C3
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http://dekunobou2010.militaryblog.jp
でくの房
https://dekunobou2010.militaryblog.jp
こんにちは「でくの房」です。
現在休業中につき、カテゴリ内「オーダー受付商品」の製作は承っておりません。
尚、「現在販売商品」は販売を行っております。どうぞご利用ください。
お問い合わせは
okko9853@yahoo.co.jp
までお願いします。一両日中には必ず返信しております。当方から返信が無い場合は他のメールアドレスから再度送信してみて下さい。また不定期出張の為、上記以外からのお問い合わせは返信が遅れます。
ja
Tue, 19 Dec 2023 09:39:00 +0900
Wed, 30 Aug 2023 22:38:36 +0900
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でくの房
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でくの房です。
現在休業中につき、新規ご予約、ご依頼での製作は行っておりません。
尚、「現在販売商品」は引き続き通常通りの受付を行っております。どうぞご利用ください。
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弾匣の試作品
皆さんこんにちは!でくの房@セカンド木村です。
さてさて、やってまいりました!弾匣の試作品がやってまいりました!
早速画像にて紹介したいと思います。↓
↑先ずは外観から。色の具合もいい感じだと思います。私が所持している実物はもう少し濃緑が強いですが、まあこれが一番イメージに近いかと思います。
以下、各アングルからのショットです。↓
↑外観はもう実物と見分けがつかないんじゃなでしょうか?褒めすぎ?
次は気になる内部です。↓
↑グニャグニャの仕切り板が見事に再現されております。
ちょっと気になるところと言いますと・・・↓
↑量産時はこのような塗装のチョイ剥げや擦れキズが発生します事、ご了承くださいませ。
↓折角なので実包を入れ込んでみましょうかね~。ルンルン♪
↑見事バッチリ入りました!素晴らしいです。
↑あとは上蓋を締めるだけ。とても機能的だと思います。
↑しっかし重いなあコレ。実包を全部入れるとかなりの重量です。
ここまでやったらもう弾匣嚢に入れるしかないっしょ!!↓
↑奇麗に収まりました!
↑ベルトで留めて・・・↓
↑これで完成。
↑裏面はこんな感じ。
↑負い紐も取り付けてみましょうか。
↑ハイ、これで完璧!
さて弾匣の試作品レポートは以上となります。
皆様いかがでしたでしょうか?
弾匣の量産品は既に塗装段階に入っておりまして、早ければ来週中にはご案内の開始が出来るかと思います。
またご予約を頂いた順番にご案内のメールを差し上げてまいりますが、年末年始のお休みを挟みます上、当方Vショーの出店も控えておりますので、お客様によりましてはご案内が1/22(月)以降になります。この点、何卒ご了承くださいませ。
また、弾嚢や弾匣嚢をご一緒にご予約されましたお客様につきましては、ご案内が他のお客様と前後する場合がございます。重ねてご了承くださいませ。
ご予約者様の中で、キャンセルを希望されるお客様がおられましたらご遠慮なくお申し出ください。
okko9853@yahoo.co.jp
↑までよろしくお願いします。
それでは量産品の入荷までしばらくお待ちくださいませ~!!
でくの房@セカンド木村
https://dekunobou2010.militaryblog.jp/e1132826.html
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製作日記
Tue, 19 Dec 2023 09:39:00 +0900
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試作弾匣の続きとご予約制限のお知らせ
皆さんこんにちは!でくの房@セカンド木村です。
さてさて、弾匣のレポートの続きとなります。
と、その前に・・・・
この度は仮ご予約とはいえ、非常に多くのお問い合わせをいただきました!
本当に、本当に心から感謝申し上げます。
実のところ、セカンド木村の予測よりはかなり早い段階でご予約を希望されるお客様が多数おられまして・・・・ヤバいっす、数が足りないかも?です。いや、マジですこれ!
でもご安心ください・・・とは言い切れません。取り敢えず、例のちょい悪オヤジ風(あくまで『風』です!)社長に増産を掛け合ってはみます。もし「もう作らん」って言われたら終わりです。上限20個になります。
そんな訳で一先ず、20個で一旦ご予約を打ち切らせていただきます。
たとえ「増産可」となりましても、あともうプラス10個で完全終了となります。なぜなら前回のレポートでも少し触れました例の「蝶番」が外注品なので員数が終了となります。
この増産分の10個は通常価格¥55000での販売とさせていただきます。何卒ご了承くださいますようお願いいたします。
ちょっと一回おさらいをしておきます。↓
*20個分(20名様分)を上限としてご予約を承ります。→¥51500で販売します。
*増産分10個は通常価格にて販売します(但し、社長が作ってくれたなら)。→¥55000での販売となります。
ご予約をご希望の方は以下のメールアドレスまでご連絡ください。
okko9853@yahoo.co.jp
↑コピペしてね。
さてさて、本題に戻りましょうか。
前回のレポートで弾匣の品質の高さはある程度は伝わっったとは思いますがちょっと気に掛かることありまして・・・
↑これ、つまり弾匣嚢の帯部にきちんと収まるのか?が気に掛かっていました。
それと・・・実包120発を詰め込んだときの、つまり全負荷時の蓋の栓、ロックは完璧か?が心配でした。
それを試すために、量産開始前に再び加工所へ行ってきました。
先ずは支度から↓
↑30年式実包と擬製弾、38式実包と擬製弾、弾頭と薬莢のニコイチ・・・とにかくかき集めて何とか120発揃いました。
↑折角のなので弾嚢へ入れて持っていきました。120発入れるのは初めてです。
↑120発も入れるとこんな膨れ具合です。重量は結構あります!
↑さて加工所へ到着後、さっそくサンプル品を試してみました↓
↑うん、バッチリ入りました!良かった・・・正直ホッとしました。↓
↑これって向きがあるのかな?
↑次は全負荷の試験。120発入れてみました。↓
↑120発入れたこの状態でガサガサと揺さぶったり腕を素早く上下に振っても栓は完璧に閉じられたままでした。あ~良かった!
最後に120発詰め込んだ弾匣の蓋を閉じたときの動画をどうぞ。↓
↑一回掴み損ねてるし(笑)
はい、今回はここまでとなります。
今一度、ご予約の件に関しまして明記しておきます。
弾匣のご予約をご希望の方は以下をしっかりとお読み下さいませ。
前回レポート(仮予約受付中!弾匣の製作(試作サンプル) )からは変更点があります。ご注意ください。
*ご予約受付は20個(20名様分)で終了します。→¥51500で販売します。
*増産分10個は通常価格にて販売します(但し、社長が作ってくれたなら)。→¥55000での販売となります。
その他前回レポート(仮予約受付中!弾匣の製作(試作サンプル) )にも明記しております注意事項を今一度以下に記しておきます。必ずお読みください。
仕様の注意点とご予約時の注意点をお読みください。
*鉄製品ですが、開閉ノブのバネ鋼と背面の蝶番はステンレスです。
*背面の蝶番はリベット留めのように見えますが、実際は溶接留めです。実物はリベット留めなのでここが大きく異なります。
*塗装は焼付塗装です。
*ご予約希望のお客様は住所、郵便番号、お名前、必ず通じるお電話番号をご明記の上、次のアドレスまでメール連絡ください。okko9853@yahoo.co.jp
*お一人様1個までのご予約とさせていただきます。
*正式販売開始まではキャンセル可です。正式販売の時期は2023年末~2024の年始あたりになるかと思います。ペイントを施された完成品をもう一回はブログ内でUPしたいと思いますので、その時に最終判断をしていただいても結構です。
*一旦キャンセルされました場合は通常価格¥55000での販売となります。ご了承ください。
*正式販売開始後、順次お振込みのご案内メールを差し上げますので、メール受信後は2週間以内にお振込みをお願いいたします。2週間経過後にお振込み無き場合はキャンセル扱いとします。悪しからずご了承ください。
他に・・・
*1回限りのワンオフ製品になります。今後の再生産はありません。
では皆様、ご検討下さいませ~!!
でくの房@セカンド木村
https://dekunobou2010.militaryblog.jp/e1129753.html
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製作日記
Sat, 21 Oct 2023 23:40:00 +0900
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仮予約受付中!弾匣の製作(試作サンプル)
皆さんこんにちは。でくの房@セカンド木村です。
晩秋の候ですね~。朝は小寒い感じですが、日中はまだ結構熱いですね。
秋と言えばアレですよね。そうです、AREです。・・・え?知らないんですか?A・R・Eを・・・恒例の秋季演習ですよ。
しかし今はアレがソレになって、「ソレ」って何だ?ってなわけで、今回の「ソレ」は久々の大物アイテムの紹介です。
秋季演習の勝敗のカギを握るのが軽機関銃の運用です。日本軍は機関銃を中心として火線を制し、敵陣を歩兵突撃(小銃)で圧する戦術で戦ってきたと言われています。
戦術的には時代は若干遡りますが、今回紹介しますのは十一年式軽機関銃の弾匣(だんこう・たまばこ)の試作サンプル品です。
この弾匣は今年の5月頃に地元業者さんに試作を依頼していたもので、この度第一号が完成したとの報を受け、早速現物確認をしに加工業者さんの所へ伺いました。
こちらです。↓
↑外観はほぼ問題なく正確無比に再現されています(左が実物で右が試作品)。
↑蓋を開けてみますと・・・この通り!バッチリ再現されています。↓
↓さらに実包を入れてみました。
↑見事にキレイに収まります。当然、蓋を閉じても一切干渉しません。もの凄い丁寧且つ完璧な仕上がりです!
