順序や向きを変更する」とか「糸縫いの順序を変更する」といったような感じです。
これらの仕様変更は当然、型紙の変更を伴い、その都度型紙が更新されていくのですが、お客様には気づかれない僅かな変更なのでほとんど自己満足のようにも感じますが・・セカンド木村的は日々精進しているつもりなのです。
しかし最近、お客様がご覧になっても明らかにそれと分かる仕様の変更を行いました。
それがコレです。↓
↑負い革の尾錠です。
工房では日々スリングや薬盒類を製作しているのですが、より確実な品質と技術向上を目指して、パッと見た目では気づかない部分で仕様の変更を行っています。
例えば・・・「この部分の革を1ミリ延長する」とか「革の裁つ順序や向きを変更する」とか「糸縫いの順序を変更する」といったような感じです。
これらの仕様変更は当然、型紙の変更を伴い、その都度型紙が更新されていくのですが、お客様には気づかれない僅かな変更なのでほとんど自己満足のようにも感じますが・・セカンド木村的は日々精進しているつもりなのです。
しかし最近、お客様がご覧になっても明らかにそれと分かる仕様の変更を行いました。
それがコレです。↓
↑負い革の尾錠です。
騎銃用負い革と99式負い革の尾錠をより実物に近い形状に変更しました。
各々角カンの内寸を広く取り、全ての線径をφ5.0に変更しました。これに伴い、若干販売価格を変更しています。
↑99式は以前に比べて厳つい雰囲気に変わりました。
↑ついでにナスカンを付けて遊んでみたり・・・ベルト巾が異なるのですが無理矢理取り付けています(笑)
そしてもう一つ大きな変更が。それが縫い糸です。
こちらをご覧ください。↓
左の糸が変更前で右の糸が変更後です。
詳細を見ていきましょう。↓
こちら変更前の旧仕様。
戦前に製造されたものですが『右 番手16/3』とあります。
『右』とは糸の撚り方向を意味し、『16/3』とは「16」番手の太さの糸を「3」本撚っている、という事になります。
次に工房で新しく採用した縫い糸がこちら。↓
↑こちら16/6なので16番手の糸を6本撚っている、という意味になります。
両者比較してみましょう。↑↓
↑お分かりでしょうか?同じ16番手の糸でも、3本撚りよりは6本撚りの方が太くなっています。
では実物はどちらが使用されていたのかというと・・・↑(左が旧仕様16/3で右が新仕様16/6)
↑どうやら16/6を使用しているみたいです。
これは薬盒のみならず帯革にも見られます。↓
いかがです?太い糸(16/6)が使用されているように見えます。
他に、剣差しにも・・・↓
↑うーん、やはりこれにも16/6が使用されているように見えます。
次に、旧仕様16/3と実物を比較してみました。↓
↑左、16/3は右の実物に比べ細く見えます。
では16/6で縫ったものと実物を比較してみましょう。↓
やはり16/6が適合のようです。
旧16/3と新16/6を各々見てみましょう。↓
↑16/3で縫ったもの。下の画像は16/6で縫ったもの。
次に両者比較してみます。↓
うん、やはり16/6で縫った方が迫力がありますね。
↑前盒も16/3から16/6へ変更しました。
他にも・・・
小銃負い革の遊革の縫い糸も16/6に変更。
・・・と、このように糸の変更をしつこいくらいに画像を掲載して説明してきました。
実は何年も前より、旧仕様16/3を使って薬盒を仕立てていたセカンド木村は「糸が細いので実物に比べ迫力に欠ける」という認識はあったのですが、なかなか取り組めず、ある事がきっかけでやっと仕様変更となりました。
ちなみに・・・
↑全ての皮革装備品が16/6で縫われていた訳ではありません。
時代を遡れば糸のみではなく、ピッチも異なるのです。
セカンド木村の観察が正しければ明治の薬盒類はピッチが4ミリ、縫い糸が16/3辺りを使用しているみたいで、その後大正~昭和初期にかけてピッチは5ミリに変更(か?)、糸は変わらず16/3を使用しているみたいです。
縫い糸が16/6に変更になったのはピッチが6ミリなってからなのではないか?と推測します。それも道理でピッチが狭いうちは(4~5ミリ)細い糸でも強度が保てますが、ピッチが広くなると太い16/6に変更しないと縫い合わせ部の強度が保てなくなる可能性があるからです。
・・・ではなぜピッチが6ミリと広くなったのか??
この答えは簡単!縫う回数が減って楽だから(^^♪・・・とまあ、これは単なる作り手の感想ですが(笑)
詳しく調べれば官報とかにピッチと糸の変更のお達しが載ってるかもしれませんね。
でくの房@セカンド木村
COMMENT
休業中のところすみません。日本軍の装備品を見ている内に自分でも何か作ってみようと思いました。質問なのですが麻糸はロウ引きという処理をするものなのでしょうか?
Posted by よこお at 2020年02月19日 10:22
ロウ引きは必ず行います。製作頑張って下さい。
Posted by でくの房 at 2020年02月24日 15:15