CATEGORY:製作日記
2018年05月04日
職人の心意気
さてさて、でくの房で取り扱いさせていただいております徽章類ですが、先日、この商品を製作されていますO様よりお手紙と商品サンプルを送って下さいました。こちらです↓
↑こちらの画像をご覧になっただけでも正に「驚愕」「感服」モノですが、お手紙を読み進めていきますと、実物と複製との差異を敢えて示されていることが記されていました。
こちらをご覧ください。↓
①と②の両者、一見同じものの様に見えますが、肩章の芯となる生地の厚さに違いがあります。表記通り、①は芯の生地が3枚重ね、②は芯が2枚重ね、となっています。詳しく見ていきましょう。↓
↑こちらが麻芯です。これは麻布に柿渋を浸透させた「渋引き麻布芯」です。表記通り、左①が3枚重ね、右②が2枚重ねとなります。
当時の仕様書には
『渋引麻布三枚ヲ重ネ 縦ニ等距離ニ五条ノ密針縫ヲ為シ・・・』
とあります。つまり、麻芯は3枚重ねにしてその芯はミシンで5条縫いにせよ、ということなのですが、上の麻芯の画像は敢えて4条縫いとなっています。これは、星章縫いつけ時に縫い糸を損傷してしまうことを避けるための処置、としています。
また、麻芯も本来なら3枚重ねのところを、今後は2枚重ねで製作する旨が記されていました(厚紙は廃止)。これは3枚重ねですと肩章が分厚くなりすぎるのと、実物でも2枚重ねのものも存在することからこの様になりました。
こちらをご覧ください。↓
↑こちら全て麻芯3枚重ねのものです。左よりその麻芯、表布で内容(赤タン)、裏面(一等兵)、表面(一等兵)となります。
↑一方こちら麻芯2枚重ねのものです。左よりその麻芯、表布で内容(赤タン)、裏面(一等兵)、表面(一等兵)となります。
両者とも見た目では分かりませんが、「麻芯1枚の差」になります。
はかりに載せてみると・・・↓
↑3枚重ねのものは8グラム。
↑2枚重ねのものは7グラム、と表示されました。
3枚重ね8グラムは、表示が「8」と「7」を行ったり来たりだったので両者の差は1グラム以下と考えます。
ハッキリ言ってこの差は製作者様以外には分からないこだわりでしょう。
また、表布の縫製にも実物との差があることが記されていました。
↑こちらが実物通りの縫い方で・・・
↑こちらがO様の縫い方です。
この縫い方の差の発生は、表布の生地の薄さに原因があると言います。つまり、現代の生地では繊維の目が甘く、強度的に難ありと判断されたため、としています。要するにほころびを防止するための苦肉の策なのです。
さてこのように、実物との製作や仕様に差があること紹介してまいりましたが、この部分を敢えて明記するあたり、むしろ職人としての心意気が伺えるというものではないでしょうか?
O様が誠実に心を込めて製作される徽章類には一切の妥協が無く、毎度送付されてくるこれらの商品を手にするとセカンド木村の頭にはいつも「感服」、この二文字が浮かびあがるのです。そして革工房の端くれとして日々の製作に反省を促されるのであります。
でくの房@セカンド木村
↑こちらの画像をご覧になっただけでも正に「驚愕」「感服」モノですが、お手紙を読み進めていきますと、実物と複製との差異を敢えて示されていることが記されていました。
こちらをご覧ください。↓
①と②の両者、一見同じものの様に見えますが、肩章の芯となる生地の厚さに違いがあります。表記通り、①は芯の生地が3枚重ね、②は芯が2枚重ね、となっています。詳しく見ていきましょう。↓
↑こちらが麻芯です。これは麻布に柿渋を浸透させた「渋引き麻布芯」です。表記通り、左①が3枚重ね、右②が2枚重ねとなります。
当時の仕様書には
『渋引麻布三枚ヲ重ネ 縦ニ等距離ニ五条ノ密針縫ヲ為シ・・・』
とあります。つまり、麻芯は3枚重ねにしてその芯はミシンで5条縫いにせよ、ということなのですが、上の麻芯の画像は敢えて4条縫いとなっています。これは、星章縫いつけ時に縫い糸を損傷してしまうことを避けるための処置、としています。
また、麻芯も本来なら3枚重ねのところを、今後は2枚重ねで製作する旨が記されていました(厚紙は廃止)。これは3枚重ねですと肩章が分厚くなりすぎるのと、実物でも2枚重ねのものも存在することからこの様になりました。
こちらをご覧ください。↓
↑こちら全て麻芯3枚重ねのものです。左よりその麻芯、表布で内容(赤タン)、裏面(一等兵)、表面(一等兵)となります。
↑一方こちら麻芯2枚重ねのものです。左よりその麻芯、表布で内容(赤タン)、裏面(一等兵)、表面(一等兵)となります。
両者とも見た目では分かりませんが、「麻芯1枚の差」になります。
はかりに載せてみると・・・↓
↑3枚重ねのものは8グラム。
↑2枚重ねのものは7グラム、と表示されました。
3枚重ね8グラムは、表示が「8」と「7」を行ったり来たりだったので両者の差は1グラム以下と考えます。
ハッキリ言ってこの差は製作者様以外には分からないこだわりでしょう。
また、表布の縫製にも実物との差があることが記されていました。
↑こちらが実物通りの縫い方で・・・
↑こちらがO様の縫い方です。
この縫い方の差の発生は、表布の生地の薄さに原因があると言います。つまり、現代の生地では繊維の目が甘く、強度的に難ありと判断されたため、としています。要するにほころびを防止するための苦肉の策なのです。
さてこのように、実物との製作や仕様に差があること紹介してまいりましたが、この部分を敢えて明記するあたり、むしろ職人としての心意気が伺えるというものではないでしょうか?
O様が誠実に心を込めて製作される徽章類には一切の妥協が無く、毎度送付されてくるこれらの商品を手にするとセカンド木村の頭にはいつも「感服」、この二文字が浮かびあがるのです。そして革工房の端くれとして日々の製作に反省を促されるのであります。
でくの房@セカンド木村