でくの房
https://dekunobou2010.militaryblog.jp
こんにちは「でくの房」です。
現在休業中につき、カテゴリ内「オーダー受付商品」の製作は承っておりません。
尚、「現在販売商品」は販売を行っております。どうぞご利用ください。
お問い合わせは
okko9853@yahoo.co.jp
までお願いします。一両日中には必ず返信しております。当方から返信が無い場合は他のメールアドレスから再度送信してみて下さい。また不定期出張の為、上記以外からのお問い合わせは返信が遅れます。
ja
でくの房
2015-10-26T21:10:42+09:00
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騎兵弾薬盒 製作レポ3
https://dekunobou2010.militaryblog.jp/e705837.html
さてさて、騎兵弾薬盒の試作は大詰めを迎えています。
↑「大詰め」って、もう出来てるじゃん。いえいえ、これがあるのです。↓
↑そう、騎兵弾薬盒のシンボルともいえる背負い革です。
この負い革を弾薬盒から飛び出している真鍮金具(ギボシ)に取り付けるのですが、ここで疑問が・・・。
ちょっと実物を観察してみましょう。↓
↑実物の負い革は根元でチョン切られているのが分かります。しかし、不思議なことに・・・
↑本来ならこのようにギボシを通す丸い穴に「切れ込み」がなければ装着できないハズなんですが・・・
↑実物にはこの「切れ込み」が無いのである。じゃあどうやって付けたの??
騎兵弾薬盒の場合、基本的にこの負い革は取り外しを想定していない作りとなっている、と言えるのかもしれない。
だからこそ、(取り外せないから)負い革が根元でチョン切られていたのである。
もちろん、例外もあるとは思いますが、セカンド木村は「切れ込み」が入っていない例を他にも見たことがあります。
よし、「切れ込み」がないのは分かった。ではどうやって取り付けたのか?
一応、試作品で試してみますと・・・↓
↑試すも何も、4ミリ厚のゴツイものを径の大きいギボシの頭に通すのは到底無理である。
仕方なく(?)実物には存在しない「切れ込み」を入れます。
こんな感じ。
これならすんなり通ります♪
もう一方も取り付けます。
ベルトの先端を尾錠に通して・・・
完成です。
帯革も通ります。
三式でごめんなさい。装着して鏡の前で撮影。逆に装着すれば良かった・・・
最後に、我が家に残るプライベート写真より。
このお方は親戚だそうです(父談)。セカンド木村は直接には知らない方です。
当時写真と比べてみますと、負い革がちょっと短く感じます。
この部分も含め、作り手にしか分からない細かい手直し、調整を済ませて、いよいよ生産に入ります。
複製作業を行っていて、「これはどうやって作ったのだろう?」と疑問に思うことがよくあります。今回の負い革がそうでして、本当にどうやったのかが分からないのである。水でふやかした?ふやかしてもあの径は通らない。ギボシをカシメ止めする前に取り付けた?台座のほうの径も通るハズがない。
既に販売中の前盒ですが、実は複製作業の時には様々な疑問が湧いてきまして、これだけ複製品を作って売ってはいますが、未だに「ここは本当はどのように作ったのだろう?」と疑問が残っている部分があるのです。そういった意味ではセカンド木村が作っている物は「精巧複製」とは言えないのかも知れません。
Vショーに持って行けるように頑張ります。
でくの房@セカンド木村
さてさて、騎兵弾薬盒の試作は大詰めを迎えています。
↑「大詰め」って、もう出来てるじゃん。いえいえ、これがあるのです。↓
↑そう、騎兵弾薬盒のシンボルともいえる背負い革です。
この負い革を弾薬盒から飛び出している真鍮金具(ギボシ)に取り付けるのですが、ここで疑問が・・・。
ちょっと実物を観察してみましょう。↓
↑実物の負い革は根元でチョン切られているのが分かります。しかし、不思議なことに・・・
↑本来ならこのようにギボシを通す丸い穴に「切れ込み」がなければ装着できないハズなんですが・・・
↑実物にはこの「切れ込み」が無いのである。じゃあどうやって付けたの??
騎兵弾薬盒の場合、基本的にこの負い革は取り外しを想定していない作りとなっている、と言えるのかもしれない。
だからこそ、(取り外せないから)負い革が根元でチョン切られていたのである。
もちろん、例外もあるとは思いますが、セカンド木村は「切れ込み」が入っていない例を他にも見たことがあります。
よし、「切れ込み」がないのは分かった。ではどうやって取り付けたのか?
一応、試作品で試してみますと・・・↓
↑試すも何も、4ミリ厚のゴツイものを径の大きいギボシの頭に通すのは到底無理である。
仕方なく(?)実物には存在しない「切れ込み」を入れます。
こんな感じ。
これならすんなり通ります♪
もう一方も取り付けます。
ベルトの先端を尾錠に通して・・・
完成です。
帯革も通ります。
三式でごめんなさい。装着して鏡の前で撮影。逆に装着すれば良かった・・・
最後に、我が家に残るプライベート写真より。
このお方は親戚だそうです(父談)。セカンド木村は直接には知らない方です。
当時写真と比べてみますと、負い革がちょっと短く感じます。
この部分も含め、作り手にしか分からない細かい手直し、調整を済ませて、いよいよ生産に入ります。
複製作業を行っていて、「これはどうやって作ったのだろう?」と疑問に思うことがよくあります。今回の負い革がそうでして、本当にどうやったのかが分からないのである。水でふやかした?ふやかしてもあの径は通らない。ギボシをカシメ止めする前に取り付けた?台座のほうの径も通るハズがない。
既に販売中の前盒ですが、実は複製作業の時には様々な疑問が湧いてきまして、これだけ複製品を作って売ってはいますが、未だに「ここは本当はどのように作ったのだろう?」と疑問が残っている部分があるのです。そういった意味ではセカンド木村が作っている物は「精巧複製」とは言えないのかも知れません。
Vショーに持って行けるように頑張ります。
でくの房@セカンド木村
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弾薬盒
でくの房
2015-10-26T21:10:42+09:00
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騎兵弾薬盒 製作レポ2
https://dekunobou2010.militaryblog.jp/e704742.html
さてさて、騎兵弾薬盒の試作ですが徐々にカタチになってきましたので中間報告です。
↑本体に工具類を留める革を縫い付けています。
↑中央の仕切り革も縫い付け完了・・・と、ここまでやると・・・
これらが上手く収まるかどうかやってみたくなりますよね。
先ずは手入れ棒から。
ちょっと入りづらかったですが、何とか収まりました。
洗管は?
いい感じに収まりました。
・・・と、まるで初めて試したかのような演出ですが、実はこの段階に至るまで実物を何度も計測したり、型紙を何回もやり替えたり、革の位置をちょっとだけ替えたりと・・・ここだけで丸1日以上の作業となりました。何でもないような部分で、意外と悪戦苦闘するもんです。
続いて油缶です。
これは簡単にクリア。
最後にネジ回しを。
ネジ回しはこのようにちゃんと収納する部分が設けられています。
ありゃ?固い・・・(汗
ちょっと無理やり押し込んで何とか収納。この部分の型紙は改修しなければなりません。
全て収めたらこんな感じです。
さて、今回はここまで。10月中には試作完成予定です。
また次回続きをレポートします。
でくの房@セカンド木村
さてさて、騎兵弾薬盒の試作ですが徐々にカタチになってきましたので中間報告です。
↑本体に工具類を留める革を縫い付けています。
↑中央の仕切り革も縫い付け完了・・・と、ここまでやると・・・
これらが上手く収まるかどうかやってみたくなりますよね。
先ずは手入れ棒から。
ちょっと入りづらかったですが、何とか収まりました。
洗管は?
いい感じに収まりました。
・・・と、まるで初めて試したかのような演出ですが、実はこの段階に至るまで実物を何度も計測したり、型紙を何回もやり替えたり、革の位置をちょっとだけ替えたりと・・・ここだけで丸1日以上の作業となりました。何でもないような部分で、意外と悪戦苦闘するもんです。
続いて油缶です。
これは簡単にクリア。
最後にネジ回しを。
ネジ回しはこのようにちゃんと収納する部分が設けられています。
ありゃ?固い・・・(汗
ちょっと無理やり押し込んで何とか収納。この部分の型紙は改修しなければなりません。
全て収めたらこんな感じです。
さて、今回はここまで。10月中には試作完成予定です。
また次回続きをレポートします。
でくの房@セカンド木村
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弾薬盒
でくの房
2015-10-22T20:29:34+09:00
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騎兵弾薬盒 製作レポ
https://dekunobou2010.militaryblog.jp/e702365.html
さてさて、年末のVショーへ向けて新製品のお知らせです。
騎兵弾薬盒の油缶を製作しました。
こちら、キャスト製(だと思う)で、製作してくれたのはセカンド木村にとっては保育園来の幼馴染の親友H君です。ちなみに彼はFRPの造形屋で美ら海水族館、USJ、ディズニーシーなどにも納品している若手のプロで、忙しい合間を縫って「面倒くさい」作業を請け負ってくれました(笑)。この場を借りてH君にはお礼を申し上げます。本当に有難うございました。
で、騎兵弾薬盒と言えば・・・
↑コレも欲しくなりますよねえー、ちゃんと作りましたよ・・・エヘヘヘ。
洗管は実物はネジきりをされていますが、工房製はこの部分は真鍮丸棒のままです。
こだわりたい方は穴を開けてタップでやってもらってもいいですが、戦前の日本はJIS規格ではないので自己満足で終わると思います・・・もとよりφ6に穴開けはチョイ厳しいですが。
↑ん?これは?
