CATEGORY:資料品の紹介
2017年04月28日
ナスカンにまつわる謎 その1 ナスカン本体編
さてさて工房製ナスカンの製造も全て終わり、あとは各バージョンの負い革、負い紐類を製品化させるだけになりました。セカンド木村です。
ナスカンを製作する過程において、ナスカンに関する様々な疑問が湧いてきまたので、レポートしておきます。
今回は第1回目なので、手始めにナスカンのバリエーションを紹介したいと思います。
それでは早速画像をご覧ください。↓



















ナスカンを製作する過程において、ナスカンに関する様々な疑問が湧いてきまたので、レポートしておきます。
今回は第1回目なので、手始めにナスカンのバリエーションを紹介したいと思います。
それでは早速画像をご覧ください。↓
↑セカンド木村が所持している実物ナスカン類です。
左から・・・
①標準:最もよく見かける(と思われる)ナスカン
②エッジ:①に比べ角(エッジ)が立ったナスカン
③リベット:リベット留めされたもの
④フック:駐爪のない引掛けるタイプ
④の「フック」タイプは開閉部の爪がないのでナスカンになるのかどうかは微妙ですが機能的に見て同一品としています。また各個呼称はセカンド木村が勝手に付けたものです。
いかがです?皆さん。それにしても色んなバージョンがあるものですなあー。
各々詳しく見ていきましょう。↓
↑こちら①の標準タイプ。でくの房が複製品を作るにあたって参考にした品です。皆さんも、よくご存じ(?)のタイプかと思われます。
次に②の紹介です。↓
↑②エッジタイプです。
①と②を比較してみましょう。↓
↑さていかがでしょう?②のナスカンの方が本体(体)から開閉アーム部(駐爪)まで角(エッジ)が立っているのがお分かりでしょうか?
↑開閉部の駐爪を押さえるとこんな感じです。
↑背面の比較。一見同じようにも見えますが・・・・↓
↑赤丸の中をご覧ください。左の①タイプは何だか鉄が盛ってある感じですが、右の②タイプは盛り上がりがなく平面です。
鋳物業者さんの話によりますと、①のこの盛り上がり部は型に流し込むときの湯口だったのではないか?とのこと。
なるほど。という事は①と②が全く別物の金型で製作されたことが分かりますね。
②のエッジタイプは①と比べ、全体的に粗くゴツゴツとした仕上げ、という印象を受けます。
続いては③リベットタイプ。↓
③の特徴は何といってもこのリベット留め加工されてるところ。
①と②は内部スプリングと駐爪を軸棒によって組み込まれていましたが、この③のタイプはリベットと薄鉄板部品で内部スプリングと軸棒、駐爪を組み込んでいます。
↑駐爪のアップ画像
↑駐爪を押し開くとこんな感じ。ちょっと他のものと印象が異なりますね。
↑背面部。
↑背面部、①との比較。構造が全く異なりますね。
この③リベット留めタイプは、メッキではなく、カシュー塗装だと思われます(多分)。大戦末期にはカシュー塗料された小銃も見られますね。
またこの③タイプはスプリング、軸棒、駐爪を本体に組み込むために別パーツとして小さい薄鉄板が必要となります。それで各部品を抑え込むようにして本体に閉じ込めそれをリベット留めする、という風に、①と比較して組込み時にちょっと手間の要るナスカンとなっています。
さて最後に④フックタイプ↓
この④フックタイプはこの角カン部が矢印の方向に振れます。
↑しかし不思議な形です。何故このような形状の物が採用されたんでしょうかねえ?
④フックタイプは以前に「でくの房 スリングコレクション その2」でも紹介しました。よろしければご覧ください。
さて各タイプ紹介してきましたがいかがでしたでしょうか?
どのタイプのものがいつ頃、どのような意図のもとに製造されたのか今となっては知る由もありませんが、計らずもセカンド木村の元に集まってきたナスカン君達を紹介してきました。
一口に「ナスカン」といっても色んなタイプがありますね。同形状で21ミリ巾のものや十一年式軽機の負い革に使用された形状のもの、軍刀の下げ尾に付属するものなど様々です。
では次回は負い紐とナスカンの謎に迫ります。
でくの房@セカンド木村
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