CATEGORY:弾薬盒

2013年11月01日

前盒の試作 その6

その5の続きです。

染色編

前回まではパーツの穴開け、エッジ加工を行いましたので、今回は染色作業を紹介したいと思います。

前盒の試作 その6
各パーツ、工房オリジナル染料で塗装していきます。

前盒の試作 その6
「蓋」の裏面(床面)には、贋作防止用に工房オリジナル印を押します。

前盒の試作 その6
「体」を除いて、全てのパーツが塗り終わりました。「体」の塗装は型付けの作業を伴いますので、後ほど紹介します。

前盒の試作 その6
つづいて各パーツの床面、コバ面を処理材で磨き上げていきます。

前盒の試作 その6
「蓋止革」の床面も処理していきます。

前盒の試作 その6
このような細かいパーツのコバ面も処理剤を塗って・・・

前盒の試作 その6
その後、布でこすりあげると・・・

前盒の試作 その6
ご覧の通り、綺麗な仕上がりに。(上が処理済みで下が未処理のもの)

前盒の試作 その6
前盒の試作 その6
前盒の試作 その6
この様に各部、手を抜くこと無く綺麗に磨き上げていきます。

前盒の試作 その6
床面、コバ面の処理が終わった状態です。結構体力のいる作業です。


さて、お次はセカンド木村がこだわりにこだわった「体」の塗装、型付けに入ります。

と、その前に先ずはこちらの画像をご覧ください。↓
前盒の試作 その6
こちら、以前に試作した前盒ですが・・・

前盒の試作 その6
「体」と「仕切革」の縫い合わせ部をよくご覧ください。
両パーツのツラがあっていないのが分かりますよね?
また、「体」が2枚合わせの為、貼り合わせ時にズレてしまい、段差が生じているのが確認出来ると思います。

前盒の試作 その6
実物(奥側)と比較してみますと・・・実物の方はツラもピッタリで、2枚合わせの「体」の革もまるで1枚革で製作したかのような仕上がり。一方、試作品は各ツラがガタガタ・・・、その差は歴然です。

前盒の試作 その6
こちら、悪い例をもう一つ。糸を通す穴の位置を意図的にずらして試作した物。これは「仕切革」が「体」よりも出てしまい、このように不格好な仕上がりとなってしまいました。

以上のように、2枚合わせの「体」のズレ、「仕切革」と「体」のズレ、の2点を克服すべく、セカンド木村は以下のような方法を用いています。
前盒の試作 その6
「体」になる2枚の革を用意します。

前盒の試作 その6
革を裏返して、貼り合わせるためにボンドを塗っていきます(また竹串を使用・・・)

前盒の試作 その6
ボンドは革の中央部のみに塗ります。ここが「体」の底面部になります。

前盒の試作 その6
2枚を貼り合わせて・・・

前盒の試作 その6
ローラーで圧着します。

前盒の試作 その6
その後、テキトーな重りをのせて、ボンドが乾くのを待ちます。

前盒の試作 その6
ボンドが乾いたら、塗料を塗って行きます。

前盒の試作 その6
両面とも、なるべくムラが出ないように綺麗に塗って行きます(↑画像ではしっかりムラが出ていますが・・・汗)

前盒の試作 その6
次に使うのがこちらの冶具。セカンド木村が弱いオツムをフル回転させて考案しました。

前盒の試作 その6
塗装作業が終了した直後の「体」を、柔らかいうちにこの冶具に挟み込んでいきます。

前盒の試作 その6
冶具に革を挟み、定位置に持ってきたら両端のネジを締めこみ、革がズレないように固定します。

前盒の試作 その6
更に、この様に工具を使用して固定します。

前盒の試作 その6
そして机の端っこを利用して、この様に革を折り曲げていきます。

前盒の試作 その6
反対側も、しっかりと折り目を付けます。

前盒の試作 その6
「体」の底面を固定して、その両端を折りまげたような状態になっています。これでしばらく乾燥させます。

前盒の試作 その6
塗料が乾燥したら、冶具を外していきます。

前盒の試作 その6
こんな感じになりました。

前盒の試作 その6
懲りずに竹串でボンドを塗ったら・・・

前盒の試作 その6
貼り合わせていきます。

前盒の試作 その6
この面もしっかりとローラーで圧着していきます。

前盒の試作 その6
貼り合わせが完了した状態。だんだんそれらしく見えてきました。

前盒の試作 その6
「体」の革は内側の革(堅牛革)の方がやや大きめに裁たれていますので、外側の革に合わせて余分な箇所を切り取って行きます。

前盒の試作 その6
前盒の試作 その6
この様に4辺のはみ出し部を切り取っていきます。

前盒の試作 その6
さらに、先述の『2枚合わせの「体」のズレ、段差』をなくすためにコバ面を漉き工具で削り、段差を無くします。

前盒の試作 その6
この状態から更に・・・

前盒の試作 その6
コバ面にヤスリをかけていきます。本当に手間が掛かります。

前盒の試作 その6
4辺のコバ面の下処理が終わった状態です。2枚革ですが、1枚革に見えるかな・・・?


その7につづく。




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Posted by でくの房  at 11:52 │Comments(2)弾薬盒

COMMENT
すごいこだわり・・・。職人技ですね。
Posted by Aussie1 at 2013年11月03日 10:47
Aussie1様

有難うございます。忠実に再現しようと思ったら、結果こんなに手間が掛かっちゃいました(笑
Posted by でくの房でくの房 at 2013年11月03日 21:35
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