CATEGORY:弾薬盒
2013年09月03日
前盒の試作 その1(追記文と画像あり)
以前より旧日本軍の弾入れ「前盒」の試作を続けていましたが、ようやく完成の目途が立ってきましたので、ご報告いたします。
製作者サイドから見た前盒の考察が多く含まれます。間違いや勘違いの部分もあるかとは思いますが、工房での複製作業を通して、製作者であるがゆえに知り得たことや、判明した事を試作実験を伴ってご紹介していきたいと思います。
故に『前盒試作シリーズ』は長編になります。革製品がお好きな方はご覚悟下さい(笑
さてこの前盒、以前にも製作販売していたのですが、あるコレクターさんから貴重な当時資料(仕様書)の提供を受けまして、改めて型紙の製作からやり直すこととなり、今回の試作レポートとなったわけです。
尚、当時資料は提供者との契約により公開は出来ません。セカンド木村の下手くそなイラスト文章での説明になります。ご了承ください。
セカンド木村が所持している実物の前盒。↑↓
実物と言えど各個、個体差があり、革の厚みや一辺の長さ、中仕切革の合わせ枚数、縫い糸のピッチなど、どれもまちまちです。
ここで注目したいのは前盒の内側で、上蓋を開けると弾薬を差し入れるその内側も「表革」を使用しているという事です。上の画像をよ~くご覧ください。「表革」が使用されているのが分かりますよね。革を2枚合わせにして両面に表側がくるようにしています。
旧軍の前盒に見られる特徴の一つと言えます。(もちろん製作時期によって表革を使用していない物も存在します)
特徴のその2としては、実物前盒は非常に堅牢に仕立てられているという事。流通しているレプリカとは比較にならないほどにソリッド感があり、少々では押しつぶされません。
セカンド木村がこの実物前盒を入手したのは確か4~5年前。複製作業に入ろうと、あちらこちらを計測していました。
その時のスケッチがこれ。
例えば『①4.5~5』とあるのは、①のパーツの厚みが4.5ミリから5ミリあるということを意味します。全て実物からの実測値です。
とっても見にくいので改めてスケッチを起こしますと・・・
①体
②つなぎ革
③蓋
④止革
⑤蓋止革
⑥帯革通し
⑦?
⑧仕切革
(各部位の呼称は当時資料による。⑦は不明のため『?』としている)
・・・と、この様になります。
計測のため、あちこちイジリ倒しているうちにあることに気がつきました。「何で実物はこんなに革が堅いのだろう?」
当初この疑問は「経年硬化」と考えていたのですが、当時資料を入手するにあたり、その真相が判明したのです。
前盒が堅牢な作りをしている理由、そのワケは「堅牛革」を使用しているからなのです(←当たり前か)
例えば、上のスケッチで言うと
・①の体の内側(二枚合わせの内側)
・③の蓋
・⑧の仕切革【中仕切り(3枚合わせ)を含む】
以上のパーツが「堅牛革」を使用するように仕様書には記されています。つまりこれらのパーツが堅牛革で構成されているが故に、前盒は堅牢な作りをしているのであると言えます。
ではその他のパーツはどのような「革」が使用されていたのでしょうか?資料を覗くと「褐色多脂牛革」と記されています。
手元には九九式の「前盒」と「後盒」、騎兵用「前盒」の資料があるのですが、これらの弾薬盒を構成する革の仕様は
①『褐色多脂牛革』
②『堅牛革』
の2種類のみとなります。
ここでもう一つ疑問が・・・
当時の陸軍の技術本部(?)は何故、わざわざこの種類の違う革を指定したのか?
戦争とはそれこそ大量生産、大量消費の典型である。大量生産するからには同一規格、仕様のものを採用したいところだ。以前にもブログ内で「小銃用負革」の『遊革』の違いを記しましたが、(http://dekunobou2010.militaryblog.jp/e375456.html)今回は種類の違う革を使用している。何故か?
これはセカンド木村の想像ですが、形状の変形を防ぐためではなかったのか?と考えるのです。
前盒には当然、貴重な弾薬を収納しているため、その品質保持が重要となる。兵士による作戦行動や戦闘下での装備品類は酷使されるため弾薬への品質的な影響が及んではならない、と、判断したのではなかろうか?