↑蓋を開閉するときのこのノブ(?)はバネ鋼を使用。社長自ら数種類試して下さいました。程よい反発具合で、社長のセンスの良さが伺えます。
↑蓋は閉じるとこの状態から「カタン」という鉄音を響かせて完全に閉じられます。当然ですが匣全体には歪み、ひずみ等は一切なく、ストレスなく開閉が可能です。あまりに完璧な仕上がりにセカンド木村は初めてこの蓋を閉じたときに「うおーー!」と雄叫びを挙げてしまいました。
↑もう一回、仕切り板を見てみましょう!↓
↑もうここまで来たらほぼ芸術品です。現代のレーザー切削、曲げ加工と職人技が見事にマッチングした最高の逸品と言えるのではないでしょうか?
社長曰く「この仕切り板は実物よりも正確に寸法を採れてるよ」と。言い過ぎ?褒めすぎ?・・・いえいえ、それでいて社長は「戦前でここまでの作りの物を1個ずつ、調整しながらとはいえ当時の職人さんが製作したのは凄いと思う」と仰ってました。先人たちへの尊敬の念を忘れない社長のそのお心に敬服です。
↑実はこの弾匣で一番高コストだったのがこの蝶番です。規格品で同一のものが無かったのでここだけは外注になりました。
しかしですね・・・↓
↑この蝶番も匣の傾斜にそって僅かにナナメに加工されています。分かります?ここまでやりますか?普通・・・。割とこだわりの強いセカンド木村でさえ呆れるほどの再現です。感服モノです。
↑最後に色チャートと比較しながら、最終決定しました。塗装はもちろん焼付塗装になります。
今回製作を請け負ってくださった業者さんは新進気鋭の加工業者(レーザーと曲げ加工)さんで、ちょい悪オヤジ風(注:あくまで『風』です)の社長が気さくに相談に乗って下さってトントン拍子に話が進んでいきました。セカンド木村のような零細工房を相手にして下さる本当に優しいお話し好きな社長さんです。「ワンオフだろうけど、一番コストの掛からない個数で」と、大して儲けにはならないであろう今回のお仕事を請け負ってくださいました。本当に有難うございます。
さてさて、今回は以上になります。
ここまでご覧になって、もし「是非欲しい」と思われる方がおられましたらご予約を承ります。
以下のメールアドレスまでご連絡ください。
okko9853@yahoo.co.jp
↑コピペしてね。
定価¥55000で販売予定ですが、ご予約していただいた方には¥51500にて販売いたします!(キャンセル可)。
↑でくの房的にはここが精一杯のラインになります。
今回の弾匣は製作数を15個~20個を予定しています。『10月21日更新 予約品20個で終了、増産分10個を要請中です。』完全ワンオフです。今回生産終了しましたら今後は再生産致しません。
今後、ペイントを施されたものをもう一回はレポートしたいと思います。
以下、仕様の注意点とご予約時の注意点をお読みください。
*鉄製品ですが、開閉ノブのバネ鋼と背面の蝶番はステンレスです。
*背面の蝶番はリベット留めのように見えますが、実際は溶接留めです。実物はリベット留めなのでここが大きく異なります。
*塗装は焼付塗装です。
*ご予約希望のお客様は住所、郵便番号、お名前、必ず通じるお電話番号をご明記の上、次のアドレスまでメール連絡ください。okko9853@yahoo.co.jp
*お一人様1個までのご予約とさせていただきます。
*正式販売開始まではキャンセル可です。正式販売の時期は2023年末~2024の年始あたりになるかと思います。ペイントを施された完成品をもう一回はブログ内でUPしたいと思いますので、その時に最終判断をしていただいても結構です。
*一旦キャンセルされました場合は通常価格¥55000での販売となります。ご了承ください。
*正式販売開始後、順次お振込みのご案内メールを差し上げますので、メール受信後は2週間以内にお振込みをお願いいたします。2週間経過後にお振込み無き場合はキャンセル扱いとします。悪しからずご了承ください。
他に・・・
*1回限りのワンオフ製品になります。今後の再生産はありません。
*製造数は今のところ15個~20個で調整しています。『10月21日更新 予約品20個で終了、増産分10個を要請中です。』ご予約数に合わせて増産はあり得ましても40個、50個も作りません(作れません)。
では皆様、ご検討下さいませ~!!
でくの房@セカンド木村
以下10月21日更新分です。ご確認下さい。↓
*ご予約受付は20個(20名様分)で終了します。→¥51500で販売します。
*増産分10個は通常価格にて販売します(但し、社長が作ってくれたなら)。→¥55000での販売となります。
https://dekunobou2010.militaryblog.jp/e1129605.html
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製作日記
Thu, 19 Oct 2023 23:15:00 +0900
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尾錠に泣く(拳銃嚢負い革)その2
さてさて前回は尾錠製作がいかに困難かを、お伝えしようと思っていましたが道がそれてしまいました。
前回の内容を要約しますと・・・
・26年式拳銃嚢負い革・・・・穴の数は11個、穴の間隔が広い、尾錠がゴツイ
・14年式拳銃嚢負い革・・・・穴の数は21個、穴の間隔が狭い、尾錠は細い(26年式と比べて)
ということになります。
これをもう一度画像で確認しておきましょう↓
↑26年式の尾錠の方がゴツイですね。
↑26年式の方が穴の間隔が広いですね。
手前味噌ですがベルトの製作はお手の物です。寸分違わぬものを製作してみせる自信はあります。
↑ほら、こんな感じで型紙に合せて穴を開けて行ってね。
↑尾錠縫付部にも縫い穴を開けていってね。(実物に倣い、平目ではなく敢えて菱目を打ち込んでいます。誰も気付かんのよな~、こういうこだわりって。ほぼオ〇ニー状態です(笑))
↑遊革もワケねえっす!
↑最後に工房印を押印して完成!
しかーーーーし、
何度も言うように、尾錠や金具類の製作には泣かされてきました。
今回も並行して尾錠の製作を試みたのですが・・・
↑大失敗の尾錠群・・・↓
↑ことごとくロウ付けに失敗しました↓
↑これなんかロウを盛り過ぎました。
↑これだけ失敗して成功したのはこの2個のみ。
↑しかもそのうちの1個は母材を溶かしてしまい、これでは商品になりません。
↑これが唯一、14年式の負い革に使えそうです(右の個体。左は実物)・・・ハァハァ(*´Д`)
↑26年式の尾錠は線径が5mmもあるものを使用しましたが・・・
↑ことごとく失敗。1個も成功しませんでした。
正直もう、自信を無くしました。
しかし実はこれらの尾錠を製作する前に26年式のゴツイ(線径5mm)尾錠は1個だけ製作、納品しておりました。
↑それがこちらです。ベルト本体は14年式ですが、尾錠は26年式を模したものです。
おかしいなあ~。一度は製作出来て納品までしているのに、なぜ2度目は失敗するんだろう?
みなさんもこのような経験がありませんか?
セカンド木村も度々経験するのですよ。例えばRCヒコーキの初めて飛ばす機体での着陸や新しい曲の練習、新製品の製作など・・・1回目はソツなく、というか何となく成功してしまうのですが、2回目以降って失敗率が高い、なんて経験ありません?
しかもやればやるほど何か下手になっているような・・・
欲が働くからかな?前回上手く出来たから今回は出来て当然、なんて意識がどこかで働いているからなのでしょうか?
どちらにしても、もう自分でロウ付けするのはイヤになった・・・なので↓
↑結局既製品に走ってしまいました~!!だって買った方が何倍も楽だもん!
そんなワケで既製品尾錠を26年式負い革に縫い付けました↓
↑実物との比較。やっぱり尾錠のツメ部が気になります??(縫い穴一個間違えてるし↑)
↑負い革全体像。(でも26年式の負い革の複製は初では?)
完成しましたので拳銃嚢に装着してみましょう↓
↑拳銃嚢本体はPKミリタリアさんから購入したものです。とても良いお品です。
↑先ずはここからベルトを通して・・あれ?遊革が先だったかな?・・・あれ革のオモテはどっち?・・・皆さん、きちんと間違えずに出来ますか?