九九式小銃が登場するまでの(廃兵前の)騎兵弾薬盒は恐らくこのタイプ(間違ってるかもしれません)、と勝手に思っているので、背負うための負い革を留めるギボシも新規に量産。
ということで役者がほぼ全て揃いましたので騎兵弾薬盒の製作を本格開始です。
年末のVショーには2、3個持っていけたらいいです(←ちゃんと逃げ場を作った曖昧な表現)
追々、製作レポを更新します。
でくの房@セカンド木村
さてさて、年末のVショーへ向けて新製品のお知らせです。
騎兵弾薬盒の油缶を製作しました。
こちら、キャスト製(だと思う)で、製作してくれたのはセカンド木村にとっては保育園来の幼馴染の親友H君です。ちなみに彼はFRPの造形屋で美ら海水族館、USJ、ディズニーシーなどにも納品している若手のプロで、忙しい合間を縫って「面倒くさい」作業を請け負ってくれました(笑)。この場を借りてH君にはお礼を申し上げます。本当に有難うございました。
で、騎兵弾薬盒と言えば・・・
↑コレも欲しくなりますよねえー、ちゃんと作りましたよ・・・エヘヘヘ。
洗管は実物はネジきりをされていますが、工房製はこの部分は真鍮丸棒のままです。
こだわりたい方は穴を開けてタップでやってもらってもいいですが、戦前の日本はJIS規格ではないので自己満足で終わると思います・・・もとよりφ6に穴開けはチョイ厳しいですが。
↑ん?これは?
九九式小銃が登場するまでの(廃兵前の)騎兵弾薬盒は恐らくこのタイプ(間違ってるかもしれません)、と勝手に思っているので、背負うための負い革を留めるギボシも新規に量産。
ということで役者がほぼ全て揃いましたので騎兵弾薬盒の製作を本格開始です。
年末のVショーには2、3個持っていけたらいいです(←ちゃんと逃げ場を作った曖昧な表現)
追々、製作レポを更新します。
でくの房@セカンド木村]]>
弾薬盒
でくの房
2015-10-14T15:39:54+09:00
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前盒の試作 その8(最終回)
https://dekunobou2010.militaryblog.jp/e501735.html
♪メリー・クリスマス♪・・・・あれ?誰ですか?聖夜だというのに日本軍の弾入れを見ているのは・・・。
いえいえ、とんでもない、皆さま当ブログをご覧くださいまして有難うございます。クリスマスだからって、かんけー無いですよねえ。どうってこと無いですよねえ??・・・昔はそんなこと考えていたセカンド木村も今はアラサー後半の2児のパパ。プレゼントだのケーキだのって、子供たちの喜ぶ姿を想像するとなんだかこちらも嬉しくなって、その準備を進めてしまいます!
さてさて、いよいよ年の瀬も押し迫ってきました。
現在でくの房には、修理、注文のご依頼が大変多く(有難うございます)、来年の4月頃まで手一杯の状態であります。
前盒のレポートを何とか年内に終えておきたい、と少々焦っております
では、前盒の試作最終章を以下にご紹介します。
縫製編 2(最終)
つなぎ革を本体に縫いつけます。
位置がずれないように縫い針で仮に固定して縫っていきます。
縫付完了。
つづいて、仕切革を縫いつけていきます。
この端面から縫い始めます。
この部分は特殊(でもないか?)な縫い方で、仕切革にナナメにあけられた縫い穴を通して順次縫い続けていきます。
ぐるり、と体の底面を通ってあと2、3目で終了。
最後まで縫ったら2目もどって糸を切ります。
完了。さて・・・ツラはあっているかな?
・・・まずまずの出来かな?精度は実物には及びませんが、今回はこの辺が限界かな?って感じです。
左右2個縫いつけます。
お次は蓋を体に縫いつけます。
この時も、位置がずれないように縫い針で仮固定しています。
縫付完了。
さて、このパーツで「オーラス、恋人選び」。止革を縫いつけます。
蓋の上に片側を縫いつけたら・・・
蓋止革を挟みこんで、
止革のもう一方を縫いつけます。
完了!!
ちなみに蓋止革ですが、何らかの拍子に矢印の方向に引っ張られても簡単には抜け落ちないような構造になっています。デザインだけでなく、機能面に於いても優れた設計をなされているのが伺えます。
完成画像をご覧ください↓
蓋を開ければ内側も表革。高級感があります。↑
2個並べるとより見栄えがしますね。
以前に工房で製作した品々と並べてみました!↓
・・・で、やっぱり身に付けてみました(笑)
Photo by 嫌がる妻
前盒を製作するにあたって、失敗した革の数々・・・可能な限り再利用します。
こちらは失敗した型紙の数々・・・労力が詰まっているものだけに廃棄処分は正直気が重い。
しかし「決定版」と混在してはいけないので泣いて馬謖を斬る思いで処分しました・・・。
こちら、最初に製作して最後まで生き残った「帯革通」と「止革」の型紙。これ以外のパーツは全て手入れ直しを行ったことになります。
さて、長期間に渡って前盒の製作レポートをしてきまして、漸く完成にこぎつけました。
しかし個人工房は量産が効かないのが泣き所。価格も1個当たり¥8500以上に設定する予定です(既にご注文、仮ご注文を承っているお客様は旧料金です)。
もし数カ月待ってもOK、という方はご遠慮なくこちらまでお問い合わせください。
次回は、軽機弾倉嚢をレポートします。
でくの房@セカンド木村
♪メリー・クリスマス♪・・・・あれ?誰ですか?聖夜だというのに日本軍の弾入れを見ているのは・・・。
いえいえ、とんでもない、皆さま当ブログをご覧くださいまして有難うございます。クリスマスだからって、かんけー無いですよねえ。どうってこと無いですよねえ??・・・昔はそんなこと考えていたセカンド木村も今はアラサー後半の2児のパパ。プレゼントだのケーキだのって、子供たちの喜ぶ姿を想像するとなんだかこちらも嬉しくなって、その準備を進めてしまいます!
さてさて、いよいよ年の瀬も押し迫ってきました。
現在でくの房には、修理、注文のご依頼が大変多く(有難うございます)、来年の4月頃まで手一杯の状態であります。
前盒のレポートを何とか年内に終えておきたい、と少々焦っております
では、前盒の試作最終章を以下にご紹介します。
縫製編 2(最終)
つなぎ革を本体に縫いつけます。
位置がずれないように縫い針で仮に固定して縫っていきます。
縫付完了。
つづいて、仕切革を縫いつけていきます。
この端面から縫い始めます。
この部分は特殊(でもないか?)な縫い方で、仕切革にナナメにあけられた縫い穴を通して順次縫い続けていきます。
ぐるり、と体の底面を通ってあと2、3目で終了。
最後まで縫ったら2目もどって糸を切ります。
完了。さて・・・ツラはあっているかな?
・・・まずまずの出来かな?精度は実物には及びませんが、今回はこの辺が限界かな?って感じです。
左右2個縫いつけます。
お次は蓋を体に縫いつけます。
この時も、位置がずれないように縫い針で仮固定しています。
縫付完了。
さて、このパーツで「オーラス、恋人選び」。止革を縫いつけます。
蓋の上に片側を縫いつけたら・・・
蓋止革を挟みこんで、
止革のもう一方を縫いつけます。
完了!!
ちなみに蓋止革ですが、何らかの拍子に矢印の方向に引っ張られても簡単には抜け落ちないような構造になっています。デザインだけでなく、機能面に於いても優れた設計をなされているのが伺えます。
完成画像をご覧ください↓
蓋を開ければ内側も表革。高級感があります。↑
2個並べるとより見栄えがしますね。
以前に工房で製作した品々と並べてみました!↓
・・・で、やっぱり身に付けてみました(笑)
Photo by 嫌がる妻
前盒を製作するにあたって、失敗した革の数々・・・可能な限り再利用します。
こちらは失敗した型紙の数々・・・労力が詰まっているものだけに廃棄処分は正直気が重い。
しかし「決定版」と混在してはいけないので泣いて馬謖を斬る思いで処分しました・・・。
こちら、最初に製作して最後まで生き残った「帯革通」と「止革」の型紙。これ以外のパーツは全て手入れ直しを行ったことになります。
さて、長期間に渡って前盒の製作レポートをしてきまして、漸く完成にこぎつけました。
しかし個人工房は量産が効かないのが泣き所。価格も1個当たり¥8500以上に設定する予定です(既にご注文、仮ご注文を承っているお客様は旧料金です)。
もし数カ月待ってもOK、という方はご遠慮なくこちらまでお問い合わせください。
次回は、軽機弾倉嚢をレポートします。
でくの房@セカンド木村]]>
弾薬盒
でくの房
2013-12-24T15:53:05+09:00
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前盒の試作 その7
https://dekunobou2010.militaryblog.jp/e491649.html
その6の続きです。
さてご無沙汰しています。季節はすっかり冬模様ですが、いかがお過ごしですか?
11月に入りますと、もうクリスマスがどうの、大掃除がどうの、年賀状がどうの、おせちがどうのと何かと気ぜわしく感じますね。「そんなのまだ先の話。」な~んて軽く考えてたらあっという間に年末を迎えますので、少しづつ準備していきましょうね。
前盒の製作記事も「その7」を迎えますと、読む方も、日記を書く方もいい加減どうでもよくなってしまっている感があります(笑)。事実、この記事をUPし続けているセカンド木村でさえ「あれ?前回どこまでやったっけ?」というていたらく。
でもここまで来たからにはやっぱ止められないので「その7」を記そうと思います。
縫製編1
↑「縫製編」とデカデカとあるのに前回の続きをちょっとだけ紹介します。(セカンド木村が如何に無計画にこのブログを製作しているのかが分かりますね)
前回のつづき、「体」のコバ面を綺麗に仕上げるために今回はこのような「硬化剤」を使用してみます。
筆を使って慎重にコバ面に硬化剤を塗って行きます。
この硬化剤は乾燥が恐ろしく早く、しかも塗装面は非常に堅くなるので効果が実感できます。ヤスリでこすってコバ面をならします。
その後、床面処理材とかで軽く拭きあげると・・・
こんな感じに。一体物の革に見えるでしょ?
さて、お次はギボシと呼ばれる真鍮金具を仕切革に付けていきます。前盒の蓋を閉じて留めるのに重要な金具です。
このように専用の工具を使用して、軽くコンコンと真鍮の足をつぶして(カシメて)いきます。これも当時と同じやり方です。
カシメ作業完了。未加工のギボシと並べたらこんな感じです。
前盒1個につき、左右2個取り付けます。
全てのパーツにオイルを塗って、さあ、いよいよ縫い作業、「縫製編」の始まりです↓
先ずはこのパーツから。蓋とその側面の革を縫って行きます。
これもいわゆる「駒縫い」ってやつです(のハズです)。
縫い終わったらこんな感じ。
左右に施します。
次に帯革通しを縫いつけます。
最初は上側から縫います。順番を考えながら縫っていかないと、あとでパーツが縫い合わせられなくなったりしますので要注意です。
帯革通しの縫付完了。
次に前盒の中央にくる仕切革を縫いつけます。
バイスに挟んで2本針で縫います。
ここの仕切革は3枚合わせで厚さが12ミリもありますので、このように丸ギリで穴を通し直して縫い作業を進めます。
縫付完了。
次に、縫い終わった仕切革を体に縫いつけるのですが・・・
さて、みなさん、これをどうやって縫いつけるか分かりますか?