もう一つは(実はこれが一番重要か?)、見た目のカッコ良さを追求したのではないか?ということである。前盒(後盒も含め)の持つやや大きめな直線的デザインによって軍隊の持つ統率性を兵士に意識させ、また自らもその威厳を高めるに至らしめた、その要素としての「カッコ良さ」を追求したのでは?と考えるのです。これは、須川さんの著書に拳銃嚢の考察として「身に付けた際の威厳などデモンストレーション効果・・・」と記され、また「拳銃嚢は騎兵の示威的な効果を狙って作られたものであり・・」と記されているのと同様の考え方です。
以上の事より、見た目の要素としてわざわざ「堅牛革」が選定されたのではないか?と、考えるのです。
その証拠(になるかどうか分かりませんが)に当時のある資料本内「兵器・被服の手入」の項には次のように記してあります。
・「弾薬盒の如き堅い革で作ったものは油を多量に塗ると柔になり形が変り易くなるから油は少量ずゝ塗る。」
とあり、また別の資料本には
・「皮革製品ノ手入ニハ・・・僅ニ含油セル布ヲ以テ等斉且数回塗施シ・・・過剰油ハ拭イ去ルベシ」
とあり、別の資料本にも
・「褐色堅牛革は変形を防ぐ為め其の量を減じ・・・其の量過度なるときは、革質柔軟となつて為めに変形若しくは伸長し・・・」
とあります。以上のことより、堅牛革を使用している前盒、後盒には多量に油脂を塗り込んではいけない、という事が分かります。
新品レプリカを入手して、「色が浅い」とばかり多量の皮革油を塗りたぐるのは、本当は間違いだったのである・・・いや、レプリカは堅牛革を使用していないから、強(あなが)ち間違いでもないか・・・?
弾薬盒の「体」には「堅牛革」と「褐色多脂牛革」が2枚合わせにして使用されているのは判明した。では、それがどのような構造になるかというと
製作途中の画像で恐縮ですが、上画像のように「体」の外側に「褐色多脂牛革」、内側に「堅牛革」が使用されていた、という事になります(画像のものは実際に「堅牛革」を使用しての試作)。
気になるのはその革の厚みである。
以前、少しだけ報告した前盒の試作品であるが・・・
このときの「体」の革の厚みは4ミリで製作しました。つまり外側2ミリ、内側2ミリ。
ヨシ!これで試作完了!と思ったその矢先、仕様書にこのような指定がありました。
後盒の「体」の仕様に
「二枚合セニテ内側ハ褐色堅牛革ナルモ厚サ4mmノ褐色多脂牛革ヲ使用スル場合ハ一枚革ニテ製作スルコトヲ得」
(*最後に追記と画像あり↑)
とありました。よくよく見ると、内側の革の厚みが2.5ミリ、外側の革の厚みが2ミリの指定がある事が判明しました。
つまり
内側2.5ミリ+外側2ミリ=4.5ミリ
ということになり、セカンド木村が試作した4ミリの「体」では僅か0.5ミリ足りない、という事になります。
0.5ミリ・・・人間が生活するに於いて0.5ミリは僅かな隙間程度のものですが、精密機械や機械部品、革の厚みに関しては(←無理矢理?)0.5ミリは結構大きい。何より「堅牛革」が0.5ミリ厚くなると、その分、堅牢に仕上げる事が出来る。
そんな訳でもう1回作り直し、という事になりました。前盒の製作がかなり遅れているのはそんな理由もあったのです。
ここで、実物の後盒の「体」、2枚合わせの部分を確認しておきましょう。
↑「体」が2枚合わせになっているのが確認出来ます。でも、どーみても外側の革の方が内側の革より厚いです(笑
つづいて、前盒の「体」を見てみましょう。
こちらはちょっと確認しづらいと思いますが、2枚合わせになっています。実測値でも示したように、厚みは4.5ミリ~5ミリはあります。仕様書に近い数値です。
*追記と画像
前述の後盒「体」に関する仕様書の記述
「二枚合セニテ内側ハ褐色堅牛革ナルモ厚サ4mmノ褐色多脂牛革ヲ使用スル場合ハ一枚革ニテ製作スルコトヲ得」
とは、どのようなことか実物画像で説明しますと
左が2枚合わせのもので右が1枚革のもの。上蓋を開けてみてみましょう。
上が2枚わせのもので下が1枚革のもの。2枚合わせの方は内側が表革になっているのが分かります。
続いてこちら。二枚合わせの方は、革と革を貼り合わせた面が確認出来ます。
仕様書に従いますと、2枚合わせの方は内側(画像白枠内、左面になります)は2.5ミリで外側(同枠内、右面になります)が2.0ミリという事になります。実測値は4.5ミリで仕様書通りの仕上がりとなっています。
右側の後盒、1枚革の方は仕様書に従いますと、「厚サ4mmノ褐色多脂牛革」となるのですが、実測値は4.3ミリもありました。ちなみに堅牛革なみの堅さです!!
