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2024年12月18日

検証!村田銃負い革 その1(村田銃識別法①)


皆さんこんにちは!でくの房@セカンド木村です~!!

でくの房が最初に製作を手掛けたのは「30年式小銃負い革」でした。2008年のことです。
以来、スリングだけでも騎銃、99式、二式テラ、96/99軽機、百短、と革だけでなく布ベルトにまで範囲を広げて製作販売してまいりました。30年式の負い革は今でも大人気の商品です。

手前味噌ですが、これだけのバリエーションを揃えて製作しているのはセカンド木村くらいだと自負しております。もちろん、支持して下さいましたお客様のお陰も多分にございます。

しかしそれは個人工房だから可能な話でありまして、商業ベースで考えると、勢いや情熱だけではとてもやってられない部分もあるかと思います。

さて最近、種類の異なる3本の実物の村田銃負い革が、偶然にもでくの房の元へ集結するという機会が得られました。

皆さんご存知の通り村田小銃(歩兵銃)には

・十三年式
・十八年式
・二十二年式

の3種類が存在します。

たまさか運良く『村田銃負い革』を入手したとしても「はて?これはどの村田銃(専用)の物か?」と疑問が湧いたりします。が、しかし村田銃の負い革に関しては実際のところ詳細不明な部分が多かったり、たとえ実物スリングを入手しようとも、状態が悪くて小銃への装着が不可能であったり、またそもそも村田銃自体が簡単に手に入るものではない代物なので検証のしようが無い、というのが実際のところではないでしょうか?

今回の記事では暫定的ではありますが、一定の結論を出してみたいと思います。

つまり、十三年式、十八年式、二十二年式、には各々専用の負い革が存在するという事です。

少々話しがそれますが、セカンド木村の個人的意見として、小銃の『負い革』研究は割とないがしろにされてきた側面があるような気がします。
確かに、メインは「銃」であり、スリングはあくまでその属品です。歩兵は小銃で戦うのであり、スリングで相手の喉を締め上げて敵兵を倒すわけではありません。スリングはあくまでアクセサリーであり、メインとはなり得ない・・・・そういう理由からか、米国コレクターが所持する日本軍の小銃に装着されているスリングのいい加減な事といったらない。中には「これはちょっと誤解を招くのでは?」と思われるテキトースリングや、テキトー装着方が散見されます。

「精巧複製」を旨とし、その複製作業や研究を続けているセカンド木村としては非常に残念に思う瞬間です。折角こんなに素晴らしいコレクションを揃えて(しかも撃てる!)いて、なぜスリングはテキトーな扱いなのか?と。せめて、スリングはでくの房製を使って欲しい!と(笑)。

銃もスリングも日本よりは揃っているはずの米国での正しいスリングの検証を今後期待したいところではあります。


さて本題に入ります・・・・と、ここで・・・・

スリング検証の前に皆さん、村田十三年式と十八年式、二十二年式の識別が出来ますでしょうか?

折角なのでここで、各種村田銃の識別方法を紹介したいと思います(主に十三年式と十八年式)。

村田銃の識別法・・・その1

検証!村田銃負い革 その1(村田銃識別法①)
↑堂々揃いました村田銃と各スリング類です!上から十三年、十八年、二十二年となります。
検証!村田銃負い革 その1(村田銃識別法①)
↑はい、これが村田ブラザーズです。分かりましたね?覚えましたね?
いえいえ、そうは簡単には覚えられないハズ・・・。詳細見て行きましょう!↓
検証!村田銃負い革 その1(村田銃識別法①)
↑一番下の二十二年式はチューブマガジンなので、銃床がゴツく十三年、十八年との区別は容易だと思います。
銃口側から銃床へ見て行きましょう。↓
検証!村田銃負い革 その1(村田銃識別法①)
検証!村田銃負い革 その1(村田銃識別法①)
いかがでしょうか?
ここで、区別のつきやすい二十二年式を見てみましょう。↓
検証!村田銃負い革 その1(村田銃識別法①)
検証!村田銃負い革 その1(村田銃識別法①)
↑二十二年式は銃床の中央辺りにチェッカリングが入っていますし、何よりそのゴツさから他の村田銃との識別は一目瞭然かと思います。

問題は・・・
検証!村田銃負い革 その1(村田銃識別法①)
↑この両者でありまして、どっちが十三年式でどっちが十八年式か分から~ん!て、方が多いかと思います。
詳細見て行きましょう!!