前盒の縫い作業に於いては恐らくここが一番難しい(というか面倒くさい)箇所だと思います。
ではその行程を見てみましょう。
まず、縫い針を8本用意します。
1本の糸の両端に針を付けていきます。
これで1-2、3-4、5-6、7-8、と4セット分の糸と針が出来ましたね。
では、次に、体の前面からこの様に針を差し込んでいきます。
差し込んだ針は更に仕切革の縫い穴に差し込まれていきます。
さらに体の前面左列に針を通したらこの様な状態になります。この時点で針は4本使用されています。
次に、体の後ろ面から針を左右の列ともに通していきます。すると・・・
このような状態に。4本の糸と、8本の針が同時に使用されているのがお分かりでしょうか?
では一針づつ、上へ(蓋側へ)向かって縫い進めていきましょう。
体の前面を2、3針縫ったら、反対側も2、3針づつ縫い進めていきます。
前と後ろ、2針づつ縫ったところ。面倒くさいですが、このように前と後ろを交互に縫って行きます。片方だけを全て縫ってしまうと、反対側を縫おうとした時に、針が体の内部にぶつかり、縫い作業が物理的に不可能になってしまいます。当時もこのように縫ったかどうかは定かではありませんが、恐らくこのように縫いつけられたのでは?と考えます。
大分縫い進んできました。ゴール目前です。
最後まで縫い終わったら、一目縫い返して糸を切ります。
仕切革の縫付完了。
まずまずの出来です(←ちょっと謙遜)
縫い終わったあとの針と糸。もったいないですが、糸は廃棄処分です。
今回はここまでです。次回はいよいよ最終回!・・・にしたいです・・・。
その8へつづく
その6の続きです。
さてご無沙汰しています。季節はすっかり冬模様ですが、いかがお過ごしですか?
11月に入りますと、もうクリスマスがどうの、大掃除がどうの、年賀状がどうの、おせちがどうのと何かと気ぜわしく感じますね。「そんなのまだ先の話。」な~んて軽く考えてたらあっという間に年末を迎えますので、少しづつ準備していきましょうね。
前盒の製作記事も「その7」を迎えますと、読む方も、日記を書く方もいい加減どうでもよくなってしまっている感があります(笑)。事実、この記事をUPし続けているセカンド木村でさえ「あれ?前回どこまでやったっけ?」というていたらく。
でもここまで来たからにはやっぱ止められないので「その7」を記そうと思います。
縫製編1
↑「縫製編」とデカデカとあるのに前回の続きをちょっとだけ紹介します。(セカンド木村が如何に無計画にこのブログを製作しているのかが分かりますね)
前回のつづき、「体」のコバ面を綺麗に仕上げるために今回はこのような「硬化剤」を使用してみます。
筆を使って慎重にコバ面に硬化剤を塗って行きます。
この硬化剤は乾燥が恐ろしく早く、しかも塗装面は非常に堅くなるので効果が実感できます。ヤスリでこすってコバ面をならします。
その後、床面処理材とかで軽く拭きあげると・・・
こんな感じに。一体物の革に見えるでしょ?
さて、お次はギボシと呼ばれる真鍮金具を仕切革に付けていきます。前盒の蓋を閉じて留めるのに重要な金具です。
このように専用の工具を使用して、軽くコンコンと真鍮の足をつぶして(カシメて)いきます。これも当時と同じやり方です。
カシメ作業完了。未加工のギボシと並べたらこんな感じです。
前盒1個につき、左右2個取り付けます。
全てのパーツにオイルを塗って、さあ、いよいよ縫い作業、「縫製編」の始まりです↓
先ずはこのパーツから。蓋とその側面の革を縫って行きます。
これもいわゆる「駒縫い」ってやつです(のハズです)。
縫い終わったらこんな感じ。
左右に施します。
次に帯革通しを縫いつけます。
最初は上側から縫います。順番を考えながら縫っていかないと、あとでパーツが縫い合わせられなくなったりしますので要注意です。
帯革通しの縫付完了。
次に前盒の中央にくる仕切革を縫いつけます。
バイスに挟んで2本針で縫います。
ここの仕切革は3枚合わせで厚さが12ミリもありますので、このように丸ギリで穴を通し直して縫い作業を進めます。
縫付完了。
次に、縫い終わった仕切革を体に縫いつけるのですが・・・
さて、みなさん、これをどうやって縫いつけるか分かりますか?
前盒の縫い作業に於いては恐らくここが一番難しい(というか面倒くさい)箇所だと思います。
ではその行程を見てみましょう。
まず、縫い針を8本用意します。
1本の糸の両端に針を付けていきます。
これで1-2、3-4、5-6、7-8、と4セット分の糸と針が出来ましたね。
では、次に、体の前面からこの様に針を差し込んでいきます。
差し込んだ針は更に仕切革の縫い穴に差し込まれていきます。
さらに体の前面左列に針を通したらこの様な状態になります。この時点で針は4本使用されています。
次に、体の後ろ面から針を左右の列ともに通していきます。すると・・・
このような状態に。4本の糸と、8本の針が同時に使用されているのがお分かりでしょうか?
では一針づつ、上へ(蓋側へ)向かって縫い進めていきましょう。
体の前面を2、3針縫ったら、反対側も2、3針づつ縫い進めていきます。
前と後ろ、2針づつ縫ったところ。面倒くさいですが、このように前と後ろを交互に縫って行きます。片方だけを全て縫ってしまうと、反対側を縫おうとした時に、針が体の内部にぶつかり、縫い作業が物理的に不可能になってしまいます。当時もこのように縫ったかどうかは定かではありませんが、恐らくこのように縫いつけられたのでは?と考えます。
大分縫い進んできました。ゴール目前です。
最後まで縫い終わったら、一目縫い返して糸を切ります。
仕切革の縫付完了。
まずまずの出来です(←ちょっと謙遜)
縫い終わったあとの針と糸。もったいないですが、糸は廃棄処分です。
今回はここまでです。次回はいよいよ最終回!・・・にしたいです・・・。
その8へつづく]]>
弾薬盒
でくの房
2013-11-20T15:27:17+09:00
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前盒の試作 その6
https://dekunobou2010.militaryblog.jp/e484409.html
その5の続きです。
染色編
前回まではパーツの穴開け、エッジ加工を行いましたので、今回は染色作業を紹介したいと思います。
各パーツ、工房オリジナル染料で塗装していきます。
「蓋」の裏面(床面)には、贋作防止用に工房オリジナル印を押します。
「体」を除いて、全てのパーツが塗り終わりました。「体」の塗装は型付けの作業を伴いますので、後ほど紹介します。
つづいて各パーツの床面、コバ面を処理材で磨き上げていきます。
「蓋止革」の床面も処理していきます。
このような細かいパーツのコバ面も処理剤を塗って・・・
その後、布でこすりあげると・・・
ご覧の通り、綺麗な仕上がりに。(上が処理済みで下が未処理のもの)
この様に各部、手を抜くこと無く綺麗に磨き上げていきます。
床面、コバ面の処理が終わった状態です。結構体力のいる作業です。
さて、お次はセカンド木村がこだわりにこだわった「体」の塗装、型付けに入ります。
と、その前に先ずはこちらの画像をご覧ください。↓
こちら、以前に試作した前盒ですが・・・
「体」と「仕切革」の縫い合わせ部をよくご覧ください。
両パーツのツラがあっていないのが分かりますよね?
また、「体」が2枚合わせの為、貼り合わせ時にズレてしまい、段差が生じているのが確認出来ると思います。
実物(奥側)と比較してみますと・・・実物の方はツラもピッタリで、2枚合わせの「体」の革もまるで1枚革で製作したかのような仕上がり。一方、試作品は各ツラがガタガタ・・・、その差は歴然です。
こちら、悪い例をもう一つ。糸を通す穴の位置を意図的にずらして試作した物。これは「仕切革」が「体」よりも出てしまい、このように不格好な仕上がりとなってしまいました。
以上のように、2枚合わせの「体」のズレ、「仕切革」と「体」のズレ、の2点を克服すべく、セカンド木村は以下のような方法を用いています。
「体」になる2枚の革を用意します。
革を裏返して、貼り合わせるためにボンドを塗っていきます(また竹串を使用・・・)
ボンドは革の中央部のみに塗ります。ここが「体」の底面部になります。
2枚を貼り合わせて・・・
ローラーで圧着します。
その後、テキトーな重りをのせて、ボンドが乾くのを待ちます。
ボンドが乾いたら、塗料を塗って行きます。
両面とも、なるべくムラが出ないように綺麗に塗って行きます(↑画像ではしっかりムラが出ていますが・・・汗)
次に使うのがこちらの冶具。セカンド木村が弱いオツムをフル回転させて考案しました。
塗装作業が終了した直後の「体」を、柔らかいうちにこの冶具に挟み込んでいきます。
冶具に革を挟み、定位置に持ってきたら両端のネジを締めこみ、革がズレないように固定します。
更に、この様に工具を使用して固定します。
そして机の端っこを利用して、この様に革を折り曲げていきます。
反対側も、しっかりと折り目を付けます。
「体」の底面を固定して、その両端を折りまげたような状態になっています。これでしばらく乾燥させます。
塗料が乾燥したら、冶具を外していきます。
こんな感じになりました。
懲りずに竹串でボンドを塗ったら・・・
貼り合わせていきます。
この面もしっかりとローラーで圧着していきます。
貼り合わせが完了した状態。だんだんそれらしく見えてきました。
「体」の革は内側の革(堅牛革)の方がやや大きめに裁たれていますので、外側の革に合わせて余分な箇所を切り取って行きます。
この様に4辺のはみ出し部を切り取っていきます。
さらに、先述の『2枚合わせの「体」のズレ、段差』をなくすためにコバ面を漉き工具で削り、段差を無くします。
この状態から更に・・・
コバ面にヤスリをかけていきます。本当に手間が掛かります。
4辺のコバ面の下処理が終わった状態です。2枚革ですが、1枚革に見えるかな・・・?