ちなみに海軍は装着が陸軍とは逆なので要注意です。
↑尾錠を介してつづみボタンで留める・・・っと、これ間違ってます。
↑これが正解。先ほどの画像とどこが違うかお分かりでしょうか?
↑装着完了。負い革は吟面が常にこちら側を向くように装着します。
↑つまり被服に触れる側がベルトの床面になります。
↑れれ?遊革はこれではいけません。
↑遊革は矢印の方向へ。
↑尾錠のすぐ下まで押し上げます。尾錠のツメ部が解かれるのを防ぐ措置です。
念のため、もう一度実物画像を確認しましょうか↓
ほらね↑↓
尾錠の精工複製はあきらめたものの拳銃嚢負い革の精工複製は初かと思います。今後¥5800で販売予定です。
尾錠も精工複製の物を!とお考えの方はご連絡ください。ただし価格と納期を気にしない方になります。
最後まで読んでくださいました皆様有難うございました。
でくの房@セカンド木村
https://dekunobou2010.militaryblog.jp/e1077011.html
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製作日記
Wed, 08 Sep 2021 15:40:00 +0900
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尾錠に泣く(拳銃嚢負い革)その1
9月になりました・・・今月Vは無事開催されるのでしょうか?
一応その準備は進めているセカンド木村です。
さて今までに種々の皮革製品を製作してきましたが、商品化までの途上、何が大変かといえば実は尾錠を確保(製作)することです。
小銃用負い革の尾錠はいまだに一個ずつ手作りしてますし、自分で製作出来ないものは外注しなければならない。
ハッキリ言って金具類の確保は面倒ですよ。
革はどうにでもなる。根気よくやれば大抵のものは作れる自信がある。しかし、尾錠や金具類は別である。機械装置や特殊な技術が必要とされる。物によってはロットが発生する。業者さんに『1000個から』なんて言われるともうその時点でアウトである(笑)
14年式拳銃嚢の負い革を製品化しようと何年も前から考えていた。
実は数年前にあるお客様からのご依頼で作ったことはある。↓
↑これはその時の試作品です・・・が、セカンド木村的に気に入らない部分があり、当分の間放っておいていた。
その「気に入らない」部分とは、そう、この尾錠である。↓
↑左がセカンド木村が製作したもので、右が実物です。
尾錠の形状の違いが分かりますか??
セカンド木村が作った負い革は尾錠が既製品の為、調整用のツメ部の形状がグニャリ、と波打っている感じです。
一方、実物は真っ直ぐな作り。
もっと突っ込むと、既製品尾錠は鋳物ですが、実物は一本の真鍮線から形成されています。
・14年式と26年式の違い
↑何故かここで副題が登場しましたが・・・
ここで、14年式拳銃嚢の負い革と、26年式拳銃嚢の負い革の違いを見てみましょう。
画像内、上が14年式で下が26年式です。
ベルト幅と厚みはほぼ一緒です。全長がやや26年式の方が短いことと、一番の大きな違いは孔数である。
14年式の孔数は21個に対し、26年式のそれは11個。その分、26年式は孔の間隔が14年式と比べ長い。
当時写真で見てみましょう。先ずは26年式から↓
↑26年式は穴の間隔が広いですね。 画像提供:木口くん様
ついでに言うと26年式は・・・↓
↑そう、尾錠が異様にゴツイんです。これ、当時画像にもよく見られます。 画像提供:木口くん様
一方、14年式はと言いますと・・・
↑孔数が多く、穴の間隔が短いですね。そして尾錠は26年式ほどゴツクは無い。 画像提供:T様
ついでに言いますと、この14年式の画像はベルトの途中に継ぎ目があります↓
↑この継ぎ目のあるタイプ、現存する実物でも割とよく見られるタイプです。当時写真でも時々見ます。
何故こんな継ぎ目があるのでしょう?
答えは簡単。資源節約のためです。
この拳銃嚢負い革を1本製作するのにはおよそ140㎝以上のベルトを要します。この140㎝というのがまた中途半端で、半裁皮革(一般的に流通する皮革の最大面積)から採るには極端に本数が限られてしまうのです。
皮革は言うまでもなく牛さんの革です。天然物です。布生地のように織り出すときに面積を調整することは出来ません。天然皮革のように限られた面積からより効率よくベルトを切り出すには、上の写真のように短いベルト同士をつなぎ合わせて1本の長いベルトに仕立てる必要があったのです。
その好例を一つ↓
↑こちらゴム製前盒です。
↑このゴム製前盒の『蓋留め革』は真ん中付近に継ぎ目があります。
↑本来はこのように全長30㎝ほどの型紙から切り出すのですが、ご覧の通り画像内の余り革からこの長さの『蓋留め革』を切り出すことは出来ません。
↑しかし、短くした2本の『蓋留め革』の型紙を使用すれば・・・
↑このように切り出すことが出来、それを中央部で糸縫いすれば立派な1本の『蓋留め革』を完成することが出来ます!↓
↑ほらね。これ実物ゴム前盒に複製蓋留め革を付けたものです。
いわゆる歩留まりを上手く活用、その率を向上させるために継ぎ目が存在するのです。
「でくの房のは実物と作りが違う」と暗に訴える方も居られるかもしれませんが、ここら辺を一応押さえた上でお願いしたいところであります。
長いのでつづく。
(もっと簡単な内容にしようと毎回思うのですが、理屈っぽい男なので・・・よろしくお付き合いください)
でくの房@セカンド木村
https://dekunobou2010.militaryblog.jp/e1076685.html
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製作日記
Sat, 04 Sep 2021 15:45:00 +0900
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進化する(?)軽機弾倉嚢
さて、随分と長らくお待たせをしております軽機弾倉嚢ですが・・・
↑説明するまでもなく左が実物、右が工房製です。
この弾倉嚢については『でくの房製のは形状が実物と異なる』といった批評を、遠巻きにいただいたことはあるのですが、この実物をご覧ください。
まあ、それはさておき、表題の「進化する」とは一体何のことか?
当然弾倉嚢そのものが「進化する」という意味ではなく、工房で使用する材料がより実物に模したものになった、という意味です。
以下をご覧ください。
↑弾倉嚢の防塵布と呼ばれるこの三角形状の材料ですが、以前はこのように外被生地を使用していました。
↑しかし実物は外被生地ではなく、麻混ざりの帆布?生地が使用されています。
↑そこで少し前に入手したのは馬具の一部。先ほどの防塵布に使用できるのでは?と少々割高でしたが、品質向上のためにと購入しました。
↑早速、製作してみました。
↑どうですか?実物と瓜二つ・・・といいますか、もう実物です(笑)
↑以前のものと比較しても雰囲気が違いますね。
↑縫い付けてみるとこんな感じです。
↑左の実物と右の工房製を比較してみます。やはりこれにして正解でした!
他にも・・・↓
↑この部分、負い紐のナスカンを引っ掛けるDリングですが、よ~く見ますと・・・↓
↑高さが違うんですよね。左が以前に使用していたもので右がこの度『特注品&メッキ染め』したものです。
↑以前のDリングは背が高く、見た目が何となく「耳が出た」感じでしたが・・・
↑この度この背の低いDリングに変更したことでより実物に近い形状となりました。うーん、ここまでこだわる人はちょと居ない(←自画自賛)
↑左より実物、改製品、改製前になります。Dリングの高さが僅かに低くなり、不格好さが抑えられたかと思います。
↑ちなみにですが・・・実物の縫い線って意外と仕上がりが粗い(笑)。ときどきこのような実物を見ますよね。
↑う~ん、私が縫った方がよっぽど奇麗に仕上がっている(←自画自賛2)
さて、そんなわけで製作における『進化』をみせた軽機弾倉嚢でした~!!
ここでちょっとお知らせがあります。
この度、軽機弾倉嚢は徽章類でお世話になっているO工房にて製作が全面依頼となりました。
よりまして、若干ですが納期が早まります。
「でくの房製の軽機弾倉嚢は欲しいけど3年も待てるか!」とお怒りのそこの貴方!
