CATEGORY:資料品の紹介

2012年10月28日

いわゆる『負革』につきまして

日本軍の小銃等に装着されている『負革』。

「オイカワ」と発音したり、「フカク」、ときには「オイヒモ」と呼んでみたりと様々ですが、私は知り合いの影響で「フカク」と発音しています。ですので我が工房の販売品にも「〇〇小銃用負革」とか「〇〇騎兵銃用負革」と明記しています。正しい読み方を知っているかたが居られましたら教えて下さい(笑)。

さて、本題に入りますが、先日「騎兵銃用負革」とされるものを入手しました。↓
いわゆる『負革』につきまして
状態も非常に良し、金具類は鉄製で、遊革(←これも「ユウカク」?、「アソビガワ」?)もちゃんと揃っているし、嬉しくていじり倒していると・・・、おや?これは・・・↓
いわゆる『負革』につきまして
遊革の幅が違うではありませんか!そうこれは私が(時々)製作販売している99式小銃用負革と同じ仕様ではありませんか!!

つまり工房製の99式負革で説明しますと、
いわゆる『負革』につきまして
遊革の幅が「広い」方と「狭い」方が上図のように装着されるのと同様に、
いわゆる『負革』につきまして
いわゆる『負革』につきまして
騎兵銃用負革も幅の広い遊革が銃口側、狭い方が床尾板側にくるようになっています。

さらによく観察してみると・・・
いわゆる『負革』につきまして
遊革が装着されていた「跡」が伺えます。
いわゆる『負革』につきまして
さらに遊革の糸の縫い目が負革本体に「跡」を残しています。光の加減でステッチが見えます。

以上の事から判断するに、銃への負革装着時には遊革は尾錠側へとしっかり押し込むことが指示されていたのではないでしょうか?
だから悪い例としてはこんなのや(99式)↓
いわゆる『負革』につきまして
こんなのはダメで(38式)↓
いわゆる『負革』につきまして
良い例に直すと↓
いわゆる『負革』につきまして
とか、
いわゆる『負革』につきまして
と、なるはずです。
38式や99式に装着されていた負革のオリジナルを確認するとやはり↓
いわゆる『負革』につきまして
このように尾錠側へ押し込まれていた跡が見えます。

旧軍に於いては編上靴の靴紐や軍袴の腰紐、鉄帽アゴ紐、背嚢の紐等を「ぶらぶらさせるな」といった指示があったようですが、小銃用負革にもそれと同じような事が言われていたのでしょうか?

次に2式テラ用とされる負革を紹介します。
いわゆる『負革』につきまして
こちらも遊革の幅が明らかに違います。
いわゆる『負革』につきまして
幅が広い方の遊革は縫い目のステッチからして補修品のようですが、意識的に幅広く作ったような感があります。

最後に並べてみました。
いわゆる『負革』につきまして
①騎兵銃用負革の遊革「狭」
②  〃    〃     「広」
③38式(99式)小銃用負革の遊革
④2式テラ負革の遊革「広」
⑤  〃   〃     「狭」

いやー、しかし負革一つとってみても奥が深いですねえ。どう考えたって遊革ごときは同一規格で大量に作ればいいものを、わざわざこのような作りにし、兵士への使い易さへ配慮した設計者、先輩方の芸の細かさに頭が下がる思いです。








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Posted by でくの房  at 00:20 │Comments(0)資料品の紹介

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