その7につづく。
その5の続きです。
染色編
前回まではパーツの穴開け、エッジ加工を行いましたので、今回は染色作業を紹介したいと思います。
各パーツ、工房オリジナル染料で塗装していきます。
「蓋」の裏面(床面)には、贋作防止用に工房オリジナル印を押します。
「体」を除いて、全てのパーツが塗り終わりました。「体」の塗装は型付けの作業を伴いますので、後ほど紹介します。
つづいて各パーツの床面、コバ面を処理材で磨き上げていきます。
「蓋止革」の床面も処理していきます。
このような細かいパーツのコバ面も処理剤を塗って・・・
その後、布でこすりあげると・・・
ご覧の通り、綺麗な仕上がりに。(上が処理済みで下が未処理のもの)
この様に各部、手を抜くこと無く綺麗に磨き上げていきます。
床面、コバ面の処理が終わった状態です。結構体力のいる作業です。
さて、お次はセカンド木村がこだわりにこだわった「体」の塗装、型付けに入ります。
と、その前に先ずはこちらの画像をご覧ください。↓
こちら、以前に試作した前盒ですが・・・
「体」と「仕切革」の縫い合わせ部をよくご覧ください。
両パーツのツラがあっていないのが分かりますよね?
また、「体」が2枚合わせの為、貼り合わせ時にズレてしまい、段差が生じているのが確認出来ると思います。
実物(奥側)と比較してみますと・・・実物の方はツラもピッタリで、2枚合わせの「体」の革もまるで1枚革で製作したかのような仕上がり。一方、試作品は各ツラがガタガタ・・・、その差は歴然です。
こちら、悪い例をもう一つ。糸を通す穴の位置を意図的にずらして試作した物。これは「仕切革」が「体」よりも出てしまい、このように不格好な仕上がりとなってしまいました。
以上のように、2枚合わせの「体」のズレ、「仕切革」と「体」のズレ、の2点を克服すべく、セカンド木村は以下のような方法を用いています。
「体」になる2枚の革を用意します。
革を裏返して、貼り合わせるためにボンドを塗っていきます(また竹串を使用・・・)
ボンドは革の中央部のみに塗ります。ここが「体」の底面部になります。
2枚を貼り合わせて・・・
ローラーで圧着します。
その後、テキトーな重りをのせて、ボンドが乾くのを待ちます。
ボンドが乾いたら、塗料を塗って行きます。
両面とも、なるべくムラが出ないように綺麗に塗って行きます(↑画像ではしっかりムラが出ていますが・・・汗)
次に使うのがこちらの冶具。セカンド木村が弱いオツムをフル回転させて考案しました。
塗装作業が終了した直後の「体」を、柔らかいうちにこの冶具に挟み込んでいきます。
冶具に革を挟み、定位置に持ってきたら両端のネジを締めこみ、革がズレないように固定します。
更に、この様に工具を使用して固定します。
そして机の端っこを利用して、この様に革を折り曲げていきます。
反対側も、しっかりと折り目を付けます。
「体」の底面を固定して、その両端を折りまげたような状態になっています。これでしばらく乾燥させます。
塗料が乾燥したら、冶具を外していきます。
こんな感じになりました。
懲りずに竹串でボンドを塗ったら・・・
貼り合わせていきます。
この面もしっかりとローラーで圧着していきます。
貼り合わせが完了した状態。だんだんそれらしく見えてきました。
「体」の革は内側の革(堅牛革)の方がやや大きめに裁たれていますので、外側の革に合わせて余分な箇所を切り取って行きます。
この様に4辺のはみ出し部を切り取っていきます。
さらに、先述の『2枚合わせの「体」のズレ、段差』をなくすためにコバ面を漉き工具で削り、段差を無くします。
この状態から更に・・・
コバ面にヤスリをかけていきます。本当に手間が掛かります。
4辺のコバ面の下処理が終わった状態です。2枚革ですが、1枚革に見えるかな・・・?
その7につづく。]]>
弾薬盒
でくの房
2013-11-01T11:52:01+09:00
-
前盒の試作 その5
https://dekunobou2010.militaryblog.jp/e480511.html
その4の続きです。
穴あけ、エッジ加工編
パーツの切り出しが終了したら、お次は各パーツのエッジ加工をします。
裁断された革は、たいていエッジが尖っています。この尖り部分を加工しないと、人間の肌に触れたときにチョット痛かったり(痛くは無いか)、エッジ部が被服類に擦れて革、被服を傷めたりと良い事は無いので必ず行います。多くのレプリカはこのエッジ加工が行われていない場合があります。
「へり落とし」という工具を使います。
このようにスルスルと気持ちよくエッジ部が削がれていきます。
上に乗っている革が加工済み、下が未加工のもの。加工済みのものはエッジ部が丸みを帯びているのが分かりますでしょうか?
以上のようにして、各パーツのエッジ部を削って行きます。
次に、穴開け加工を行います。
穴開けは、その穴を通して針、糸が通り、パーツとパーツを結合させ、相応の強度を維持させるための重用な作業となる上、糸の縫い目の美しさが作品の仕上がりを左右しますので慎重さが求められます。
今回は仕切革を例に紹介します。
その前に、こちらをご覧ください。平目打ちの刃巾は2ミリでピッチが6ミリ。既製品でこのようなものは無いので特注品です。
先ほどの平目打ちを使用して、印が付いている箇所に軽く穴を開けます。が、反対側へは打ち抜きません。
軽く穴開けをした仕切り革。左右両端に使用する堅牛革です。
この仕切革にナナメに穴を開ける際に使用するのがこちら。菱(ひし)ギリと呼ばれるもので、いわば両刃のキリといったところです。
ところが堅牛革を使用しているため、すんなり刃が通らないので、先に水性染料で染めて革を柔らかくします。
革が柔らかくなったところへ菱ギリで、グサ、グサ、と一箇所づつ丁寧に穴を開けていきます。
穴は仕切革の断面に抜けていきます。
銀面側から見るとこんな感じ。向こうへ穴が抜けているのがお分かりでしょうか?
左右で2個、この様に仕上げます。
つづいて、前盒の真ん中に位置する仕切革の加工を紹介します。
真ん中にくる仕切革は、3枚合わせですので、各々をボンドで貼り合わせます。(↑また竹串を使っとる!!)
貼り合わせ完了。4ミリ厚×3枚なので12ミリ厚の仕切革になります。
そしてこちらも先ほどと同じように、平目打ちで軽く穴開けします。両面に行います。
同じく菱ギリでナナメに穴を抜きます。これも両面行います。
穴開け加工が全て終わった真ん中の仕切革には、穴がこのように通っています。
3枚合わせにした仕切革は、上端面がガタガタなので、電動ツールで削ってきれいに仕上げます。
上が未加工で下が加工済みのもの。画像では分かりにくいかもしれませんが、3枚合わせの上端のツラが整っています。
エッジ部、穴開け加工が完了した状態。次回より染色、型付けに入ります。
ここで、前盒の「蓋」を例に、多脂牛革(左)と堅牛革(右)の堅さ比較をしてみましょう。
いつも使っているプラ板を乗せてみます。
おお!やはり堅牛革の方が潰されていない!どうやら堅牛革を使用するのは正解みたいです。
その6へつづく。
その4の続きです。
穴あけ、エッジ加工編
パーツの切り出しが終了したら、お次は各パーツのエッジ加工をします。
裁断された革は、たいていエッジが尖っています。この尖り部分を加工しないと、人間の肌に触れたときにチョット痛かったり(痛くは無いか)、エッジ部が被服類に擦れて革、被服を傷めたりと良い事は無いので必ず行います。多くのレプリカはこのエッジ加工が行われていない場合があります。
「へり落とし」という工具を使います。
このようにスルスルと気持ちよくエッジ部が削がれていきます。
上に乗っている革が加工済み、下が未加工のもの。加工済みのものはエッジ部が丸みを帯びているのが分かりますでしょうか?
以上のようにして、各パーツのエッジ部を削って行きます。
次に、穴開け加工を行います。
穴開けは、その穴を通して針、糸が通り、パーツとパーツを結合させ、相応の強度を維持させるための重用な作業となる上、糸の縫い目の美しさが作品の仕上がりを左右しますので慎重さが求められます。
今回は仕切革を例に紹介します。
その前に、こちらをご覧ください。平目打ちの刃巾は2ミリでピッチが6ミリ。既製品でこのようなものは無いので特注品です。
先ほどの平目打ちを使用して、印が付いている箇所に軽く穴を開けます。が、反対側へは打ち抜きません。
軽く穴開けをした仕切り革。左右両端に使用する堅牛革です。
この仕切革にナナメに穴を開ける際に使用するのがこちら。菱(ひし)ギリと呼ばれるもので、いわば両刃のキリといったところです。
ところが堅牛革を使用しているため、すんなり刃が通らないので、先に水性染料で染めて革を柔らかくします。
革が柔らかくなったところへ菱ギリで、グサ、グサ、と一箇所づつ丁寧に穴を開けていきます。
穴は仕切革の断面に抜けていきます。
銀面側から見るとこんな感じ。向こうへ穴が抜けているのがお分かりでしょうか?
左右で2個、この様に仕上げます。
つづいて、前盒の真ん中に位置する仕切革の加工を紹介します。
真ん中にくる仕切革は、3枚合わせですので、各々をボンドで貼り合わせます。(↑また竹串を使っとる!!)
貼り合わせ完了。4ミリ厚×3枚なので12ミリ厚の仕切革になります。
そしてこちらも先ほどと同じように、平目打ちで軽く穴開けします。両面に行います。
同じく菱ギリでナナメに穴を抜きます。これも両面行います。
穴開け加工が全て終わった真ん中の仕切革には、穴がこのように通っています。
3枚合わせにした仕切革は、上端面がガタガタなので、電動ツールで削ってきれいに仕上げます。
上が未加工で下が加工済みのもの。画像では分かりにくいかもしれませんが、3枚合わせの上端のツラが整っています。
エッジ部、穴開け加工が完了した状態。次回より染色、型付けに入ります。
ここで、前盒の「蓋」を例に、多脂牛革(左)と堅牛革(右)の堅さ比較をしてみましょう。
いつも使っているプラ板を乗せてみます。
おお!やはり堅牛革の方が潰されていない!どうやら堅牛革を使用するのは正解みたいです。
その6へつづく。]]>
弾薬盒
でくの房
2013-10-09T16:11:26+09:00
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前盒の試作 その4
https://dekunobou2010.militaryblog.jp/e478928.html
その3の続きです。
切削編2:仕切革の切り出し
さて、次は⑧のパーツ「仕切革」を切り出します。
ところで、前盒を兵士一人分の2個製作した場合、この「仕切革」は何枚必要になると思いますか?