諦めずにお問い合わせください。今なら1年~1年半ほどでお届けできるかも?です(あまり変わらないか・・・
でくの房@セカンド木村
https://dekunobou2010.militaryblog.jp/e1050745.html
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製作日記
Wed, 18 Nov 2020 15:07:17 +0900
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WW2ドイツ軍 Yサスペンダー オーストリア軍改造レポ
でくの房@セカンド木村です。
戦後オーストリア軍のYサスペンダーを大戦ドイツ軍型Yサスペンダーに改造しました。
そのレポートです。
↑バックルは国防軍です。悪しからず・・・
↑Aフレームも装着できます。
↑改造完了した大戦ドイツ軍型Yサスペンダー(左)と戦後オーストリア軍(右)の比較です。各ベルト寸、違いがあります。
その違いと改造箇所の詳細見て行きましょう。↓
↑オーストリア軍のショルダー部のベルトにはこのようにクッション材がミシン縫いされています。
↑クッション材は大戦ドイツ軍のYサスには無いのでこれを取り除いています。
↑各ベルトを繋ぎ合わせる金具はリング環に交換、その金具を受ける皮革を製作しています。↓
↑ここもAフレームを引っ掛けれるようにDカンに交換しています。その皮革もショルダー部の余り革を再利用しています。
↑Aフレームを繋ぎとめるこの脇革は長すぎるので短く切り詰めています。
↑脇革の基部は覆い革を縫い付けています。
↑ショルダー部の革はやはり長すぎましたので短く切り詰めています。
以上が大まかな改造部の紹介です。
以下、詳細紹介しますのでご興味のある方はご覧ください。↓
↑ショルダー部のベルトはそのまま使用すると長すぎるので、10センチ弱短く切り詰めます。
↑短く切って余ったショルダー部の革はDリング用に再利用します。↓
↑両端を切り落とし、少し幅ベルト幅を狭めて・・・
↑Aフレームを引っ掛けるDカンと組み合わせます。↓
↑このように折り返してDカンを挟み込んだら・・・↓
↑ショルダー部へ縫い付けます。
↑縫付完了。未改造の物(左)と比較してみます。
↑反対側から見るとこんな感じです。
↓次に、最初に切り離したショルダー革の折り返し部を、再びショルダー革へ縫い付けます。
↑ショルダー部の末端の形状に合わせてベルトの両端を切り落とします。
↑両者そのまま縫い合わせると、縫合部が分厚くなりすぎますので革を漉きます。
↑このようにナナメ漉きします。
↑折り返し部の革もそのままだと分厚く感じますので漉き加工します。
↑こちらもやはり、ナナメ漉きにしています。
↑ショルダー部、折り返し部、両者組み合わせてみます。こんな感じです。これにリング環を縫い付ける形になります。
次に、Aフレームに繋がる脇革の加工を行います↓
↑この脇革は少し長すぎるので、短く切り詰めます。鉛筆で示した部分で切りました。上の未加工の物と比較すると10㎝弱短くしています。
↑尾錠、遊び革、Dリング・・・と順番を間違えないようにベルトに通して・・・↓
↑尾錠を縫い付けます。
↑縫付完了。↓
↑遊び革をDリング側へ締め付けて改造完了です。
今回、脇革に付属する遊び革が1個足りなかったので、これも余り革で製作しました。
↑遊び革はDリングを固定するための革です↓
↑このように四角い形に型出しされていて、丁寧な作りです。これを再現します。
↑最初に、余り革を遊び革と同じ幅に切り出します。
↑切り出した革はそのまま使うと分厚過ぎるので、2.5ミリの厚さまで漉き器で加工します。↓
↑厚さ2.5ミリに漉きました。漉かれた床革が2本、確認できると思います。一気にやらずに少しづつ漉いた結果です。
↑次に、脇革と同じベルト幅、厚さの「型出し専用」の革を用意します。
↑水に濡らして柔らかくなった遊び革を、このように巻き付けます。
↑要所ゝゝは工具で折り目をしっかりと付けてます。
↑このように型出しします。水で濡らしたので乾くまで少し待ちます。
↑革が落ち着いたら縫い穴を開けます。
↑糸で縫います。
↑完成。実物(左)と比較してみます・・・・う~ん、ちょっと大きくなってしまった・・・。
↑脇革に通してみました。いい感じです・・・・しかし実物と比較するとちょっと大きい・・・(;'∀')
↑続いて、脇革の基部に当て革を縫い付けます。
↑ここの当て革は折り返し部を設けています。
↑リベット部を覆うように被せたら・・・↓
↑際を縫い付けていきます。
↑両端縫い付けて完了。加工前と比較します。↓
↑いい感じに仕上がりました。
作業はまだまだ続きます。↓
↑ショルダー革は改造前にはクッション材がミシン縫いされています(左)。このクッション材を剥すと、当然ミシン糸も切れてしまい、あとは縫い穴だけ残ります。さすがにこれでは不格好なので、この縫い穴を再び手縫いします。↓
↑目立たないように黒糸で縫います。
↑左右2本分縫うのは結構時間が掛かりますね。縫付前と比較します。↓
↑これはいわゆる飾り縫いみたいなもので、あってもなくても実用には全く関係ありませんが、やはり縫って穴を埋めるのは必要です。
最初に切断したショルダー部の革を再びつなぎ合わせます。↓
↑折り返し部の革とショルダー部をボンドで仮止めします。リング環に交換しています。
↑縫い合わせています。リング環に一番近い縫い目は化粧縫いです。この根元まで縫ってしまうと革とカンに余裕がなく、キツ過ぎるためです。
↑リング環の受け革を作ります。オーストリア軍のYサスには存在しないものなので、手持ちの革で製作、着色します。
↑これらも当時品と同様に床面(革の裏面)が表面になるように着色しています。
↑縫い付けていきます。
↑縫付完了です。あとは・・・↓
↑背面を提げるベルトを通して・・・↓
↑完成です!!
折角なので実際に装着してみましょう!↓
↑うーん、自画自賛。ここまでやると何だか手放すのが惜しくなってきましたが・・・でも売却します。
さて改造レポは以上になります。
10年以上旧軍ものを製作してきましたが、その経験が存分に生かされたと思います。ほぼ失敗なく手持ちの3本の改造を終えました~。
でくの房@セカンド木村
https://dekunobou2010.militaryblog.jp/e1032251.html
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製作日記
Mon, 20 Jul 2020 15:03:15 +0900
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八九式重擲弾筒用弾嚢 試作版 レポート
さて、未だ休業中のセカンド木村ですが、実は密かに(別に隠してたワケでもありませんが)擲弾筒の弾嚢を製作していました。
こちらです!↓
いかがでしょうか?こちら、でくの房でもお取り扱いをさせていただいている「徽章類」を製作されている御方の製作品です。
ハッキリ言いまして、この御方の手に掛かれば、もうこれ以上の仕上がりは他にはない、と言い切っていい位の極上品が出来上がります。正に他の追随を許さぬ『気迫』まで感じられる逸品であります。
さて、その製作者様の『気迫』を商品画像と共に伺ってみましょう(←ちょっと言いすぎ?)↓
↑皮革部は各寸とも実物通りに。厚みも当然合わせています。コバ面まで磨き上げられています!
↑実物との比較です。ご覧の通り、寸分違わぬ形状です。
↑擲弾収納部を上から覗きます。
↑弾嚢を底部から見ます。擲弾の形状に合わせて丸い山形に丁寧に縫い込まれています。
↑防塵部はこのように3次元的に縫い込まれています。さすがです!!
さてここで往年にして現役の王者、中田商店製の弾嚢にも登場していただきましょう!↓
↑まだまだ日本軍が今日ほど注目されていなかったあの当時に、こんなに素晴らしい品を製作されていたんですね。敬服します。
↑中田商店製は蓋を閉じたときにこの防塵部がやや横へ出っ張ります。量産のため、仕方がないともいえます。
↑実物と比較してみます。やや大きめに製作されています。
↑両者、立ててみました。
↑このタテ寸もやや違いがあります。縫い線に注目。
↑蓋部が寸足らずのせいか、梱包材を仕込んだら下ボタンまで届きませんでした。でも擲弾はきちんと収まり、擲弾の大きさなら下ボタンまで留まります。
↑実物と並べて弾嚢底部から見ます。やはりちょっと横幅が大きいのは否めません。
↑更によく観察しますと、中田商店製は、実物には存在するこの縫い部(赤丸枠内)が省略されています。
↑次にでくの房と実物を並べます。
↑先ほどの部分、しっかりと再現しています。
↑更に、実物は収納部の上部側にもこのような縫い部があります。
↑中田商店製はこちらも省略されています。
↑もちろん、でくの房ではここもしっかりと縫い付けてあります。
↑ここで、中田商店製とでくの房を比較してみます。
↑中田商店製は擲弾収納部の縫いが省略されているためか、各収納部がやや左右へ広がってしまう傾向にあります。
↑あえて収納部を左右へ広げて比較してみました。
↑やはりあの上下の縫いが無いと、何となく「クシャッ」と潰れて見えてしまいます。
↑続いて蓋留めの皮革。実物に比べて中田商店製はやや革厚が少ないです。
↑でくの房ではこういった部分はしっかりと再現させていただいております!
↑最後に各種、帯革通しを比較観察します。この部分はほぼ同寸、同厚でした。
さて、いかがでしたでしょうか?