さらにこちら。「体」が2枚合わせの後盒(下側)は底面の穴の周辺が縫い合わされています。2枚合わせのためこのような縫い目が存在しているものと思われます。もっとも、2枚合わせでもないのに底面の穴の周辺が縫い合わされている実物も存在します。当時の工員(?)さんが意味も分からず指示通りに縫製したことが伺えます。
その2へつづく
製作者サイドから見た前盒の考察が多く含まれます。間違いや勘違いの部分もあるかとは思いますが、工房での複製作業を通して、製作者であるがゆえに知り得たことや、判明した事を試作実験を伴ってご紹介していきたいと思います。
故に『前盒試作シリーズ』は長編になります。革製品がお好きな方はご覚悟下さい(笑
さてこの前盒、以前にも製作販売していたのですが、あるコレクターさんから貴重な当時資料(仕様書)の提供を受けまして、改めて型紙の製作からやり直すこととなり、今回の試作レポートとなったわけです。
尚、当時資料は提供者との契約により公開は出来ません。セカンド木村の下手くそなイラスト文章での説明になります。ご了承ください。
セカンド木村が所持している実物の前盒。↑↓
実物と言えど各個、個体差があり、革の厚みや一辺の長さ、中仕切革の合わせ枚数、縫い糸のピッチなど、どれもまちまちです。
ここで注目したいのは前盒の内側で、上蓋を開けると弾薬を差し入れるその内側も「表革」を使用しているという事です。上の画像をよ~くご覧ください。「表革」が使用されているのが分かりますよね。革を2枚合わせにして両面に表側がくるようにしています。
旧軍の前盒に見られる特徴の一つと言えます。(もちろん製作時期によって表革を使用していない物も存在します)
特徴のその2としては、実物前盒は非常に堅牢に仕立てられているという事。流通しているレプリカとは比較にならないほどにソリッド感があり、少々では押しつぶされません。
セカンド木村がこの実物前盒を入手したのは確か4~5年前。複製作業に入ろうと、あちらこちらを計測していました。
その時のスケッチがこれ。
例えば『①4.5~5』とあるのは、①のパーツの厚みが4.5ミリから5ミリあるということを意味します。全て実物からの実測値です。
とっても見にくいので改めてスケッチを起こしますと・・・
①体
②つなぎ革
③蓋
④止革
⑤蓋止革
⑥帯革通し
⑦?
⑧仕切革
(各部位の呼称は当時資料による。⑦は不明のため『?』としている)
・・・と、この様になります。
計測のため、あちこちイジリ倒しているうちにあることに気がつきました。「何で実物はこんなに革が堅いのだろう?」
当初この疑問は「経年硬化」と考えていたのですが、当時資料を入手するにあたり、その真相が判明したのです。
前盒が堅牢な作りをしている理由、そのワケは「堅牛革」を使用しているからなのです(←当たり前か)
例えば、上のスケッチで言うと
・①の体の内側(二枚合わせの内側)
・③の蓋
・⑧の仕切革【中仕切り(3枚合わせ)を含む】
以上のパーツが「堅牛革」を使用するように仕様書には記されています。つまりこれらのパーツが堅牛革で構成されているが故に、前盒は堅牢な作りをしているのであると言えます。
ではその他のパーツはどのような「革」が使用されていたのでしょうか?資料を覗くと「褐色多脂牛革」と記されています。
手元には九九式の「前盒」と「後盒」、騎兵用「前盒」の資料があるのですが、これらの弾薬盒を構成する革の仕様は
①『褐色多脂牛革』
②『堅牛革』
の2種類のみとなります。
ここでもう一つ疑問が・・・
当時の陸軍の技術本部(?)は何故、わざわざこの種類の違う革を指定したのか?