正解はコレ↑前盒1個に対し5枚必要です。2個分製作するとなると10個もの仕切革が必要となります。
カーブ曲線の入ったこのパーツを10個も切り出すのは正直大変です。そこで・・・
このような「抜型」を特注で作ってもらいました。これで作業スピードアップ!
しかし4ミリ厚の革を一気に抜き出すのは予想より大変。木槌はもとより、普通サイズの金槌でも無理。そこで倉庫に放っておいた汚いセットー(石頭)を引っぱり出してきました↑
この3枚で真ん中の仕切革を製作します。
つづいては左右両端に使用する仕切り革を抜き出します。これは堅牛革から抜き出すので、水にさらし、柔らかくしてから作業を行います。
仕様によると、仕切革は全て堅牛革を使用するようになっていますが、工房では加工の問題上、中央の3枚合わせの仕切革は多脂牛革を、左右両端の仕切革を堅牛革としました。
「中央の仕切革を多脂牛革にして問題は無いの?」と思われるかもしれませんが、4ミリ厚のものを3枚も重ね合わせると、相当な強度を保ちます。試しに試作品前盒の中央部を体重70キロのセカンド木村が踏んづけた上、体重を全てその上に乗せても破損するようなことはありませんでした。
切削編3:体の切り出し
お次は①のパーツ「体」の切り出しです。
先述のとおり、体は堅牛革と多脂牛革の2枚合わせです。
今回使用する革はこちら。左が多脂牛革(2.0ミリ)で右が堅牛革(2.5ミリ)になります。
先ずは多脂牛革(2.0ミリ)から。型紙に従ってケガキ、穴あけポイントに印を付けていきます。
ケガいたら革包丁で切り出していきます。
お次は堅牛革(2.5ミリ)をケガいて、切り出します。
体の切り出しが完了しました。多脂牛革に比較して堅牛革の方はタテヨコやや広めに切り出しています。
ついでなので、体の2枚貼り合わせ作業を行います。
革の床面中央部にボンドを塗ります(↑横着で竹串を使っています。ハケを使えっつーの!)
お互いの革の位置を確認しながら慎重に貼り合わせていきます。
貼り合わせたら・・・
ローラーで圧着します。
その後は重りになるようなテキトーなもので押さえ、ボンドが乾くまで放っておきます。
さて、今回はここまでです。以上で大まかなパーツの切り出しの紹介は終わりました。
次回は細部加工、穴あけ作業をご紹介します。
その5へつづく
その3の続きです。
切削編2:仕切革の切り出し
さて、次は⑧のパーツ「仕切革」を切り出します。
ところで、前盒を兵士一人分の2個製作した場合、この「仕切革」は何枚必要になると思いますか?
正解はコレ↑前盒1個に対し5枚必要です。2個分製作するとなると10個もの仕切革が必要となります。
カーブ曲線の入ったこのパーツを10個も切り出すのは正直大変です。そこで・・・
このような「抜型」を特注で作ってもらいました。これで作業スピードアップ!
しかし4ミリ厚の革を一気に抜き出すのは予想より大変。木槌はもとより、普通サイズの金槌でも無理。そこで倉庫に放っておいた汚いセットー(石頭)を引っぱり出してきました↑
この3枚で真ん中の仕切革を製作します。
つづいては左右両端に使用する仕切り革を抜き出します。これは堅牛革から抜き出すので、水にさらし、柔らかくしてから作業を行います。
仕様によると、仕切革は全て堅牛革を使用するようになっていますが、工房では加工の問題上、中央の3枚合わせの仕切革は多脂牛革を、左右両端の仕切革を堅牛革としました。
「中央の仕切革を多脂牛革にして問題は無いの?」と思われるかもしれませんが、4ミリ厚のものを3枚も重ね合わせると、相当な強度を保ちます。試しに試作品前盒の中央部を体重70キロのセカンド木村が踏んづけた上、体重を全てその上に乗せても破損するようなことはありませんでした。
切削編3:体の切り出し
お次は①のパーツ「体」の切り出しです。
先述のとおり、体は堅牛革と多脂牛革の2枚合わせです。
今回使用する革はこちら。左が多脂牛革(2.0ミリ)で右が堅牛革(2.5ミリ)になります。
先ずは多脂牛革(2.0ミリ)から。型紙に従ってケガキ、穴あけポイントに印を付けていきます。
ケガいたら革包丁で切り出していきます。
お次は堅牛革(2.5ミリ)をケガいて、切り出します。
体の切り出しが完了しました。多脂牛革に比較して堅牛革の方はタテヨコやや広めに切り出しています。
ついでなので、体の2枚貼り合わせ作業を行います。
革の床面中央部にボンドを塗ります(↑横着で竹串を使っています。ハケを使えっつーの!)
お互いの革の位置を確認しながら慎重に貼り合わせていきます。
貼り合わせたら・・・
ローラーで圧着します。
その後は重りになるようなテキトーなもので押さえ、ボンドが乾くまで放っておきます。
さて、今回はここまでです。以上で大まかなパーツの切り出しの紹介は終わりました。
次回は細部加工、穴あけ作業をご紹介します。
その5へつづく]]>
弾薬盒
でくの房
2013-10-04T13:30:12+09:00
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前盒の試作 その3
https://dekunobou2010.militaryblog.jp/e474582.html
その2の続きです。
その3以降では革の切削加工を紹介していきたいと思います。
切削編1:蓋の切り出し
まずはいつもの画像を。
上記画像内、前盒の蓋を構成する③、④、⑤、⑦のパーツを切り出しします。
⑤のパーツ「蓋止革」を切り出します。このパーツは多脂牛革を使用します。
型紙がずれないように錘を載せてキリで全体を軽くケガいていきます。↑
ケガき終わったら、曲線も切り出し可能な革用ナイフで切り出していきます。
次に⑦「?」のパーツを切り出します。このパーツは本来堅牛革を使用しなければならないのですが、加工の問題上、多脂牛革に変更しました。
こちらも、曲線部が多いのでナイフで切り出します。
③「蓋」のパーツを切り出します。これは堅牛革を使用します。
型紙通りにケガいたら・・・
ここで、堅牛革に水を含ませます。
今回入手した堅牛革は非常に堅く、切削加工に手間取るので、このように水を含ませて柔らかくします。
堅牛革を柔らかくしたところで、革包丁で切り出していきます。4ミリと厚みがあるので、2、3回刃を入れていきます。
続いて、目打ちで縫い穴を開けていきます。
切り出しと穴あけが完了。
つづいて登場するのがこちら。冶具を製作しました。
蓋のパーツは「コ」の字型に形成されています。上記画像のものは以前に多脂牛革で製作したもので、このような形状に正確に型出ししていく必要があると考え、(面倒くさいけど)試験的に冶具を製作したのでした。
先ほどの水を含んだ堅牛革を柔らかいうちに木型にはめ込んでいきます。
上からもう一方の木型をグイと押し込んでいきます。
さらにクランプでしっかりと押さえこんでいきます。
木型に挟まれた堅牛革はこのようになっています。
この状態で、半日ほど乾くのを待ちます。
・・・さて、乾いた頃愛を見て木型を外してみます。
ゆっくりと慎重に、オス側を外していきます。
しっかりと「コ」の字型に出ています。・・・う~ん、ちょっとカクカクしすぎたかな?
⑦のパーツがこのように合わさります。まずまずの結果です。
その4へつづく。
その2の続きです。
その3以降では革の切削加工を紹介していきたいと思います。
切削編1:蓋の切り出し
まずはいつもの画像を。
上記画像内、前盒の蓋を構成する③、④、⑤、⑦のパーツを切り出しします。
⑤のパーツ「蓋止革」を切り出します。このパーツは多脂牛革を使用します。
型紙がずれないように錘を載せてキリで全体を軽くケガいていきます。↑
ケガき終わったら、曲線も切り出し可能な革用ナイフで切り出していきます。
次に⑦「?」のパーツを切り出します。このパーツは本来堅牛革を使用しなければならないのですが、加工の問題上、多脂牛革に変更しました。
こちらも、曲線部が多いのでナイフで切り出します。
③「蓋」のパーツを切り出します。これは堅牛革を使用します。
型紙通りにケガいたら・・・
ここで、堅牛革に水を含ませます。
今回入手した堅牛革は非常に堅く、切削加工に手間取るので、このように水を含ませて柔らかくします。
堅牛革を柔らかくしたところで、革包丁で切り出していきます。4ミリと厚みがあるので、2、3回刃を入れていきます。
続いて、目打ちで縫い穴を開けていきます。
切り出しと穴あけが完了。
つづいて登場するのがこちら。冶具を製作しました。
蓋のパーツは「コ」の字型に形成されています。上記画像のものは以前に多脂牛革で製作したもので、このような形状に正確に型出ししていく必要があると考え、(面倒くさいけど)試験的に冶具を製作したのでした。
先ほどの水を含んだ堅牛革を柔らかいうちに木型にはめ込んでいきます。
上からもう一方の木型をグイと押し込んでいきます。
さらにクランプでしっかりと押さえこんでいきます。
木型に挟まれた堅牛革はこのようになっています。
この状態で、半日ほど乾くのを待ちます。
・・・さて、乾いた頃愛を見て木型を外してみます。
ゆっくりと慎重に、オス側を外していきます。
しっかりと「コ」の字型に出ています。・・・う~ん、ちょっとカクカクしすぎたかな?