自分でこれを編集していて「でくの房は・・・」と記すのは何だか小っ恥ずかしいのですが、製作者様の意欲、意気込み、が製品を介してにじみ出てくるようです。
そして今回やはり、参考にすべきは『実物』だと感じました。
でくの房の趣旨は「精巧複製」です。どんなに手間が掛かっても、どんなに資金が掛かっても可能な限り『実物』を参考に精巧複製品を作り続けることにあります。
実物を参考に型紙を起こし、試作を行い、失敗・・・また型紙を起こし、試作、失敗・・・この気の遠くなるような作業を幾度も繰り返しているうちにふと、これを開発した当事者の意向や配慮に気付かされることが何度もありました。そしてそこから得られた製作者にしか分かりえない貴重な情報も。
複製品を真似てしまったら「模倣」以下になってしまいます・・・つまり、我々製作者は実物に忠実な究極の「模倣」品を目指しているのです。反面、そういった意味では「創造」を必要としない発展性のない世界ではあるのですが・・・。
変な終わり方ですみません。レポ、以上です。
でくの房@セカンド木村
https://dekunobou2010.militaryblog.jp/e1029661.html
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製作日記,資料品の紹介
Tue, 28 Apr 2020 13:00:20 +0900
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職人の心意気
さてさて、でくの房で取り扱いさせていただいております徽章類ですが、先日、この商品を製作されていますO様よりお手紙と商品サンプルを送って下さいました。こちらです↓
↑こちらの画像をご覧になっただけでも正に「驚愕」「感服」モノですが、お手紙を読み進めていきますと、実物と複製との差異を敢えて示されていることが記されていました。
こちらをご覧ください。↓
①と②の両者、一見同じものの様に見えますが、肩章の芯となる生地の厚さに違いがあります。表記通り、①は芯の生地が3枚重ね、②は芯が2枚重ね、となっています。詳しく見ていきましょう。↓
↑こちらが麻芯です。これは麻布に柿渋を浸透させた「渋引き麻布芯」です。表記通り、左①が3枚重ね、右②が2枚重ねとなります。
当時の仕様書には
『渋引麻布三枚ヲ重ネ 縦ニ等距離ニ五条ノ密針縫ヲ為シ・・・』
とあります。つまり、麻芯は3枚重ねにしてその芯はミシンで5条縫いにせよ、ということなのですが、上の麻芯の画像は敢えて4条縫いとなっています。これは、星章縫いつけ時に縫い糸を損傷してしまうことを避けるための処置、としています。
また、麻芯も本来なら3枚重ねのところを、今後は2枚重ねで製作する旨が記されていました(厚紙は廃止)。これは3枚重ねですと肩章が分厚くなりすぎるのと、実物でも2枚重ねのものも存在することからこの様になりました。
こちらをご覧ください。↓
↑こちら全て麻芯3枚重ねのものです。左よりその麻芯、表布で内容(赤タン)、裏面(一等兵)、表面(一等兵)となります。
↑一方こちら麻芯2枚重ねのものです。左よりその麻芯、表布で内容(赤タン)、裏面(一等兵)、表面(一等兵)となります。
両者とも見た目では分かりませんが、「麻芯1枚の差」になります。
はかりに載せてみると・・・↓
↑3枚重ねのものは8グラム。
↑2枚重ねのものは7グラム、と表示されました。
3枚重ね8グラムは、表示が「8」と「7」を行ったり来たりだったので両者の差は1グラム以下と考えます。
ハッキリ言ってこの差は製作者様以外には分からないこだわりでしょう。
また、表布の縫製にも実物との差があることが記されていました。
↑こちらが実物通りの縫い方で・・・
↑こちらがO様の縫い方です。
この縫い方の差の発生は、表布の生地の薄さに原因があると言います。つまり、現代の生地では繊維の目が甘く、強度的に難ありと判断されたため、としています。要するにほころびを防止するための苦肉の策なのです。
さてこのように、実物との製作や仕様に差があること紹介してまいりましたが、この部分を敢えて明記するあたり、むしろ職人としての心意気が伺えるというものではないでしょうか?
O様が誠実に心を込めて製作される徽章類には一切の妥協が無く、毎度送付されてくるこれらの商品を手にするとセカンド木村の頭にはいつも「感服」、この二文字が浮かびあがるのです。そして革工房の端くれとして日々の製作に反省を促されるのであります。
でくの房@セカンド木村
https://dekunobou2010.militaryblog.jp/e921229.html
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製作日記
Fri, 04 May 2018 21:34:38 +0900
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日々精進(?)
皆様こんにちは、セカンド木村です。
工房では日々スリングや薬盒類を製作しているのですが、より確実な品質と技術向上を目指して、パッと見た目では気づかない部分で仕様の変更を行っています。
例えば・・・「この部分の革を1ミリ延長する」とか「革の裁つ順序や向きを変更する」とか「糸縫いの順序を変更する」といったような感じです。
これらの仕様変更は当然、型紙の変更を伴い、その都度型紙が更新されていくのですが、お客様には気づかれない僅かな変更なのでほとんど自己満足のようにも感じますが・・セカンド木村的は日々精進しているつもりなのです。
しかし最近、お客様がご覧になっても明らかにそれと分かる仕様の変更を行いました。
それがコレです。↓
↑負い革の尾錠です。騎銃用負い革と99式負い革の尾錠をより実物に近い形状に変更しました。各々角カンの内寸を広く取り、全ての線径をφ5.0に変更しました。これに伴い、若干販売価格を変更しています。
↑99式は以前に比べて厳つい雰囲気に変わりました。
↑ついでにナスカンを付けて遊んでみたり・・・ベルト巾が異なるのですが無理矢理取り付けています(笑)
そしてもう一つ大きな変更が。それが縫い糸です。こちらをご覧ください。↓
左の糸が変更前で右の糸が変更後です。詳細を見ていきましょう。↓
こちら変更前の旧仕様。戦前に製造されたものですが『右 番手16/3』とあります。『右』とは糸の撚り方向を意味し、『16/3』とは「16」番手の太さの糸を「3」本撚っている、という事になります。
次に工房で新しく採用した縫い糸がこちら。↓
↑こちら16/6なので16番手の糸を6本撚っている、という意味になります。
両者比較してみましょう。↑↓
↑お分かりでしょうか?同じ16番手の糸でも、3本撚りよりは6本撚りの方が太くなっています。
では実物はどちらが使用されていたのかというと・・・↑(左が旧仕様16/3で右が新仕様16/6)
↑どうやら16/6を使用しているみたいです。
これは薬盒のみならず帯革にも見られます。↓
いかがです?太い糸(16/6)が使用されているように見えます。他に、剣差しにも・・・↓
↑うーん、やはりこれにも16/6が使用されているように見えます。次に、旧仕様16/3と実物を比較してみました。↓↑左、16/3は右の実物に比べ細く見えます。では16/6で縫ったものと実物を比較してみましょう。↓
やはり16/6が適合のようです。旧16/3と新16/6を各々見てみましょう。↓
↑16/3で縫ったもの。下の画像は16/6で縫ったもの。
次に両者比較してみます。↓
うん、やはり16/6で縫った方が迫力がありますね。
↑前盒も16/3から16/6へ変更しました。他にも・・・
小銃負い革の遊革の縫い糸も16/6に変更。
・・・と、このように糸の変更をしつこいくらいに画像を掲載して説明してきました。
実は何年も前より、旧仕様16/3を使って薬盒を仕立てていたセカンド木村は「糸が細いので実物に比べ迫力に欠ける」という認識はあったのですが、なかなか取り組めず、ある事がきっかけでやっと仕様変更となりました。
ちなみに・・・
↑全ての皮革装備品が16/6で縫われていた訳ではありません。時代を遡れば糸のみではなく、ピッチも異なるのです。セカンド木村の観察が正しければ明治の薬盒類はピッチが4ミリ、縫い糸が16/3辺りを使用しているみたいで、その後大正~昭和初期にかけてピッチは5ミリに変更(か?)、糸は変わらず16/3を使用しているみたいです。縫い糸が16/6に変更になったのはピッチが6ミリなってからなのではないか?と推測します。それも道理でピッチが狭いうちは(4~5ミリ)細い糸でも強度が保てますが、ピッチが広くなると太い16/6に変更しないと縫い合わせ部の強度が保てなくなる可能性があるからです。
・・・ではなぜピッチが6ミリと広くなったのか??この答えは簡単!縫う回数が減って楽だから(^^♪・・・とまあ、これは単なる作り手の感想ですが(笑)
詳しく調べれば官報とかにピッチと糸の変更のお達しが載ってるかもしれませんね。
でくの房@セカンド木村
https://dekunobou2010.militaryblog.jp/e848250.html
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製作日記
Wed, 26 Apr 2017 21:45:51 +0900
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ナスカン完成しました!!
さてさて、セカンド木村から旧軍軽機ファンの皆様へ早春のお便り。
三寒四温の候 皆々様方におかれましては日々益々の御健勝のこととお慶び御申し上げ奉りまする。
・・・イイから早く本題へ入れ!ってな訳で・・・これ↓
上がって来ました、仕上がって来ました。一先ず、第一期分です。
細かく見てみましょう。↓
え?フラッシュが邪魔?ではこちらでは?↓
↑ドーデス?イイ感じでしょう?