戦争とはそれこそ大量生産、大量消費の典型である。大量生産するからには同一規格、仕様のものを採用したいところだ。以前にもブログ内で「小銃用負革」の『遊革』の違いを記しましたが、(http://dekunobou2010.militaryblog.jp/e375456.html)今回は種類の違う革を使用している。何故か?
これはセカンド木村の想像ですが、形状の変形を防ぐためではなかったのか?と考えるのです。
前盒には当然、貴重な弾薬を収納しているため、その品質保持が重要となる。兵士による作戦行動や戦闘下での装備品類は酷使されるため弾薬への品質的な影響が及んではならない、と、判断したのではなかろうか?
もう一つは(実はこれが一番重要か?)、見た目のカッコ良さを追求したのではないか?ということである。前盒(後盒も含め)の持つやや大きめな直線的デザインによって軍隊の持つ統率性を兵士に意識させ、また自らもその威厳を高めるに至らしめた、その要素としての「カッコ良さ」を追求したのでは?と考えるのです。これは、須川さんの著書に拳銃嚢の考察として「身に付けた際の威厳などデモンストレーション効果・・・」と記され、また「拳銃嚢は騎兵の示威的な効果を狙って作られたものであり・・」と記されているのと同様の考え方です。
以上の事より、見た目の要素としてわざわざ「堅牛革」が選定されたのではないか?と、考えるのです。
その証拠(になるかどうか分かりませんが)に当時のある資料本内「兵器・被服の手入」の項には次のように記してあります。
・「弾薬盒の如き堅い革で作ったものは油を多量に塗ると柔になり形が変り易くなるから油は少量ずゝ塗る。」
とあり、また別の資料本には
・「皮革製品ノ手入ニハ・・・僅ニ含油セル布ヲ以テ等斉且数回塗施シ・・・過剰油ハ拭イ去ルベシ」
とあり、別の資料本にも
・「褐色堅牛革は変形を防ぐ為め其の量を減じ・・・其の量過度なるときは、革質柔軟となつて為めに変形若しくは伸長し・・・」
とあります。以上のことより、堅牛革を使用している前盒、後盒には多量に油脂を塗り込んではいけない、という事が分かります。
新品レプリカを入手して、「色が浅い」とばかり多量の皮革油を塗りたぐるのは、本当は間違いだったのである・・・いや、レプリカは堅牛革を使用していないから、強(あなが)ち間違いでもないか・・・?
弾薬盒の「体」には「堅牛革」と「褐色多脂牛革」が2枚合わせにして使用されているのは判明した。では、それがどのような構造になるかというと
製作途中の画像で恐縮ですが、上画像のように「体」の外側に「褐色多脂牛革」、内側に「堅牛革」が使用されていた、という事になります(画像のものは実際に「堅牛革」を使用しての試作)。
気になるのはその革の厚みである。
以前、少しだけ報告した前盒の試作品であるが・・・
このときの「体」の革の厚みは4ミリで製作しました。つまり外側2ミリ、内側2ミリ。
ヨシ!これで試作完了!と思ったその矢先、仕様書にこのような指定がありました。
後盒の「体」の仕様に
「二枚合セニテ内側ハ褐色堅牛革ナルモ厚サ4mmノ褐色多脂牛革ヲ使用スル場合ハ一枚革ニテ製作スルコトヲ得」
(*最後に追記と画像あり↑)
とありました。よくよく見ると、内側の革の厚みが2.5ミリ、外側の革の厚みが2ミリの指定がある事が判明しました。
つまり
内側2.5ミリ+外側2ミリ=4.5ミリ
ということになり、セカンド木村が試作した4ミリの「体」では僅か0.5ミリ足りない、という事になります。
0.5ミリ・・・人間が生活するに於いて0.5ミリは僅かな隙間程度のものですが、精密機械や機械部品、革の厚みに関しては(←無理矢理?)0.5ミリは結構大きい。何より「堅牛革」が0.5ミリ厚くなると、その分、堅牢に仕上げる事が出来る。
そんな訳でもう1回作り直し、という事になりました。前盒の製作がかなり遅れているのはそんな理由もあったのです。
ここで、実物の後盒の「体」、2枚合わせの部分を確認しておきましょう。
↑「体」が2枚合わせになっているのが確認出来ます。でも、どーみても外側の革の方が内側の革より厚いです(笑