⑦のパーツがこのように合わさります。まずまずの結果です。
その4へつづく。]]>
弾薬盒
でくの房
2013-09-20T10:45:53+09:00
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前盒の試作 その2
https://dekunobou2010.militaryblog.jp/e471906.html
その1のつづきです。
さて、今回は製作時に使用する「革」について少しお伝えしようと思います。
最初に見ていただきたい画像があります。
↑これが工房で加工時に使用している「革」です。牛革です。もちろん原皮ではなく鞣(なめ)された革です。三八式小銃と並べてみるとその大きさが分かると思います。
基本的に革は単位面積あたりいくらで販売されています。ですので「厚さ」はほとんど売価には関係がありません。薄くて高価な革もあれば、厚くても安価な革はいくらでも存在します。
画像のものは「LC本ヌメサドル(LCは社名)」という商品の革で、3年くらい前から使用しています。染色時の発色がよく、革のコシ、繊維の詰まり具合、銀面(革の表面)の美しさとどれも私にはお気に入りでして、なにより良い革は加工がしやすく、仕上がりが綺麗になる、という特徴があります。
「加工がしやすい」とは例えばパーツの切り出し時に刃が入り易い、とか、ヘリ落としの作業時にバリ(?)が出にくいといった場合をいいます(全くの私感ですが)。
「仕上がりが綺麗」とは染色時の発色の良さやその深み、コバ面や床面処理時の仕上がりの美しさをいいます(これも全くの私感です)。
この「加工のしやすさ」と「仕上がりの綺麗さ」を満たした良質な革は適度な「油分」を含んでいると考えています(油分が含まれている革=良い革、ではありません、念の為)。これは、残念ながらつくり手でないと分からない内容でして、エンドユーザーには非常に伝わりにくい要素だと思います。しかし、でくの房ではどのような革を使用しているかを公開することによって品質面での安心感を皆さまに理解していただきたかったのです。
「前盒の試作その1」の記事では、前盒に使用されている革は「褐色多脂牛革」と「堅牛革」が使用されていることをお伝えしました。もう一度確認しておきましょうか。
①体(外側が褐色多脂牛革(2.0)で内側が堅牛革(2.5))
②つなぎ革(2.0)
③蓋(4.0)
④止革(2.0)
⑤蓋止革(3.0)
⑥帯革通し(3.5)
⑦?(4.0)
⑧仕切革(4.0)
上記画像の下に部品の名称で色分けされていますが、当時資料と実物との観察とによって、褐色多脂牛革(青色)と堅牛革(赤色)とに分けらていることが理解できます。尚、カッコ内は革の厚みを示しています。
この内、褐色多脂牛革については先に紹介した革「LC本ヌメサドル」を染色すれば充分その要素を満たせるものと判断しました。(尚、当時の官給品の染色具合については後述します)
問題は堅牛革の方でして、何をもってして堅牛革と言わしめるのであろうか?
もっとも、褐色多脂牛革に選定した先の「LC本ヌメサドル」も充分にコシの強さがあり、堅牛革として使用しても問題はないのですが、過去に幾度か試作した前盒の全ては、実物のもつ独特の堅さには及ばなかったのです。
↑過去の試作品群。見た目は体が整っているので完成品に見えるが、本格的な堅牛革を使用していないため、実物の持つソリッド感にはあと一歩及ばない。
やはり本格的に堅い革を入手せねば・・・実物と同じ堅さにはなり得ないのか・・・?
そこでいつも購入しているレザークラフト屋さんへ「一番堅い革はどれですか?」と尋ねてみました。
「コートバンです。」との回答。しかしコートバンは馬の革。
「牛革で一番堅い革を探しているのですが?」
「ハーマンオークレザーはいかがでしょうか?」
で、早速注文して届いたのがこちら↓
画像のものは厚さ4.0ミリのものです。
まるで板のように堅いです!う~ん、豆腐の角で頭をぶつけて死ぬのは無理だが、この革なら頭部にそれなりの衝撃と傷くらいは入りそうだ!これなら堅牛革の要素を満たしてくれそうです!
堅牛革は厚みが2.5ミリのものも必要ですので、その厚さに漉いてもらった革も購入しました。↓
こちらは堅さ具合で言えばそうでもないようです。2.5ミリだから当然か?いつも使用している革とあまり変わらない印象でした。
さあ、役者はそろった。次回から試作製作編に入ります。
その3へつづく
その1のつづきです。
さて、今回は製作時に使用する「革」について少しお伝えしようと思います。
最初に見ていただきたい画像があります。
↑これが工房で加工時に使用している「革」です。牛革です。もちろん原皮ではなく鞣(なめ)された革です。三八式小銃と並べてみるとその大きさが分かると思います。
基本的に革は単位面積あたりいくらで販売されています。ですので「厚さ」はほとんど売価には関係がありません。薄くて高価な革もあれば、厚くても安価な革はいくらでも存在します。
画像のものは「LC本ヌメサドル(LCは社名)」という商品の革で、3年くらい前から使用しています。染色時の発色がよく、革のコシ、繊維の詰まり具合、銀面(革の表面)の美しさとどれも私にはお気に入りでして、なにより良い革は加工がしやすく、仕上がりが綺麗になる、という特徴があります。
「加工がしやすい」とは例えばパーツの切り出し時に刃が入り易い、とか、ヘリ落としの作業時にバリ(?)が出にくいといった場合をいいます(全くの私感ですが)。
「仕上がりが綺麗」とは染色時の発色の良さやその深み、コバ面や床面処理時の仕上がりの美しさをいいます(これも全くの私感です)。
この「加工のしやすさ」と「仕上がりの綺麗さ」を満たした良質な革は適度な「油分」を含んでいると考えています(油分が含まれている革=良い革、ではありません、念の為)。これは、残念ながらつくり手でないと分からない内容でして、エンドユーザーには非常に伝わりにくい要素だと思います。しかし、でくの房ではどのような革を使用しているかを公開することによって品質面での安心感を皆さまに理解していただきたかったのです。
「前盒の試作その1」の記事では、前盒に使用されている革は「褐色多脂牛革」と「堅牛革」が使用されていることをお伝えしました。もう一度確認しておきましょうか。
①体(外側が褐色多脂牛革(2.0)で内側が堅牛革(2.5))
②つなぎ革(2.0)
③蓋(4.0)
④止革(2.0)
⑤蓋止革(3.0)
⑥帯革通し(3.5)
⑦?(4.0)
⑧仕切革(4.0)
上記画像の下に部品の名称で色分けされていますが、当時資料と実物との観察とによって、褐色多脂牛革(青色)と堅牛革(赤色)とに分けらていることが理解できます。尚、カッコ内は革の厚みを示しています。
この内、褐色多脂牛革については先に紹介した革「LC本ヌメサドル」を染色すれば充分その要素を満たせるものと判断しました。(尚、当時の官給品の染色具合については後述します)
問題は堅牛革の方でして、何をもってして堅牛革と言わしめるのであろうか?
もっとも、褐色多脂牛革に選定した先の「LC本ヌメサドル」も充分にコシの強さがあり、堅牛革として使用しても問題はないのですが、過去に幾度か試作した前盒の全ては、実物のもつ独特の堅さには及ばなかったのです。
↑過去の試作品群。見た目は体が整っているので完成品に見えるが、本格的な堅牛革を使用していないため、実物の持つソリッド感にはあと一歩及ばない。
やはり本格的に堅い革を入手せねば・・・実物と同じ堅さにはなり得ないのか・・・?
そこでいつも購入しているレザークラフト屋さんへ「一番堅い革はどれですか?」と尋ねてみました。
「コートバンです。」との回答。しかしコートバンは馬の革。
「牛革で一番堅い革を探しているのですが?」
「ハーマンオークレザーはいかがでしょうか?」
で、早速注文して届いたのがこちら↓
画像のものは厚さ4.0ミリのものです。
まるで板のように堅いです!う~ん、豆腐の角で頭をぶつけて死ぬのは無理だが、この革なら頭部にそれなりの衝撃と傷くらいは入りそうだ!これなら堅牛革の要素を満たしてくれそうです!
堅牛革は厚みが2.5ミリのものも必要ですので、その厚さに漉いてもらった革も購入しました。↓
こちらは堅さ具合で言えばそうでもないようです。2.5ミリだから当然か?いつも使用している革とあまり変わらない印象でした。
さあ、役者はそろった。次回から試作製作編に入ります。
その3へつづく]]>
弾薬盒
でくの房
2013-09-13T22:57:43+09:00
-
前盒の試作 その1(追記文と画像あり)
https://dekunobou2010.militaryblog.jp/e469097.html
以前より旧日本軍の弾入れ「前盒」の試作を続けていましたが、ようやく完成の目途が立ってきましたので、ご報告いたします。
製作者サイドから見た前盒の考察が多く含まれます。間違いや勘違いの部分もあるかとは思いますが、工房での複製作業を通して、製作者であるがゆえに知り得たことや、判明した事を試作実験を伴ってご紹介していきたいと思います。
故に『前盒試作シリーズ』は長編になります。革製品がお好きな方はご覚悟下さい(笑
さてこの前盒、以前にも製作販売していたのですが、あるコレクターさんから貴重な当時資料(仕様書)の提供を受けまして、改めて型紙の製作からやり直すこととなり、今回の試作レポートとなったわけです。
尚、当時資料は提供者との契約により公開は出来ません。セカンド木村の下手くそなイラスト文章での説明になります。ご了承ください。
セカンド木村が所持している実物の前盒。↑↓
実物と言えど各個、個体差があり、革の厚みや一辺の長さ、中仕切革の合わせ枚数、縫い糸のピッチなど、どれもまちまちです。
ここで注目したいのは前盒の内側で、上蓋を開けると弾薬を差し入れるその内側も「表革」を使用しているという事です。上の画像をよ~くご覧ください。「表革」が使用されているのが分かりますよね。革を2枚合わせにして両面に表側がくるようにしています。
旧軍の前盒に見られる特徴の一つと言えます。(もちろん製作時期によって表革を使用していない物も存在します)
特徴のその2としては、実物前盒は非常に堅牢に仕立てられているという事。流通しているレプリカとは比較にならないほどにソリッド感があり、少々では押しつぶされません。
セカンド木村がこの実物前盒を入手したのは確か4~5年前。複製作業に入ろうと、あちらこちらを計測していました。
その時のスケッチがこれ。
例えば『①4.5~5』とあるのは、①のパーツの厚みが4.5ミリから5ミリあるということを意味します。全て実物からの実測値です。
とっても見にくいので改めてスケッチを起こしますと・・・
①体
②つなぎ革
③蓋
④止革
⑤蓋止革
⑥帯革通し
⑦?