↑ナスカンの開閉部もキレイに仕上がっています!
↑後ろから見た姿も美しい・・・
↑実際の開閉はこんな感じです。↓
いかがです?皆さん。良い出来上がりだと思います。
実はこのナスカン、厳密に言いますと、日本製ではありません。
『ナ、ナニ?でくの房は日本製にこだわっているんじゃねーのか?』
まあまあ、落ち着いて聞いて下さい。
以前にも少し触れましたが、これを製作して下さった鋳物業者さんは、89式小銃を製作している豊和工業にも小銃用部品の納品実績がある地元業者さんです。
この鋳物業者さんは社長の意向もあり大陸方面以外(←ここがミソ、笑)の海外に工場を操業しており、今回の企画は偶然、国内の工場ではなく比島工場での製作と相成った次第です。
そんなワケで、企画制作は日本、生産はフィリピン、ということになります。
しかし、ナスカンの本体は比島で生産されたとは言うものの、バネの仕込みと軸棒のカシメ加工と・・・↓
そして何より開閉部の擦り合わせ作業↓
そしてメッキ加工と、これは全て地元岡山の業者さんにお願いして出来上がったものです。ハッキリいいまして、この仕上りはもう「神ってる」領域だと思います。
ところでこのナスカン、ちょっと問題がありまして・・・
工房で製作しています軽機弾倉嚢のこのDカンにはめようと・・・
あれ?少し引っ掛かりがあるのです。
まあ、入らないワケでは無いのですが、ちょっと角度が必要だったりと、個体差があります。
しかしもっと面白いのはこの実物の組み合わせ↓
実物ナスカンを実物弾倉嚢のDカンに引っ掛けようとすると・・・↓
は、入んねえ~!!↓
何という事だ!実物でさえこの有様・・・。
鋳物業者さんは3Dスキャナで寸分違わず寸法を出してくれたのは良かったのですが、完コピしてしまったが故に、Dカンが入りにくいという事態に・・・。
しかし、その後にバネ業者さんが調整をしてくれて、何とかDカンが通るようには仕上げてくださいました。ヨカッタ。
なので・・・
KTW製のこの部分には・・・↑
余裕で入ります!もちろん、実物でも試しましたが引っ掛かりもなく入ります。
どちらにしましても、第一期分は軽機負い革用に製作予定でしたので、用途として弾倉嚢のDカンに引っ掛けることは先ず無いかと思います。
しっかし・・・実物のこのナスカン類達は割と寸法がマチマチで品質、仕様が不均一でして。
それはそれで「味がある」と言えばそれまでですが、やはり戦前品を彷彿とさせる一品ではありますね。
この実物ナスカンと綾紐テープに関するレポートはまた後日UPします。
軽機負い革の製作販売開始は・・・あと1、2週間ほどお待ちください。ちょっとまだ整っていない部分がありまして。
そのうち、ブログ上にて正式に商品ページとしてUPします。価格は¥17800です。
でくの房@セカンド木村
https://dekunobou2010.militaryblog.jp/e836407.html
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製作日記
Fri, 03 Mar 2017 19:24:00 +0900
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軽機負い革の試作2
「軽機負い革の試作」の続きです。
↑ベルトの下ごしらえが終わったので、塗装作業に入ります。いつもは水性染料を使用していますが、今回はアルコール染料で調合し、やや濃くしたものを使用します。
↑先ずは遊革を塗ります。
↑遊革は塗装後、柔らかいうちに型出しします。
↑続いてベルト本体を塗装します。
↑塗装作業の第1段階が完了。
↑次に遊革をボンドで貼り合わせます。
↑こんな感じ。
↑続いて、ベルト本体の床面仕上げをします。塗装作業第2段階。
↑塗装後、ヘラで押さえつけ、ウエス等で磨き上げます。左が未処理で右が処理済みのもの。明らかに仕上げの違いが分かるかと思います。
↑続いて、穴開け作業を行います。
↑塗装前にケガいた場所を狙って、ポンチで穴を開けます。
↑つづみボタンを装着する穴には切込みが必要ですので、このような刃を使用します。
↑穴開け作業完了。
↑塗装作業第3段階、ペースト塗料で色に渋みと奥行き、そしてツヤを出します。
↑上が未処理で下がペースト塗装済み。明らかに美しさが違うと思います。
↑ペースト染料は遊革にも塗ります。
↑「細かすぎて伝わらない」部分。遊革のコバ面は・・・
↑ペースト染料を塗り・・・
↑ウエスで磨き上げます。
↑するとこの仕上り。美しいでしょう?
↑左がコバを磨いたものと、右が未処理のもの。仕上がりの違いがハッキリと出ますね。
↑続きまして、オイルを塗布します。このオイル塗布は革の保護とツヤ出し、色落ち防止を目的としています。
↑次に、遊革に縫い穴を開けます。穴開け前に、このような工具で印をつけます。
↑このように革に押し当て、穴開け部の目印にします。
↑先ほど付けた印を基準に菱目打ちで穴を開けます。
↑穴開け作業完了。
↑遊革を縫います。
↑糸は当時の皮革用糸を使用します。
↑縫い合わせ完了。
↑縫った直後は糸が盛り上がっているので、工具の柄の部分を利用して糸を押し込みます。
↑続いて、尾錠を縫い付けます。尾錠の向きに注意します。
↑尾錠を縫い付けます。
↑尾錠の縫い付け完了。
↑次に試作でも行ったベルト中央部の縫い作業を行います。
↑完了。
↑これで全ての作業は完了しました。
↑実物と比較してみましょう。上が実物で下が今回の試作品です。↓
↑寸分違わずの仕上りになりました。
↑ナスカンを装着してみましょう。
↑完成です。
↑クローズアップ画像をどうぞ。↓
↑正真正銘、鉄製ナスカンを用いた軽機用負い革の試作第一号の完成です。!!
↑では早速軽機本体に装着してみましょう。
↑こっちへ・・・
↑カチャリ。
↑で、床尾側にもカチャリ。
↑うーん、素晴らしい、感無量です。
↑ナスカン部もクローズアップ。
↑ベルト長を一番長くするとこんなに長くなります。安定した肩掛け射撃が可能になります。
↑ベルト長を一番長くしたら、遊革同士の間隔は必然狭くなります。
↑最後にもう一本作りました。こちら色は「茶」で鉄製尾錠を使用しています。
さて、試作報告はここまでになります。最後までお読みくださいまして有難うございました。
で、肝心の販売時期ですが、2017年の春頃には・・・と考えています。価格は・・・調整中です。いかんせん鉄製ですので相応な価格にはなると思います。熱心な旧軍軽機ファンの皆様、ご覚悟下さいまし~(^^♪
↑負い紐バージョンも作りますよ~!!
でくの房@セカンド木村
https://dekunobou2010.militaryblog.jp/e813439.html
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製作日記
Fri, 18 Nov 2016 13:50:59 +0900
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軽機負い革の試作
↑先日メッキしたナスカンが数個ありますので、早速負い革の試作をしました。今回はそのレポートです。↓
・・・と、その前に、上の画像をご覧ください。この軽機用負い革は、セカンド木村が6、7年前に製作、一部ヤフオクで販売していたものです。
↑それを製作した当時は、実物負い革はおろか、紙資料でさえ手元になかったので資料本より計測しておおよその実寸値を出して製作しました。
↑一方こちら、昨年PKさんからヤフオクで落札した実物です。
↑6、7年前に製作したもの(上)と、実物(下)の両者を並べてみました。
↑実物と比較して穴の数は多いものの(当時敢えて穴の数を増やした気がします)、驚くべきはベルト長と穴の位置、ベルト縫い部はその誤差が僅か数センチであるということ!うん、オレはやっぱり天才かも!?実物や紙資料が手元に無かったにもかかわらず、よくぞここまで正確に切り出したもんだ!!