つづいて、前盒の「体」を見てみましょう。
こちらはちょっと確認しづらいと思いますが、2枚合わせになっています。実測値でも示したように、厚みは4.5ミリ~5ミリはあります。仕様書に近い数値です。
*追記と画像
前述の後盒「体」に関する仕様書の記述
「二枚合セニテ内側ハ褐色堅牛革ナルモ厚サ4mmノ褐色多脂牛革ヲ使用スル場合ハ一枚革ニテ製作スルコトヲ得」
とは、どのようなことか実物画像で説明しますと
左が2枚合わせのもので右が1枚革のもの。上蓋を開けてみてみましょう。
上が2枚わせのもので下が1枚革のもの。2枚合わせの方は内側が表革になっているのが分かります。
続いてこちら。二枚合わせの方は、革と革を貼り合わせた面が確認出来ます。
仕様書に従いますと、2枚合わせの方は内側(画像白枠内、左面になります)は2.5ミリで外側(同枠内、右面になります)が2.0ミリという事になります。実測値は4.5ミリで仕様書通りの仕上がりとなっています。
右側の後盒、1枚革の方は仕様書に従いますと、「厚サ4mmノ褐色多脂牛革」となるのですが、実測値は4.3ミリもありました。ちなみに堅牛革なみの堅さです!!
さらにこちら。「体」が2枚合わせの後盒(下側)は底面の穴の周辺が縫い合わされています。2枚合わせのためこのような縫い目が存在しているものと思われます。もっとも、2枚合わせでもないのに底面の穴の周辺が縫い合わされている実物も存在します。当時の工員(?)さんが意味も分からず指示通りに縫製したことが伺えます。
その2へつづく
コメントありがとうございます。
今回は前盒の概要として品質面の説明のみになりました。
次回より製作編に入ります。ご期待下さい。
当方も複製品の製作の上で先日、旧軍時代から予備隊、国鉄、警察の革装備品を作っていた老職人を訪ねたのですが、旧軍装備から警察のホルスターにかけては床の処理には麩糊を使っていたそうです。
調べてみると現代でも官公庁向けの革装備を納めている業者にも麩糊を使っているところと、市販の床処理剤を使っているメーカーがあり、さらには革の供給も伝統的に栃木と姫路がほとんどだそうです。
しかし「革厚0.5㎜」。これ非常に大きいですよね。
現在流通している多脂革がまさに0.5㎜足らず、当方でも工場に特注中で、コスと激増。なんとも悩ましいところです。
ナント!驚きの情報を有難うございます。床面処理に麩糊とは晴天の霹靂!もとより麩糊自体、見たこともありません。非常に興味深いので入手次第試験使用してみたいと思います。
>革の供給も伝統的に栃木と姫路
こちらも貴重な情報を有難うございます。栃木レザーはまだ未使用の分野です。もしかしたらなめし工程での「褐色」具合が解明できるかも?姫路は近いですし、可能ならタンナーさんを訪ねてみたいです。
販売店によりますと、4ミリ厚に均等に漉いてもらうには、原厚が4.3ミリ~4.5ミリは必要とのこと。もうこの時点で革の種類は限定されます。非常にキビシイです。
ちなみに栃木は水染の多脂革、姫路は靴の中底用の革を装備品によく使ったそうで、姫路でしたら昭南皮革あたりにあたってみるとよいかと思います。
撮影用の小道具政策で革製品を調べ始めたのですが戦後期の官公庁向けに使われた装備品のいわゆる「アジ」や重厚感がどこから来たのか?と、あれこれ調べ始めたのですが、この辺の処理剤、革の芯通しの方法――この辺に答えがある気がしてくる今日この頃です。
またもや興味深い情報を有難うございます。どうやら麩糊の使用がキーポイントになりそうですね。ちょっと探してみます。
姫路のタンナーさんの情報も有難うございます。チャンスがあれば訪問してみたいですね。
「アジ」「重厚感」の再現。正にこれが私の追及している部分です。セカンド木村の場合、染料と床面処理でそれを再現してきたつもりですが、実物の雰囲気にはなかなか近付けないようです。今回の前盒に関しては堅牛革の使用による堅牢さや、ソリッド感を再現しようとしていたのですが・・・。結果は後日当ブログ内でレポートします。