⑧仕切革
(各部位の呼称は当時資料による。⑦は不明のため『?』としている)
・・・と、この様になります。
計測のため、あちこちイジリ倒しているうちにあることに気がつきました。「何で実物はこんなに革が堅いのだろう?」
当初この疑問は「経年硬化」と考えていたのですが、当時資料を入手するにあたり、その真相が判明したのです。
前盒が堅牢な作りをしている理由、そのワケは「堅牛革」を使用しているからなのです(←当たり前か)
例えば、上のスケッチで言うと
・①の体の内側(二枚合わせの内側)
・③の蓋
・⑧の仕切革【中仕切り(3枚合わせ)を含む】
以上のパーツが「堅牛革」を使用するように仕様書には記されています。つまりこれらのパーツが堅牛革で構成されているが故に、前盒は堅牢な作りをしているのであると言えます。
ではその他のパーツはどのような「革」が使用されていたのでしょうか?資料を覗くと「褐色多脂牛革」と記されています。
手元には九九式の「前盒」と「後盒」、騎兵用「前盒」の資料があるのですが、これらの弾薬盒を構成する革の仕様は
①『褐色多脂牛革』
②『堅牛革』
の2種類のみとなります。
ここでもう一つ疑問が・・・
当時の陸軍の技術本部(?)は何故、わざわざこの種類の違う革を指定したのか?
戦争とはそれこそ大量生産、大量消費の典型である。大量生産するからには同一規格、仕様のものを採用したいところだ。以前にもブログ内で「小銃用負革」の『遊革』の違いを記しましたが、(http://dekunobou2010.militaryblog.jp/e375456.html)今回は種類の違う革を使用している。何故か?
これはセカンド木村の想像ですが、形状の変形を防ぐためではなかったのか?と考えるのです。
前盒には当然、貴重な弾薬を収納しているため、その品質保持が重要となる。兵士による作戦行動や戦闘下での装備品類は酷使されるため弾薬への品質的な影響が及んではならない、と、判断したのではなかろうか?
もう一つは(実はこれが一番重要か?)、見た目のカッコ良さを追求したのではないか?ということである。前盒(後盒も含め)の持つやや大きめな直線的デザインによって軍隊の持つ統率性を兵士に意識させ、また自らもその威厳を高めるに至らしめた、その要素としての「カッコ良さ」を追求したのでは?と考えるのです。これは、須川さんの著書に拳銃嚢の考察として「身に付けた際の威厳などデモンストレーション効果・・・」と記され、また「拳銃嚢は騎兵の示威的な効果を狙って作られたものであり・・」と記されているのと同様の考え方です。
以上の事より、見た目の要素としてわざわざ「堅牛革」が選定されたのではないか?と、考えるのです。
その証拠(になるかどうか分かりませんが)に当時のある資料本内「兵器・被服の手入」の項には次のように記してあります。
・「弾薬盒の如き堅い革で作ったものは油を多量に塗ると柔になり形が変り易くなるから油は少量ずゝ塗る。」
とあり、また別の資料本には
・「皮革製品ノ手入ニハ・・・僅ニ含油セル布ヲ以テ等斉且数回塗施シ・・・過剰油ハ拭イ去ルベシ」
とあり、別の資料本にも
・「褐色堅牛革は変形を防ぐ為め其の量を減じ・・・其の量過度なるときは、革質柔軟となつて為めに変形若しくは伸長し・・・」
とあります。以上のことより、堅牛革を使用している前盒、後盒には多量に油脂を塗り込んではいけない、という事が分かります。
新品レプリカを入手して、「色が浅い」とばかり多量の皮革油を塗りたぐるのは、本当は間違いだったのである・・・いや、レプリカは堅牛革を使用していないから、強(あなが)ち間違いでもないか・・・?
弾薬盒の「体」には「堅牛革」と「褐色多脂牛革」が2枚合わせにして使用されているのは判明した。では、それがどのような構造になるかというと
製作途中の画像で恐縮ですが、上画像のように「体」の外側に「褐色多脂牛革」、内側に「堅牛革」が使用されていた、という事になります(画像のものは実際に「堅牛革」を使用しての試作)。
気になるのはその革の厚みである。
以前、少しだけ報告した前盒の試作品であるが・・・
このときの「体」の革の厚みは4ミリで製作しました。つまり外側2ミリ、内側2ミリ。
ヨシ!これで試作完了!と思ったその矢先、仕様書にこのような指定がありました。
後盒の「体」の仕様に
「二枚合セニテ内側ハ褐色堅牛革ナルモ厚サ4mmノ褐色多脂牛革ヲ使用スル場合ハ一枚革ニテ製作スルコトヲ得」
(*最後に追記と画像あり↑)
とありました。よくよく見ると、内側の革の厚みが2.5ミリ、外側の革の厚みが2ミリの指定がある事が判明しました。
つまり
内側2.5ミリ+外側2ミリ=4.5ミリ
ということになり、セカンド木村が試作した4ミリの「体」では僅か0.5ミリ足りない、という事になります。
0.5ミリ・・・人間が生活するに於いて0.5ミリは僅かな隙間程度のものですが、精密機械や機械部品、革の厚みに関しては(←無理矢理?)0.5ミリは結構大きい。何より「堅牛革」が0.5ミリ厚くなると、その分、堅牢に仕上げる事が出来る。
そんな訳でもう1回作り直し、という事になりました。前盒の製作がかなり遅れているのはそんな理由もあったのです。
ここで、実物の後盒の「体」、2枚合わせの部分を確認しておきましょう。
↑「体」が2枚合わせになっているのが確認出来ます。でも、どーみても外側の革の方が内側の革より厚いです(笑
つづいて、前盒の「体」を見てみましょう。
こちらはちょっと確認しづらいと思いますが、2枚合わせになっています。実測値でも示したように、厚みは4.5ミリ~5ミリはあります。仕様書に近い数値です。
*追記と画像
前述の後盒「体」に関する仕様書の記述
「二枚合セニテ内側ハ褐色堅牛革ナルモ厚サ4mmノ褐色多脂牛革ヲ使用スル場合ハ一枚革ニテ製作スルコトヲ得」
とは、どのようなことか実物画像で説明しますと
左が2枚合わせのもので右が1枚革のもの。上蓋を開けてみてみましょう。
上が2枚わせのもので下が1枚革のもの。2枚合わせの方は内側が表革になっているのが分かります。
続いてこちら。二枚合わせの方は、革と革を貼り合わせた面が確認出来ます。
仕様書に従いますと、2枚合わせの方は内側(画像白枠内、左面になります)は2.5ミリで外側(同枠内、右面になります)が2.0ミリという事になります。実測値は4.5ミリで仕様書通りの仕上がりとなっています。
右側の後盒、1枚革の方は仕様書に従いますと、「厚サ4mmノ褐色多脂牛革」となるのですが、実測値は4.3ミリもありました。ちなみに堅牛革なみの堅さです!!
さらにこちら。「体」が2枚合わせの後盒(下側)は底面の穴の周辺が縫い合わされています。2枚合わせのためこのような縫い目が存在しているものと思われます。もっとも、2枚合わせでもないのに底面の穴の周辺が縫い合わされている実物も存在します。当時の工員(?)さんが意味も分からず指示通りに縫製したことが伺えます。
その2へつづく
以前より旧日本軍の弾入れ「前盒」の試作を続けていましたが、ようやく完成の目途が立ってきましたので、ご報告いたします。
製作者サイドから見た前盒の考察が多く含まれます。間違いや勘違いの部分もあるかとは思いますが、工房での複製作業を通して、製作者であるがゆえに知り得たことや、判明した事を試作実験を伴ってご紹介していきたいと思います。
故に『前盒試作シリーズ』は長編になります。革製品がお好きな方はご覚悟下さい(笑
さてこの前盒、以前にも製作販売していたのですが、あるコレクターさんから貴重な当時資料(仕様書)の提供を受けまして、改めて型紙の製作からやり直すこととなり、今回の試作レポートとなったわけです。
尚、当時資料は提供者との契約により公開は出来ません。セカンド木村の下手くそなイラスト文章での説明になります。ご了承ください。
セカンド木村が所持している実物の前盒。↑↓
実物と言えど各個、個体差があり、革の厚みや一辺の長さ、中仕切革の合わせ枚数、縫い糸のピッチなど、どれもまちまちです。
ここで注目したいのは前盒の内側で、上蓋を開けると弾薬を差し入れるその内側も「表革」を使用しているという事です。上の画像をよ~くご覧ください。「表革」が使用されているのが分かりますよね。革を2枚合わせにして両面に表側がくるようにしています。
旧軍の前盒に見られる特徴の一つと言えます。(もちろん製作時期によって表革を使用していない物も存在します)
特徴のその2としては、実物前盒は非常に堅牢に仕立てられているという事。流通しているレプリカとは比較にならないほどにソリッド感があり、少々では押しつぶされません。
セカンド木村がこの実物前盒を入手したのは確か4~5年前。複製作業に入ろうと、あちらこちらを計測していました。
その時のスケッチがこれ。
例えば『①4.5~5』とあるのは、①のパーツの厚みが4.5ミリから5ミリあるということを意味します。全て実物からの実測値です。
とっても見にくいので改めてスケッチを起こしますと・・・
①体
②つなぎ革
③蓋
④止革
⑤蓋止革
⑥帯革通し
⑦?
⑧仕切革
(各部位の呼称は当時資料による。⑦は不明のため『?』としている)
・・・と、この様になります。
計測のため、あちこちイジリ倒しているうちにあることに気がつきました。「何で実物はこんなに革が堅いのだろう?」
当初この疑問は「経年硬化」と考えていたのですが、当時資料を入手するにあたり、その真相が判明したのです。
前盒が堅牢な作りをしている理由、そのワケは「堅牛革」を使用しているからなのです(←当たり前か)
例えば、上のスケッチで言うと
・①の体の内側(二枚合わせの内側)
・③の蓋
・⑧の仕切革【中仕切り(3枚合わせ)を含む】
以上のパーツが「堅牛革」を使用するように仕様書には記されています。つまりこれらのパーツが堅牛革で構成されているが故に、前盒は堅牢な作りをしているのであると言えます。
ではその他のパーツはどのような「革」が使用されていたのでしょうか?資料を覗くと「褐色多脂牛革」と記されています。
手元には九九式の「前盒」と「後盒」、騎兵用「前盒」の資料があるのですが、これらの弾薬盒を構成する革の仕様は
①『褐色多脂牛革』
②『堅牛革』
の2種類のみとなります。
ここでもう一つ疑問が・・・
当時の陸軍の技術本部(?)は何故、わざわざこの種類の違う革を指定したのか?