・・・さて自惚れはここまでにして、実寸を出して行きましょう。
↑先ずは、「九六軽機取扱法」より属品の付図を拡大コピーします。これと実物との寸法を比較して、型紙を製作します。
↑実物の計測。これがとっても重要です。
↑寸法計測後は型紙を製作します。型紙製作は慎重さと集中力を要します。マズイ型紙を作るとその後の製品作りに影響します。
↑型紙製作完了です。ベルト類は比較的簡単なのですが、今回のものは3時間以上掛かりました。
↑ところで、軽機負い革はベルトの中央部で2本のものを1本に縫い付けられており、その縫い付け部というのが矢印で示した部分です。ちょっと分かりにくいので赤線で再現してみました。お互いの革を斜めに漉いた状態で重なり合い、縫い付けられている、ということになります。
↑ちなみに実物は?・・・あれ?漉き加工が無い・・。
↑当然、セカンド木村が以前に作ったものにも、無い。
↑新製品はこの部分もしっかりと再現します。とりあえずこの部分のみ試作として端材を用い、革漉き器でベルトを斜めにカットします。
↑こんな感じになりました。
↑斜め漉きされたベルト同士を上下から・・・
↑重ね合わせます。
↑目打ちで穴開け後、麻糸で縫います。
↑こんな感じになりました。
↑いい感じに仕上がりました。
縫い合わせ部の試作加工が上手くいったので、本格製作に入ります。
↑ベルト本体は予めカッティングしておいたものを用意します。
↑寸法通りにカットします。
↑型紙をベルトに押し当てて、ケガいていきます。
↑ベルトの角は面取りします。
↑その後、ヘリ落としでエッジをカットします。
軽機負い革の試作2へ続く。
https://dekunobou2010.militaryblog.jp/e812716.html
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製作日記
Tue, 15 Nov 2016 13:35:29 +0900
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ナスカンの続報2
さて、久々にまともな更新です。
お待たせしました、ナスカンの続報です。
まずは画像をどうぞ。
↑改正試作品が届いた翌日、早速地元業者さんにメッキ加工してもらいました。このバネ圧力も実物に近いものに合わせています(いちいち芸が細かいでしょ)。
と、今回の報告はここまで・・・・。ところでナスカンは鋳物業者さんが本体を作ります。バネ業者さんが内蔵スプリングとその組み込み加工をして下さいました。そして最後に残るは、メッキ業者さんの選定でした。
「どこかにこのようなものをメッキ加工して下さる業者さんはいないかな~、そろそろ業者さんを探さなきゃな」
と、ぼんやり考えていたと時のこと。
以前にも紹介しました木口君は、戦争体験をされた方々に多くの取材を行っていまして、某日、彼と二人で岡山市内在住のS様宅へ取材に行った時のことでした。
S様は今年96歳になられる非常に元気明朗な御方。編纂されたアルバムをめくりながら兵営内での生活、訓練、そして中国戦線での貴重なお話を聞かせていただきました。
十一年式軽機を構えるS様。撮影場所は岡山県最北部にある蒜山(ひるぜん)高原です。この写真は地元新聞の終戦70周年企画でも掲載されました。
2度目にS様宅へ訪問、お話をお聞きしていたところ、終戦後の話になりました。
「・・・メッキ屋を始めてね、自転車のライトの部品を1個メッキしただけで〇百円、ちょっとこうやっただけで、こんなに儲かる・・・」
「メッキ屋さん?あ、あのう、そのメッキ屋さんは今でも経営されているんでしょうか?」
「うん、私はねえ、そこの会長」
「え!?か、会長さんですか!あ、あの、僕のような者でもメッキのお願いができますか?」(←言わずもがな、ナスカンのことである)
「うん、何個?これ名刺ね。本当は個人の依頼は受けないんだけどね」
とまあ、こんな具合にメッキ業者さんとご縁が出来てしまい、黒メッキされたのが上のナスカンの画像なのである。
しかし、軽機射手であったS様が戦後70年を経て、どこぞの阿保ぼんが「ナスカンのメッキ加工をしてくれ」と、よもややって来ようとは夢にも思わなかったでしょう。
十一年式軽機はナスカンの形状が違うだろ、なんて無粋なツッコミは無しね(笑)
では次回は「軽機負い革」の製作報告をします。乞うご期待。
でくの房@セカンド木村
https://dekunobou2010.militaryblog.jp/e811991.html
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製作日記
Fri, 11 Nov 2016 22:27:20 +0900
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ナスカンの続報
ジメジメの梅雨真っ只中ですねー。いかがお過ごしですか?
さてさて、お待たせをしております。ナスカンの試作品が上がって来ました。まずは画像を・・・
先に断っときますがまだ手直しが必要なのでこれで完成ではありません(メッキもまだだし)。
左3個が今回の試作品です。
実物と並べてみましょう。左が試作で右が実物です。どうです?いい感じでしょう??
・・・以前、平和堂さんが、古鷹屋さんやでくの房を指して『細かすぎて伝わらない』と表現されておりましたが、今回その『細かすぎて伝わらない』部分をご紹介しましょう。
こちら実物ナスカンはこのフックとナスカン本体のこの接合部が鋭利に仕上げられております。これはどの実物ナスカンにもほぼ均一に見られます。
しかし、鋳物屋さんから仕上がった製品というのは・・
このように、先端部が丸く、面取りされたように仕上がってしまうのです。これは、鋳型のこの狭い部分にまで湯がまわりきらないのと、ブラスト処理時にどうしてもRが出てしまうので、鋳物屋さん的にはここまでが限界なのです・・・そこで・・・
設計変更でこの部分の長さを敢えて数ミリ延長して・・・
延長部をフライスでカット、鋭利に仕上げることが出来ました!!
どうです?3個とも鋭利に美しく仕上げられています。
この僅かなこだわりのためにセカンド木村は業者さんと数回に渡り交渉、追加投資も余儀なくされましたが、業者さんへ丸投げという形態はとりたくなかったので、『細かすぎて伝わらない』部分にこだわってみました。
ただ、要調整事項がありまして、このようにφ5.0のDカンへの通りが悪く、また鋳型の修正が必要です。
早く完成させたいですね。
でくの房@セカンド木村
https://dekunobou2010.militaryblog.jp/e774909.html
https://dekunobou2010.militaryblog.jp/e774909.html
製作日記
Wed, 15 Jun 2016 14:24:39 +0900
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旧軍ナスカン届く
さて、Vショー参加告知に続きまして、是非旧軍装備ファンの皆さまにご覧いただきたいのが、こ・ち・ら・・・
ジャ、ジャーン!!とうとう出ました鉄製ナスカン!!・・・試作品ですけど・・。
言うまでもなく左が試作品で右が実物になります。φ3の鉄丸棒が手元に無いので、真鍮棒を突っ込んでいます。
ちょっと細かく見てみましょう。
↑ナスカン本体部とフック部の詳細です。
サイドビュー。
丸棒が貫通するこの出っ張り部分はメッキ仕上げ前に加工予定です。
さていかがでしたでしょうか?試作品を見たときセカンド木村も「オオー!」と心の中で雄たけびをあげてしまいました。
・・・ただ、難点を一つ上げると・・・奇麗すぎる・・・ということかな?
当時のようなあのゴツゴツ感を敢えて再現することはちょっと無理なようでして。
ま、そりゃそうですよね~。当時は職人さんが1個1個すり合わせ作業で仕上げていましたが、現在の工業製品は一定以上の画一化された品質を保っていますので、そこは無理ってものです・・・そういった意味ではシナ製はそれはそれで良いのかも??
ちなみにですが、これは全くの偶然ですがこのナスカンを試作してくださった業者さんは89式小銃の部品も製作しているそうです。んー、感慨深いです。過去に幾度もナスカンづくりは計画頓挫しましたが、それはやはり『こちらの業者さんにしなさい』という神か英霊からの指令だったのかもしれません、ね。
でくの房@セカンド木村
https://dekunobou2010.militaryblog.jp/e716256.html
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製作日記
Wed, 02 Dec 2015 15:04:29 +0900
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明治十九年式軍衣袴 量産化決定か??
皆さんこんにちは、でくの房@セカンド木村です。
さて、数か月前より明治十九年式軍衣袴の量産化計画を進めておりました。
好評をいただいております明十九年式ですが、一番の難点は納期が極端に遅いことでした。ですが今回量産化が実現できれば比較的早い納品が可能になるのと、僅かですがテーラーメイド旧価格よりもお値打ち価格となります。
サンプルが上がって来ましたので画像を公開いたします!!こちらです↓
いかがです?この出来。量産品とは思えない仕上りになっていると思います。
襟部をアップしてみましょう。うん、なかなかの出来だと思います。実はこれ、襟芯をテキトーな代用品を使用したのでやや高さが足りていません。量産品は最低でもこれ以上のクオリティーを出します。
剣吊り部も問題ありません。位置が少し高すぎましたが・・。
内装もいい出来です。テーラーメイドと遜色ありません。
続いてズボンですが・・
こちらもテーラーメイドと比較して遜色ありませんね。
後部の尾錠部もしっかりと再現できています。
いかがでしたでしょうか?
もちろん、量産品といえど袖章(兵~下士官)と肩章の連帯番号は選択できます!
気になる価格は??