先ず、外観でパッと見た目で判別すべき箇所としては↓
検証!村田銃負い革 その1(村田銃識別法①)
↑ここです。上の十三年式には「遊底駐坐(ゆうていちゅうざ)」と呼ばれるパーツ(タング)がマイナスネジでボルト(円筒)に組み込まれています。
一方、下の十八年式にはこのパーツはボルト外部に存在しません。

十三年式のボルト外部に取り付けられているこの「タング」はボルトストップの役割を果たします。詳細見て行きましょう。↓
検証!村田銃負い革 その1(村田銃識別法①)
↑十三年式のボルトのUP図。タングが組み込まれた様子が分かるかと思います。
検証!村田銃負い革 その1(村田銃識別法①)
↑ボルトハンドル(槓桿:こうかん)を回転させると、タングが指で示した切り欠き部に来ます。
検証!村田銃負い革 その1(村田銃識別法①)
↑次にボルトを引くとタングはレシーバー(尾筒:びとう)の後端、切り欠きの終焉部にぶつかり、ボルトストップの機能を果たす、という仕組みになっています。
もう少し詳細を見てみましょう。
検証!村田銃負い革 その1(村田銃識別法①)
↑何年か前に、偶然にもこのタングを単体で入手していました。
検証!村田銃負い革 その1(村田銃識別法①)
↑ボルトを起こすとこのようにタングはレシーバーの切り欠き部に来ます。そしてボルトを引くと・・・↓
検証!村田銃負い革 その1(村田銃識別法①)

検証!村田銃負い革 その1(村田銃識別法①)
↑レシーバーの後端、切り欠きの終焉部にぶつかり、ボルトストップの役割を果たします。

お分かりになりましたでしょうか?

ではこの部分、十八年式はどうなっているのかといいますと↓
検証!村田銃負い革 その1(村田銃識別法①)
↑タングが無い。
検証!村田銃負い革 その1(村田銃識別法①)
↑当然切り欠きも無い。↓
検証!村田銃負い革 その1(村田銃識別法①)

おさらい、もう一回↓
検証!村田銃負い革 その1(村田銃識別法①)
↑十三年式にはタングと切り欠きが有ります。しかし・・・↓
検証!村田銃負い革 その1(村田銃識別法①)
↑十八年式にはタングも無切り欠きも有りません。

皆さん、お分かりになりましたでしょうか?

では十八年式のボルトストップ機構はどうなっているのかといいますと・・・↓
検証!村田銃負い革 その1(村田銃識別法①)
↑このように、だるま型の金具に二本のマイナスネジを打ち込んでいます。このマイナスネジ(駐栓)をボルト(円筒)と干渉させてボルトストップとさせていました。

ということは・・・
検証!村田銃負い革 その1(村田銃識別法①)
十三年式にはこの二本のマイナスネジは存在せず、十八年式には存在する、ということになります。

村田銃の識別法・・・その1
*タングの有無とボルトストップネジの有無を確認せよ。


村田銃の識別法・・・その2

外観上での簡単な見分け方は他にもあります。↓
検証!村田銃負い革 その1(村田銃識別法①)
↑ご覧のように上帯(じょうたい)と銃床木部先端までの長さが各々異なります。
検証!村田銃負い革 その1(村田銃識別法①)
検証!村田銃負い革 その1(村田銃識別法①)
↑参考までに計測値は十三年式が24ミリ、十八年式が14ミリ、とおよそ10ミリの差がありました。
十三年式の方が木部が長く、十八年式の方が短いということがお分かりいただけたかと思います。

『僅か10ミリの差』と侮るなかれ。遠間で見たときや、不鮮明な当時写真を見たときの判別方法としては最も有効な判別方法の一つであると思います。

村田銃の識別法・・・その2
*上帯から銃床先端のキョリを確認せよ。

つづく




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Posted by でくの房  at 14:55 │Comments(0)村田銃負革資料品の紹介

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