戦争とはそれこそ大量生産、大量消費の典型である。大量生産するからには同一規格、仕様のものを採用したいところだ。以前にもブログ内で「小銃用負革」の『遊革』の違いを記しましたが、(http://dekunobou2010.militaryblog.jp/e375456.html)今回は種類の違う革を使用している。何故か?
これはセカンド木村の想像ですが、形状の変形を防ぐためではなかったのか?と考えるのです。
前盒には当然、貴重な弾薬を収納しているため、その品質保持が重要となる。兵士による作戦行動や戦闘下での装備品類は酷使されるため弾薬への品質的な影響が及んではならない、と、判断したのではなかろうか?
もう一つは(実はこれが一番重要か?)、見た目のカッコ良さを追求したのではないか?ということである。前盒(後盒も含め)の持つやや大きめな直線的デザインによって軍隊の持つ統率性を兵士に意識させ、また自らもその威厳を高めるに至らしめた、その要素としての「カッコ良さ」を追求したのでは?と考えるのです。これは、須川さんの著書に拳銃嚢の考察として「身に付けた際の威厳などデモンストレーション効果・・・」と記され、また「拳銃嚢は騎兵の示威的な効果を狙って作られたものであり・・」と記されているのと同様の考え方です。
以上の事より、見た目の要素としてわざわざ「堅牛革」が選定されたのではないか?と、考えるのです。
その証拠(になるかどうか分かりませんが)に当時のある資料本内「兵器・被服の手入」の項には次のように記してあります。
・「弾薬盒の如き堅い革で作ったものは油を多量に塗ると柔になり形が変り易くなるから油は少量ずゝ塗る。」
とあり、また別の資料本には
・「皮革製品ノ手入ニハ・・・僅ニ含油セル布ヲ以テ等斉且数回塗施シ・・・過剰油ハ拭イ去ルベシ」
とあり、別の資料本にも
・「褐色堅牛革は変形を防ぐ為め其の量を減じ・・・其の量過度なるときは、革質柔軟となつて為めに変形若しくは伸長し・・・」
とあります。以上のことより、堅牛革を使用している前盒、後盒には多量に油脂を塗り込んではいけない、という事が分かります。
新品レプリカを入手して、「色が浅い」とばかり多量の皮革油を塗りたぐるのは、本当は間違いだったのである・・・いや、レプリカは堅牛革を使用していないから、強(あなが)ち間違いでもないか・・・?
弾薬盒の「体」には「堅牛革」と「褐色多脂牛革」が2枚合わせにして使用されているのは判明した。では、それがどのような構造になるかというと
製作途中の画像で恐縮ですが、上画像のように「体」の外側に「褐色多脂牛革」、内側に「堅牛革」が使用されていた、という事になります(画像のものは実際に「堅牛革」を使用しての試作)。
気になるのはその革の厚みである。
以前、少しだけ報告した前盒の試作品であるが・・・
このときの「体」の革の厚みは4ミリで製作しました。つまり外側2ミリ、内側2ミリ。
ヨシ!これで試作完了!と思ったその矢先、仕様書にこのような指定がありました。
後盒の「体」の仕様に
「二枚合セニテ内側ハ褐色堅牛革ナルモ厚サ4mmノ褐色多脂牛革ヲ使用スル場合ハ一枚革ニテ製作スルコトヲ得」
(*最後に追記と画像あり↑)
とありました。よくよく見ると、内側の革の厚みが2.5ミリ、外側の革の厚みが2ミリの指定がある事が判明しました。
つまり
内側2.5ミリ+外側2ミリ=4.5ミリ
ということになり、セカンド木村が試作した4ミリの「体」では僅か0.5ミリ足りない、という事になります。
0.5ミリ・・・人間が生活するに於いて0.5ミリは僅かな隙間程度のものですが、精密機械や機械部品、革の厚みに関しては(←無理矢理?)0.5ミリは結構大きい。何より「堅牛革」が0.5ミリ厚くなると、その分、堅牢に仕上げる事が出来る。
そんな訳でもう1回作り直し、という事になりました。前盒の製作がかなり遅れているのはそんな理由もあったのです。
ここで、実物の後盒の「体」、2枚合わせの部分を確認しておきましょう。
↑「体」が2枚合わせになっているのが確認出来ます。でも、どーみても外側の革の方が内側の革より厚いです(笑
つづいて、前盒の「体」を見てみましょう。
こちらはちょっと確認しづらいと思いますが、2枚合わせになっています。実測値でも示したように、厚みは4.5ミリ~5ミリはあります。仕様書に近い数値です。
*追記と画像
前述の後盒「体」に関する仕様書の記述
「二枚合セニテ内側ハ褐色堅牛革ナルモ厚サ4mmノ褐色多脂牛革ヲ使用スル場合ハ一枚革ニテ製作スルコトヲ得」
とは、どのようなことか実物画像で説明しますと
左が2枚合わせのもので右が1枚革のもの。上蓋を開けてみてみましょう。
上が2枚わせのもので下が1枚革のもの。2枚合わせの方は内側が表革になっているのが分かります。
続いてこちら。二枚合わせの方は、革と革を貼り合わせた面が確認出来ます。
仕様書に従いますと、2枚合わせの方は内側(画像白枠内、左面になります)は2.5ミリで外側(同枠内、右面になります)が2.0ミリという事になります。実測値は4.5ミリで仕様書通りの仕上がりとなっています。
右側の後盒、1枚革の方は仕様書に従いますと、「厚サ4mmノ褐色多脂牛革」となるのですが、実測値は4.3ミリもありました。ちなみに堅牛革なみの堅さです!!
さらにこちら。「体」が2枚合わせの後盒(下側)は底面の穴の周辺が縫い合わされています。2枚合わせのためこのような縫い目が存在しているものと思われます。もっとも、2枚合わせでもないのに底面の穴の周辺が縫い合わされている実物も存在します。当時の工員(?)さんが意味も分からず指示通りに縫製したことが伺えます。
その2へつづく]]>
弾薬盒
でくの房
2013-09-03T16:08:47+09:00
-
日本軍 後盒の小銃ねじ回し(転螺機)収納部の製作
https://dekunobou2010.militaryblog.jp/e314396.html
「小銃ねじ回し」とは小銃の修理分解時に使用した小さな鉄部品です。このねじ回しは後盒(弾入れ)の側面部に収納されるようになっています。今回は画像の実物を参考に複製品を製作してみました。
実物から採寸後、型紙を製作して革を切り出します。
染色後、菱目打ちで糸を通す穴を開けます。
後盒の側面にあたる革にも菱目打ちで穴を開けます。
革を縫い合わせます。
完成した収納部の革を後盒本体に縫い合わせます。
完成しました。
早速「小銃ねじ回し」を収納してみます。
いい感じに仕上がりました。
後盒内部から見た画像です。
日本軍の全ての後盒にこの小銃ねじ回しの収納部が付属していたわけではありません。知り合いから聞いた話ですが1小隊(分隊だったかも?)に1人~2人位はこの収納付を携帯していて、戦闘中の小銃の修理に使用されていたとのことです。そんなわけで現在も出回っている実物の後盒もこの「小銃ねじ回し」を収納できるタイプの物は少ないと思われます。
「小銃ねじ回し」とは小銃の修理分解時に使用した小さな鉄部品です。このねじ回しは後盒(弾入れ)の側面部に収納されるようになっています。今回は画像の実物を参考に複製品を製作してみました。
実物から採寸後、型紙を製作して革を切り出します。
染色後、菱目打ちで糸を通す穴を開けます。
後盒の側面にあたる革にも菱目打ちで穴を開けます。
革を縫い合わせます。
完成した収納部の革を後盒本体に縫い合わせます。
完成しました。
早速「小銃ねじ回し」を収納してみます。
いい感じに仕上がりました。
後盒内部から見た画像です。
日本軍の全ての後盒にこの小銃ねじ回しの収納部が付属していたわけではありません。知り合いから聞いた話ですが1小隊(分隊だったかも?)に1人~2人位はこの収納付を携帯していて、戦闘中の小銃の修理に使用されていたとのことです。そんなわけで現在も出回っている実物の後盒もこの「小銃ねじ回し」を収納できるタイプの物は少ないと思われます。]]>
弾薬盒
でくの房
2012-03-31T16:39:13+09:00
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日本軍工兵用弾盒から騎兵用弾盒への改造
https://dekunobou2010.militaryblog.jp/e312373.html
関東在住のかたから「工兵用弾盒から騎兵用弾盒へ改造をしていただきたい」との依頼を受けました。実物資料の乏しい中、写真資料を基に製作しました。
先ずは材料の選定。弾盒を肩掛けするときの吊革と弾盒本体とを結ぶ金具は真鍮製に決定(右側)。
この真鍮金具がこの穴の部分に取り付けられます。
吊革の尾錠も真鍮製の物を使用します。
今回、製作に一生懸命で途中経過の写真を忘れていました。・・のでいきなり完成写真↓
最後に工具収納用の革を取り付けて完成。はしょりすぎてごめんなさい。
依頼者様へ完成したお品をお送りしたところ、装着画像が届きました。
こんな立派に飾ってくださいまして、有難うございました。
このような改造、修理等も行っていますので何かでお困りの際はお気軽にこちらまでお問い合わせください。
「工兵用弾盒から騎兵用弾盒へ改造をしていただきたい」との依頼を受けました。実物資料の乏しい中、写真資料を基に製作しました。
先ずは材料の選定。弾盒を肩掛けするときの吊革と弾盒本体とを結ぶ金具は真鍮製に決定(右側)。
この真鍮金具がこの穴の部分に取り付けられます。
吊革の尾錠も真鍮製の物を使用します。
今回、製作に一生懸命で途中経過の写真を忘れていました。・・のでいきなり完成写真↓
最後に工具収納用の革を取り付けて完成。はしょりすぎてごめんなさい。
依頼者様へ完成したお品をお送りしたところ、装着画像が届きました。
こんな立派に飾ってくださいまして、有難うございました。
このような改造、修理等も行っていますので何かでお困りの際はお気軽にこちらまでお問い合わせください。]]>
弾薬盒
でくの房
2012-03-24T22:46:01+09:00