上下セットで¥38000の予定です。もちろん袖章、肩章付です。
え?高いじゃないかですって?ナニをいいますお兄ぃーさん、これ国産品ですよ。もちろん生地も。
実はこれを仕立ててくださったのはセカンド木村の地元倉敷の某業者さんで、消防や警察など公官庁へ被覆類を収めている業者さんなんです。だからこのハイクオリティーが可能となったんですね。
さらに付け加えますと、紺ウール生地ですが、これは北陸地方の業者さんが織った生地を関西地方の業者さんが縮絨、という大変手の込んだもので、さらにさらに、緋色の生地や裏地、金具やボタンに至るまで徹底的に日本製を使用しております(もちろん今までもそうでしたが)。もうここまで来たら支那製品への対抗意識ムキ出しですな(笑。
内需拡大のためにも「國産品をつかいませう」
・・・まあ、そんなことばかりも言ってはおられないのですが・・・。
あ、ちなみにサイズは5、4、3号(S、M、L)を予定しています。
順調に計画が進めば7月か8月には販売できるかと思います。
今回、量産化が決定しましたらテーラーメイド品の価格も変更します。少々お高くなりましたが、正直、今までがちょっと安すぎた気もします。工房が健全経営を維持して新商品や良品質商品を販売し続けるためにも、どうぞご理解いただけたらと思います。
みなさん、どうぞよろしくお願いします~!!
でくの房@セカンド木村
https://dekunobou2010.militaryblog.jp/e666368.html
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製作日記
Fri, 05 Jun 2015 22:23:00 +0900
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革脚絆の修理 その2
その1の続きです。
さてお次は、尾錠を通すための穴を開けたいのですが・・・
所持している「尾錠抜き」と呼ばれる工具ではサイズが大きすぎるので・・・
ポンチと平目打ちを用意します。
ポンチで左右2か所に穴を開け・・・
平目打ちをこのように打ちつけます。
最後にカットされた部分を抜き取ります。
こんな感じに尾錠が収まるわけです。
全部で6個。なかなか手間が要ります。
お次は脚絆本体の汚れを落としていきます。
汚れ落としのクリームを塗り、ウェスで拭いていきます。ベルトが縫付けられていた部分は特に汚れが残っています。
汚れ落とし完了。
さて、いよいよ塗装作業です。今回は色が黒なのでアルコール染料を使用します。
いつもは水性染料を使用しているのですが、単一色の場合、発色の良いアルコール染料を使用します。
脚絆本体、ベルト類全てに染色していきます。
黒塗装完了。
ベルトの床面は専用塗料で更に仕上げ塗装していきます。
床面仕上げ完了。左が未塗装で、右が塗装完了のもの。明らかに仕上がり具合がグンと良くなっています。
基本的に調節側のベルト部の床面は仕上げ処理を施します。仕上がりの綺麗さや手触りはもとより、耐久性も向上すると言われています。これはレザークラフトでは基本中の基本的作業なので、手を抜かずしっかりと行っていきます。
塗装完了後は、つや出し&色落ち防止の塗料を塗ります。
つや出し作業完了。続いてさらに強力な色落ち防止塗料を塗ったのですが、画像が多くなりすぎるのでカットします。
ベルト部に穴を開けていきます。
調節用の穴が開くと、それっぽく見えてくるので不思議です。
続いて、各部糸通しの穴を開けていきます。
縫い作業開始。あとは、ダイジェストでお楽しみください・・あーしんど・・。
一足分の縫付完了。
もう一足分も同じように縫い付けて(←何と言う手抜きブログ!)完成したのはこれ!!↓
まるで新品のように生まれかわりました・・・と、思っていただけると嬉しいのですが。
折角なんでビフォー・アフターやりましょう!!
さて、今回の修理レポートは以上となります。最後までご覧くださいました皆様ありがとうございました。
でくの房@セカンド木村
https://dekunobou2010.militaryblog.jp/e468119.html
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製作日記
Fri, 30 Aug 2013 16:57:30 +0900
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革脚絆の修理
久々に工房のネタです。
今回は革脚絆ベルト部の修理と、脚絆本体の再塗装のご依頼を受けました。
こちらが送られてきたお直し品。黒の塗装がはげています。
ベルト部がちぎれており、尾錠も外れそうになるくらいに皮革部が傷んでいます。
早速、ベルト部を外していきます。糸切りばさみで糸をほどき・・・
ベルト、尾錠、遊革を分解していきます。
ここで注目すべきは尾錠を留めていた革の床面です。漉き加工がきちんと行われています。
革の厚みを薄く削り取る(漉く)ことによって、ベルトが重なり合った部分が分厚くなるのを防ぐための加工です。旧軍の遊革や帯革の折り返し部によく見られる加工です。
ベルト部を全て切り離した状態です。(片足分)
各部を測定後、ノートにメモしておきます。
各部測定後、革の選定に入ります。ベルト部は厚さ2.5ミリのものを使用することにしました。
ベルトカッターで15ミリの巾でカットしていきます。
ベルト部の切り出し完了。このベルトカッター簡単に任意の巾で切り出し可能なのは重宝しています。
遊革は厚さ1ミリの革を使用します。厚みがないため、ベルトカッターが使用できないので革包丁で真っ直ぐに切り出しています。
切り出し完了。これを遊革に使用します。
切り出したベルトは、各寸法にカットしていきます。
各寸法にカットされたベルト群。全部で18パーツに及びます。
ベルトは先端を加工し・・・
ヘリ落としでエッジ部を加工していきます。
全パーツこのような形になりました。
ベルトはこのように寸分違わぬ長さに切り出されているのですが・・・
先に説明した漉き加工を施さねばなりません。(画像のものは既に漉き加工をした後です。)
床面を上にして革包丁で削って行きます。恐らくこの加工が一番刃を傷めている気がします・・。
全ての漉き加工が終了した状態。結構大変です。
革脚絆の修理 その2へつづく
https://dekunobou2010.militaryblog.jp/e468098.html
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製作日記
Fri, 30 Aug 2013 15:51:50 +0900
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14年式拳銃嚢 紙箱収納部の改修 その3
その2の続きです。
紙箱収納部は上手くいったので、次は撃針収納部の革を縫いつけます。
縫付完了。
早速、撃針を挿入してみます。
程良く入りました。指先の力だけで抜くことも可能になりました。
最後にフタを縫いつけます。
縫い付け完了。
紙箱を挿入して・・・
ループをくぐらせフタをしてみます。
先端に、留めボタンの穴を開けます。この穴も旧軍タイプに似せるため、しずく型を使用します。
上手く入るかな?
綺麗に収まりました。ヨカッタ・・・。少し余裕がある感じに仕上がりました。
つまり、これがココ(拳銃嚢本体)に縫われるワケで。
今縫ったばかりのものを早々に外していきます。んー、何かもったいない?
いまから左の仮台座の縫い穴を、右、拳銃嚢本体に開けていきます。
穴あけ用の台座を拳銃嚢に合わせて・・・
縫い線を軽くケガいておきます。
新しい縫い穴を開けていきます。もう後戻りはできません。
穴あけ完了。青線が既存の穴で、白線が新規に開けたものです。既存の穴は下へ行くほどすぼまっているのが分かります。紙箱が入らないわけです(笑
では、拳銃嚢本体に紙箱収納部の革を縫いつけていきます。この部分から縫っていきます。
縫い終わったら都度、表面を確認してみます・・・
若干既存の縫い穴が見えてしまいます。これはもう仕方ないですね。本当は既存の縫い穴を覆い隠したかったのですが、これ以上収納部を下方へずらすと、クラムシェル型のフタと干渉して、フタが閉まらなくなる恐れがありますので、今回は目一杯上方へ縫いつけることにしました。その結果、既存の穴が見えてしまった、という感じです。
続いて側面を縫います。
完了。
次は反対側。
こちらも完了。
作業はどんどん進みます。予備撃針収納部を縫います。
完了。
お次はフタ。
フタも縫付完了。
早速、紙箱を入れてコンディションの確認。
フタをして・・・
ボタンに留めます。
更に拳銃嚢本体のフタを閉めてみます・・・やはり当初の予想通り若干、干渉してしまいややフタが浮き気味な感じがします。しかし目一杯紙箱収納部を上方へずらして縫いつけていますので、これ以上の修正は無理です。
そして、最後に各部を縫いつけていきます。
拳銃嚢の先端の丸い部分も縫います。これは駒縫いと呼ばれています。
最後にこの部分を縫い合わせれば完成。
無事縫い終えたら・・・
最後に糸を切り全作業終了です。
やっぱり、やや浮いた感じ・・・。
正面から見ると、わりと普通に見えます(←無理から?)
最後に実物と比較してみました。実物、レプリカ共に紙箱を収納した状態です。
こうやってみれば、特に遜色なく見えます・・・よね??(←無理から!!)
さて、編集下手でとっても長くなりましたが、これで「14年式拳銃嚢 紙箱収納部の改修」の紹介を終了します。
今回も最後まで読んで下さいました皆さまに厚く御礼申し上げます。
しかし、作業もさることながらその最中に分かりやすく写真を撮るのって難しいですね。デジカメのボタンは右手で操作するので、必然左手で作業をしている体で写真を写します。くだらない情報ですがセカンド木村は左利きではありません。それっぽい写真を撮るため止む無くそのようにしているだけなんです。
でくの房@セカンド木村
追加画像↓
https://dekunobou2010.militaryblog.jp/e429339.html
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製作日記
Thu, 25 Apr 2013 22:49:32 +0900